命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ発売中

文字の大きさ
上 下
20 / 107

1-19 私の決意

しおりを挟む
「あ~・・・疲れた・・。」

ボフン

私はうつぶせのままベッドに飛び込み、ゴロンと仰向けになって天井を見た。

「変な感じ・・・・」

私は今まで半年間のループを12回繰り返してきた。つまり・・・72カ月間・・6年もの間、この城で暮らしていたことになるのだ。今の年齢は18歳だけど、精神年齢は24歳という事になる。

「24歳なんて・・完全に嫁き遅れじゃないの・・。」

それに今のアンリ王子は20歳、ユベールも20歳・・彼らの年齢よりも年上ということになる。
6年もこの城で暮らしているので、目を閉じてもこの城の構造が良く分かっている。どこにどんな別荘があるかも・・そして私に死に場所も・・。そこでゾクリと背筋が寒くなった私はベッドからむくりと起き上がった。

「とりあえず・・・自分が何処でどうやって死んでいくのかは分かっているから、絶対同じ場所には近づかないようにしないと・・・いままでのループと今回のループでは状況が色々変わってきているのだもの。下手すれば死期が早まってしまうかもしれないわ・・・・。」

気づけば、私はいつの間にかブツブツ独り言を言っていた。
そして極めつけは・・ユベールだ。今まで私の死に際には・・必ず彼が近くにいた。そして12回目のループでは私は彼に殺された。ユベールは私に剣を刺した後、こう言ったのだ。

「お前を・・王子の結婚相手にさせるわけにはいかない。悪いが・・・ここで死んでもらう」

と・・・。

あの時の事を思い出すだけで、恐怖で震えてくる。恐らく彼が私を殺したのは王子とジュリエッタの為に決まっている。今までの私はアンリ王子とジュリエッタの関係を黙認してきた。どうせアンリ王子は私と結婚してもジュリエッタと別れるつもりはないのだろうからと思い、問題を放置してきたのだ。
でも・・・何もしてこなかったのが裏目にでてしまったのかもしれない。初めからアンリ王子とジュリエッタの仲を認め、結婚しても私は決してお2人の仲は邪魔しませんとでも言って、アンリ王子とジュリエッタを安心させておけば・・・。

「ユベールに殺されずに済んだのかもしれないわ・・」

私は再びゴロリとベッドに横になると考えた。どうすればこの先、デスループを回避して・・生き残れるのかを。
その為には・・・。

「やっぱりまずはテストで落ちるしかないわね・・・。そしてユベールに殺されないようにしないと・・。となるとユベールに好意を持ってもらうしかないかしら・・?」

でも・・どうやって?私は今までの人生で一度も恋愛経験どころか・・誰かを好きになったことすらないのに?そんな私が・・異性に好意を持ってもらえるような行動をとることが出来るのだろうか?

「まあ・・・何とかなるかな?恋人はいなかったけれども、男友達なら沢山いたしね・・まずは友人としてユベールに見てもらえるように・・努力してみましょう」

言葉に出して、自分の決意を固めた。途端・・・

「フワアアア・・・・」


強烈な眠気が襲ってきた。

とりあえず・・・これからの事は明日、また考えよう・・・・。

そして私はそのまま眠りに落ちた―。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

処理中です...