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1-10 最初のテスト
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アンリ王子の話が終わると、部屋の中に人の頭ほどの大きさの丸い水晶玉が乗った台座がフットマン達によって運ばれてきた。台座には大小さまざまな宝石がちりばめられて、神秘的な力を感じた。水晶玉が運ばれてくると、フットマン達はさらに布で綺麗に拭き始めた。
いっぽう水晶玉を見た令嬢たちはざわめいていた。
「一体あれは何かしらね・・・。」
コーネリアが尋ねてきた。
「さあ・・・。でもまるで占い師が使っている水晶玉にそっくりね・・。」
「まさか私たちに占いでもさせるつもりかしら?私そんなもの出来ないわよ。」
コーネリアが眉を潜めながら言う。勿論私だってそんなものは出来ない。一体アンリ王子は私達になにをさせるのだろうか・・?だけど、それ以前に一番気になることが私にはあった。あの水晶が運ばれてきてから、ずっと微かに鐘の音が鳴り響いているのだ。
その鐘の音はいつも私が死に際に聞いてきた音と一緒だ。嫌だ・・あの音を聞いていると不安な気持ちになってくる。
「どうしたの・・?シルビア。顔色が悪いわ。」
私の異変に気付いたのか、コーネリアが尋ねてきた。
「え、ええ・・ちょっと鐘の音が気になって・・・。コーネリアは気にならないの?」
「え?鐘の音・・・一体何の事?」
コーネリアが首を傾げた。
「え?貴女には鐘の音が聞こえないの?それ程大きな音ではないけれど・・あの水晶から聞こえてくるでしょう?」
「え・・?」
コーネリアはじっと耳をそばだてていたが・・・。
「駄目、やっぱり何も聞こえないわ。」
「そう・・それじゃ気のせいかもね。ごめんね変な事言って。」
そう、きっと気のせいだ。あまりにも沢山死に際に鐘の音を聞いて来たから・・耳に残って閉まっているだけかもしれない。
その時、不意にアンリ王子が口を開いた。
「御集りの御令嬢達・・・準備は整いました。これよりテストを開始させて頂きます。その前にまず説明させて頂きたい事があります。今回特別枠で招待されたあなた方の家系は過去に魔術師たちを輩出してきた家系です。」
するとさらにざわめきが起こった。
「嘘・・・?そうだったの・・・?」
コーネリアは驚いたように口を押えている。王子の説明は続く。
「私が望む妻としての条件は、2つです。両方備えていれば文句なしですが・・どちらか一方を備えていれば構いません。適性テストに合格できた女性・・もしくは魔力をお持ちの女性です。そしてこの水晶は・・・。」
王子は水晶に触れながら言う。
「魔力がある人物が触れれば・・水晶は何らかの反応を示します。しかし魔力が無い人物が触れても何も反応しません。例えば私の様に。」
確かに王子が触れていても水晶は無反応だ。
「では・・お1人ずつ順番にお願いします。」
アンリ王子が言うと、やる気のある令嬢たちは我先にと水晶へ向い・・次々と触れていく。
彼女たちの中にはやはり魔力持ちがいるのか、水晶が赤く光ったり、青く光ったりと反応を示す場合もあったが大半は無反応で、反応があったグループと無いグループに分けられていく。そして徐々に私達の順番が近づいて来る。
「どうしよう・・・私には魔力があるのかしら・・。」
ずっと王子の婚約者に憧れるコーネリアは不安そうにしている。一方の私はますます強まる鐘の音に頭を痛めていた。そんな私を心配そうに尋ねてきた。
「ねえ・・・シルビア。大丈夫?ひょっとして・・まだ鐘の音が聞こえるの?」
「え、ええ・・そうなの。私の耳がおかしいのかしら?」
私は頭を押さえながら答えた。
そしてついに最後に残された私達の番がやってきた。
「それじゃ・・行って来るわね。」
コーネリアは私に声を掛けてきた。
「ええ、魔力があるといいわね。」
そしてコーネリアはゆっくりと水晶に近付き、そっと触れた。
「・・・。」
しかし、水晶は無反応だった。コーネリアの顔は真っ青だった。
「ふむ・・・何も反応なしか・・・では・・。」
アンリ王子が残念そうに言ったその時・・・・。
「鐘が・・・・。」
コーネリアが口を開いた。え・・?鐘?一体彼女は何を言い出すのだろう?
「何?鐘?」
途端にアンリ王子とユベールの顔が険しくなる。
「は、はい・・。鐘の音が聞こえますっ!」
コーネリアがはっきり言い切った。
「鐘・・鐘の音が君には聞こえるのかい?」
何故かアンリ王子は震える声で尋ねてきた。するとその反応にコーネリアは頷く。
「ええ!はっきり聞こえますっ!」
「そうか・・なら、君は適性がある。魔力持ちのグループへ入ってくれ。」
「はい!」
コーネリアは嬉しそうに言い・・私の視線に気づいたのか、チラリとこちらを振り向き、笑みを浮かべた。
「!」
まさか・・コーネリアは嘘を・・・?
「さあ。君が最後だ。水晶に触れてくれ。」
アンリ王子が私に声を掛けてきた。
「は、はい・・・。」
ゴーン
ゴーン
ゴーン
ますます鐘の音が大きく聞こえてくる。まさか・・私に死が迫っているのだろうか・・・・?
私は震えながら水晶へと近付いて行った―。
いっぽう水晶玉を見た令嬢たちはざわめいていた。
「一体あれは何かしらね・・・。」
コーネリアが尋ねてきた。
「さあ・・・。でもまるで占い師が使っている水晶玉にそっくりね・・。」
「まさか私たちに占いでもさせるつもりかしら?私そんなもの出来ないわよ。」
コーネリアが眉を潜めながら言う。勿論私だってそんなものは出来ない。一体アンリ王子は私達になにをさせるのだろうか・・?だけど、それ以前に一番気になることが私にはあった。あの水晶が運ばれてきてから、ずっと微かに鐘の音が鳴り響いているのだ。
その鐘の音はいつも私が死に際に聞いてきた音と一緒だ。嫌だ・・あの音を聞いていると不安な気持ちになってくる。
「どうしたの・・?シルビア。顔色が悪いわ。」
私の異変に気付いたのか、コーネリアが尋ねてきた。
「え、ええ・・ちょっと鐘の音が気になって・・・。コーネリアは気にならないの?」
「え?鐘の音・・・一体何の事?」
コーネリアが首を傾げた。
「え?貴女には鐘の音が聞こえないの?それ程大きな音ではないけれど・・あの水晶から聞こえてくるでしょう?」
「え・・?」
コーネリアはじっと耳をそばだてていたが・・・。
「駄目、やっぱり何も聞こえないわ。」
「そう・・それじゃ気のせいかもね。ごめんね変な事言って。」
そう、きっと気のせいだ。あまりにも沢山死に際に鐘の音を聞いて来たから・・耳に残って閉まっているだけかもしれない。
その時、不意にアンリ王子が口を開いた。
「御集りの御令嬢達・・・準備は整いました。これよりテストを開始させて頂きます。その前にまず説明させて頂きたい事があります。今回特別枠で招待されたあなた方の家系は過去に魔術師たちを輩出してきた家系です。」
するとさらにざわめきが起こった。
「嘘・・・?そうだったの・・・?」
コーネリアは驚いたように口を押えている。王子の説明は続く。
「私が望む妻としての条件は、2つです。両方備えていれば文句なしですが・・どちらか一方を備えていれば構いません。適性テストに合格できた女性・・もしくは魔力をお持ちの女性です。そしてこの水晶は・・・。」
王子は水晶に触れながら言う。
「魔力がある人物が触れれば・・水晶は何らかの反応を示します。しかし魔力が無い人物が触れても何も反応しません。例えば私の様に。」
確かに王子が触れていても水晶は無反応だ。
「では・・お1人ずつ順番にお願いします。」
アンリ王子が言うと、やる気のある令嬢たちは我先にと水晶へ向い・・次々と触れていく。
彼女たちの中にはやはり魔力持ちがいるのか、水晶が赤く光ったり、青く光ったりと反応を示す場合もあったが大半は無反応で、反応があったグループと無いグループに分けられていく。そして徐々に私達の順番が近づいて来る。
「どうしよう・・・私には魔力があるのかしら・・。」
ずっと王子の婚約者に憧れるコーネリアは不安そうにしている。一方の私はますます強まる鐘の音に頭を痛めていた。そんな私を心配そうに尋ねてきた。
「ねえ・・・シルビア。大丈夫?ひょっとして・・まだ鐘の音が聞こえるの?」
「え、ええ・・そうなの。私の耳がおかしいのかしら?」
私は頭を押さえながら答えた。
そしてついに最後に残された私達の番がやってきた。
「それじゃ・・行って来るわね。」
コーネリアは私に声を掛けてきた。
「ええ、魔力があるといいわね。」
そしてコーネリアはゆっくりと水晶に近付き、そっと触れた。
「・・・。」
しかし、水晶は無反応だった。コーネリアの顔は真っ青だった。
「ふむ・・・何も反応なしか・・・では・・。」
アンリ王子が残念そうに言ったその時・・・・。
「鐘が・・・・。」
コーネリアが口を開いた。え・・?鐘?一体彼女は何を言い出すのだろう?
「何?鐘?」
途端にアンリ王子とユベールの顔が険しくなる。
「は、はい・・。鐘の音が聞こえますっ!」
コーネリアがはっきり言い切った。
「鐘・・鐘の音が君には聞こえるのかい?」
何故かアンリ王子は震える声で尋ねてきた。するとその反応にコーネリアは頷く。
「ええ!はっきり聞こえますっ!」
「そうか・・なら、君は適性がある。魔力持ちのグループへ入ってくれ。」
「はい!」
コーネリアは嬉しそうに言い・・私の視線に気づいたのか、チラリとこちらを振り向き、笑みを浮かべた。
「!」
まさか・・コーネリアは嘘を・・・?
「さあ。君が最後だ。水晶に触れてくれ。」
アンリ王子が私に声を掛けてきた。
「は、はい・・・。」
ゴーン
ゴーン
ゴーン
ますます鐘の音が大きく聞こえてくる。まさか・・私に死が迫っているのだろうか・・・・?
私は震えながら水晶へと近付いて行った―。
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