2 / 107
1-1 13回目の目覚めの朝
しおりを挟む
ゴーン
ゴーン
ゴーン
頭の中で微かに鐘の鳴り響く音が聞こえてくる・・・。え・・?鐘・・?!
「鐘の音?!」
ガバッと飛び起き、私は目を見張った。何故ならそこはベッドの上で、しかも私の見慣れた自室だったからだ。
「え・・?どうして私・・ここにいるの・・・?それに・・私は胸を剣で貫かれて死んだはず・・。」
そこまで口に出して、私は今までの記憶が残されていることに気が付いた。
「そうだわ・・・私はまた7月7日に殺されたんだわ・・。そして・・この部屋で目が覚めたという事は・・またおそらく半年前に戻った・・?」
私は自分が長袖のネグリジェを着ているのを見て、そう判断した。それに部屋の中に設置してある暖炉では小さな炎がパチパチと燃えている。
ベッドから起き上がり、足元に置いてあるスリッパに足を通して床に降り立った。そして掃き出し窓の淡いピンク色のカーテンをシャッと開けた。
「やっぱり・・・!」
部屋から見える窓の外は一面の銀世界だった。殺されたときの私は半そでのドレスを身にまとい、狂ったように咲き乱れる花畑の中でこの世を去ってしまった。けれど今は眩しい太陽の下、降り積もった雪が太陽に照らされてキラキラと光り輝いている。
「でも・・・こんな事今まで一度も無かったわ・・・。前回ベッドの上で目覚めた時は過去に殺されてきた記憶も何もかも無かったというのに、殺される直前で全ての記憶が戻ったわ。そして今回は・・・私が今まで12回も殺されてきた記憶が全て残っている・・・。という事は・・・。」
私はポンと手を叩くと言った。
「そうよっ!私は今まで自分がどんな状況で殺されたのか全て知っている・・という事は、逆に殺されない方法を知っているという事よね?!」
となると、話は早い。12回も自分の人生をやり直しているのだから、もう今の私には次に何が待ち受けているか知っている。
「のんびりしていられないわっ!」
慌ててクローゼットにかけよると、扉を開けた。そして外出着用のドレスに手を伸ばし、大急ぎで着替えを始めた。急いでこの屋敷を出ないと大変な事になってしまう。
10分ほどで着替えを終えると、次に二つのトランクケースを自室の収納棚から引っ張り出し、当面必要な衣類を片っ端から詰め込んでいく。
「よし、詰め込んだわ!次は・・・。」
部屋の中をきょろきょろ見渡し、ドレッサーに目を付けた。
「次は宝石類よっ!」
急いでドレッサーに向かうと、引き出しを開けた。中には宝石をふんだんに使用したアクセサリーがはいっている。それらを全てかき集め、未使用の化粧ポーチに開けると、これもトランクケースに詰め込んだ。
「当面・・・これだけのアクセサリーがあれば・・お金に換えて生活出来そうね。」
満足げに呟き、私はコートを羽織った。
カチャ・・・・
静かにドアを開けると、まだ廊下はシンと静まり返っている。今の時刻は6時半だ。あと30分もすればメイドが私を起こしに部屋をおとずれる。その前に早く逃げなくては・・。
「よ・・よし、誰もいないわね・・・?」
ゆっくり部屋を出ると、私はなるべく音をたてないように二つの大きなトランクケースを引きずりながら、エントランス目指して歩き出した―。
****
私は今厩舎へとやってきていた。
「ふう~・・・ここまでくれば安心ね。」
薄暗い厩舎で愛馬に荷物を括り付けながらため息をついたとき・・・・。
「何をしているのだ?シルビア。」
良く知った声が背後で聞こえた。ま、まさか・・・・。私はゆっくり背後を振り向き・・絶望した。
声の主は私の父・・・『エドモンド・ルグラン』伯爵だった。
嫌がる私を無理やり王宮へ行かせ、私の死につながる要因を作った重要人物・・。
「お・・・お父様・・・。お、おはようございま・・・す・・。」
私は絶望的な気持ちで父に朝の挨拶をした―。
ゴーン
ゴーン
頭の中で微かに鐘の鳴り響く音が聞こえてくる・・・。え・・?鐘・・?!
「鐘の音?!」
ガバッと飛び起き、私は目を見張った。何故ならそこはベッドの上で、しかも私の見慣れた自室だったからだ。
「え・・?どうして私・・ここにいるの・・・?それに・・私は胸を剣で貫かれて死んだはず・・。」
そこまで口に出して、私は今までの記憶が残されていることに気が付いた。
「そうだわ・・・私はまた7月7日に殺されたんだわ・・。そして・・この部屋で目が覚めたという事は・・またおそらく半年前に戻った・・?」
私は自分が長袖のネグリジェを着ているのを見て、そう判断した。それに部屋の中に設置してある暖炉では小さな炎がパチパチと燃えている。
ベッドから起き上がり、足元に置いてあるスリッパに足を通して床に降り立った。そして掃き出し窓の淡いピンク色のカーテンをシャッと開けた。
「やっぱり・・・!」
部屋から見える窓の外は一面の銀世界だった。殺されたときの私は半そでのドレスを身にまとい、狂ったように咲き乱れる花畑の中でこの世を去ってしまった。けれど今は眩しい太陽の下、降り積もった雪が太陽に照らされてキラキラと光り輝いている。
「でも・・・こんな事今まで一度も無かったわ・・・。前回ベッドの上で目覚めた時は過去に殺されてきた記憶も何もかも無かったというのに、殺される直前で全ての記憶が戻ったわ。そして今回は・・・私が今まで12回も殺されてきた記憶が全て残っている・・・。という事は・・・。」
私はポンと手を叩くと言った。
「そうよっ!私は今まで自分がどんな状況で殺されたのか全て知っている・・という事は、逆に殺されない方法を知っているという事よね?!」
となると、話は早い。12回も自分の人生をやり直しているのだから、もう今の私には次に何が待ち受けているか知っている。
「のんびりしていられないわっ!」
慌ててクローゼットにかけよると、扉を開けた。そして外出着用のドレスに手を伸ばし、大急ぎで着替えを始めた。急いでこの屋敷を出ないと大変な事になってしまう。
10分ほどで着替えを終えると、次に二つのトランクケースを自室の収納棚から引っ張り出し、当面必要な衣類を片っ端から詰め込んでいく。
「よし、詰め込んだわ!次は・・・。」
部屋の中をきょろきょろ見渡し、ドレッサーに目を付けた。
「次は宝石類よっ!」
急いでドレッサーに向かうと、引き出しを開けた。中には宝石をふんだんに使用したアクセサリーがはいっている。それらを全てかき集め、未使用の化粧ポーチに開けると、これもトランクケースに詰め込んだ。
「当面・・・これだけのアクセサリーがあれば・・お金に換えて生活出来そうね。」
満足げに呟き、私はコートを羽織った。
カチャ・・・・
静かにドアを開けると、まだ廊下はシンと静まり返っている。今の時刻は6時半だ。あと30分もすればメイドが私を起こしに部屋をおとずれる。その前に早く逃げなくては・・。
「よ・・よし、誰もいないわね・・・?」
ゆっくり部屋を出ると、私はなるべく音をたてないように二つの大きなトランクケースを引きずりながら、エントランス目指して歩き出した―。
****
私は今厩舎へとやってきていた。
「ふう~・・・ここまでくれば安心ね。」
薄暗い厩舎で愛馬に荷物を括り付けながらため息をついたとき・・・・。
「何をしているのだ?シルビア。」
良く知った声が背後で聞こえた。ま、まさか・・・・。私はゆっくり背後を振り向き・・絶望した。
声の主は私の父・・・『エドモンド・ルグラン』伯爵だった。
嫌がる私を無理やり王宮へ行かせ、私の死につながる要因を作った重要人物・・。
「お・・・お父様・・・。お、おはようございま・・・す・・。」
私は絶望的な気持ちで父に朝の挨拶をした―。
11
お気に入りに追加
337
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる