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5章 15 囚われの2人
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カインに抱き上げられたまま、ホテルに戻ると何やら様子がおかしい。
ロビーのソファに座っていた男性達が一斉にこちらに視線を向けてきたからだ。
「ね、ねぇカイン。私達、随分注目されていると思わない」
耳元で囁くと、何故かカインの耳が真っ赤に染まる。
「確かにそうですね。でも、こんな姿でホテルに戻ってきたからではないでしょうか?」
カインは構わずに、そのままロビーを突っ切って、客室へ向かって歩き……。
「ちょぉっと待って! カインッ!」
「え? どうかしましたか?」
「お願い、もう降ろしてくれる? ここから先は1人で歩けるから」
「ですがリアンナ様は裸足ではありませんか?」
「そうだけど、ここはもうホテルの中だから大丈夫だってば」
「分かりました、そこまで仰るのなら仕方ないですね……もう少し、こうしていたかったのに」
カインが小声でブツブツ言うが、聞こえないふりをして降ろしてもらった。
一体カインはどういうつもりなのだろう? 随分距離を詰めてきているのだけど。
床の上に降ろしてもらうと、まずはニーナが宿泊している部屋に向かうことにした。
**
ニーナの部屋の扉をノックしようとしたとき。
「お待ちください、リアンナ様」
カインが止めてきた。
「どうしたの?」
「何だか様子がおかしいのです」
「様子がおかしいって……」
カインのただ事ではない様子に緊張が走る。
「僕が代りに扉を開けます」
「? う、うん。お願い」
カインはドアノブを握り、一気に開け放すとリーナとジャンが椅子に縛り付けられている姿が目に飛び込んできた。
その周りには5~6人の男性たちがいる。
「ニーナッ! ジャンッ!」
「「リアンナ様っ!!」」
私の声に、2人が反応する。
「ようやく戻ってきたか、リアンナ」
高級そうな服を着込んだ中年男性が私を見て、ニヤリと笑う。
「何時まで人を待たせるつもりだ」
中年男性の隣にいた青年が睨みつけてくる。
すると、カインが私を守るように前に一歩進み出てきた。
「誰だ? お前は……うん? どこかで見たことがある顔だな」
中年男性が目を細める。
「ええ、殿下の護衛騎士でしたからね」
「まぁいい。それよりもリアンナ、一体今までこの2人をほったらかしにして何処を、ほっつき歩いていたのだ? まさか、その男と朝帰りか?」
青年の言葉にカチンときた。
朝帰り? こちらは寝ている間に殿下に拉致されて、命からがら逃げてきたというのに。
だいたい、彼らは何なのだろう? よりにもよって、ジャンとニーナを縛り付けるなんて。
「あの、私が朝帰ってきたのは今まで殿下に拉致されていたからです。それよりも、何故私の名前を知っているんですか? 一体どちらさまでしょうか?」
私の言葉に、見知らぬ男性たちがギョッとした顔つきになる。
「何だと……? リアンナ、お前ふざけているのか!?」
「そうだ! よくもこんな状況でそんなことを言えるな!」
中年男性と青年が喚き立てる。そして、周囲にいた男性たちにも困惑の表情が浮かんでいる。
だけど、そんなことを言われても私には彼らが誰なのか全く分らない。するとジャンが叫んだ。
「だから何度も申し上げているではありませんか! リアンナ様は記憶喪失になってしまわれたと! リアンナ様っ! こちらの方々は旦那様と、リアンナ様のお兄様でいらっしゃるベネディクト様ですよ!」
「え……ええっ!?」
もしかして、私を追い出した人たち……? 改めて2人の顔をじっと見る。言われてみれば、見たことがある顔だ。
「その顔、ようやく思い出したようだな?」
父親がニヤリと笑う。
「全く、随分探したぞ。手間かけさせやがって」
兄はまるで獲物を狙うヘビのような目つきをで私を見る。
「一体リアンナ様に何の用なのです? あの日、お二人は酷い追い出し方をしましたよね? それなのに何故再びリアンナ様の前に現れたのですか?」
カインが怒気を含んだ声で父と兄に尋ねた――
ロビーのソファに座っていた男性達が一斉にこちらに視線を向けてきたからだ。
「ね、ねぇカイン。私達、随分注目されていると思わない」
耳元で囁くと、何故かカインの耳が真っ赤に染まる。
「確かにそうですね。でも、こんな姿でホテルに戻ってきたからではないでしょうか?」
カインは構わずに、そのままロビーを突っ切って、客室へ向かって歩き……。
「ちょぉっと待って! カインッ!」
「え? どうかしましたか?」
「お願い、もう降ろしてくれる? ここから先は1人で歩けるから」
「ですがリアンナ様は裸足ではありませんか?」
「そうだけど、ここはもうホテルの中だから大丈夫だってば」
「分かりました、そこまで仰るのなら仕方ないですね……もう少し、こうしていたかったのに」
カインが小声でブツブツ言うが、聞こえないふりをして降ろしてもらった。
一体カインはどういうつもりなのだろう? 随分距離を詰めてきているのだけど。
床の上に降ろしてもらうと、まずはニーナが宿泊している部屋に向かうことにした。
**
ニーナの部屋の扉をノックしようとしたとき。
「お待ちください、リアンナ様」
カインが止めてきた。
「どうしたの?」
「何だか様子がおかしいのです」
「様子がおかしいって……」
カインのただ事ではない様子に緊張が走る。
「僕が代りに扉を開けます」
「? う、うん。お願い」
カインはドアノブを握り、一気に開け放すとリーナとジャンが椅子に縛り付けられている姿が目に飛び込んできた。
その周りには5~6人の男性たちがいる。
「ニーナッ! ジャンッ!」
「「リアンナ様っ!!」」
私の声に、2人が反応する。
「ようやく戻ってきたか、リアンナ」
高級そうな服を着込んだ中年男性が私を見て、ニヤリと笑う。
「何時まで人を待たせるつもりだ」
中年男性の隣にいた青年が睨みつけてくる。
すると、カインが私を守るように前に一歩進み出てきた。
「誰だ? お前は……うん? どこかで見たことがある顔だな」
中年男性が目を細める。
「ええ、殿下の護衛騎士でしたからね」
「まぁいい。それよりもリアンナ、一体今までこの2人をほったらかしにして何処を、ほっつき歩いていたのだ? まさか、その男と朝帰りか?」
青年の言葉にカチンときた。
朝帰り? こちらは寝ている間に殿下に拉致されて、命からがら逃げてきたというのに。
だいたい、彼らは何なのだろう? よりにもよって、ジャンとニーナを縛り付けるなんて。
「あの、私が朝帰ってきたのは今まで殿下に拉致されていたからです。それよりも、何故私の名前を知っているんですか? 一体どちらさまでしょうか?」
私の言葉に、見知らぬ男性たちがギョッとした顔つきになる。
「何だと……? リアンナ、お前ふざけているのか!?」
「そうだ! よくもこんな状況でそんなことを言えるな!」
中年男性と青年が喚き立てる。そして、周囲にいた男性たちにも困惑の表情が浮かんでいる。
だけど、そんなことを言われても私には彼らが誰なのか全く分らない。するとジャンが叫んだ。
「だから何度も申し上げているではありませんか! リアンナ様は記憶喪失になってしまわれたと! リアンナ様っ! こちらの方々は旦那様と、リアンナ様のお兄様でいらっしゃるベネディクト様ですよ!」
「え……ええっ!?」
もしかして、私を追い出した人たち……? 改めて2人の顔をじっと見る。言われてみれば、見たことがある顔だ。
「その顔、ようやく思い出したようだな?」
父親がニヤリと笑う。
「全く、随分探したぞ。手間かけさせやがって」
兄はまるで獲物を狙うヘビのような目つきをで私を見る。
「一体リアンナ様に何の用なのです? あの日、お二人は酷い追い出し方をしましたよね? それなのに何故再びリアンナ様の前に現れたのですか?」
カインが怒気を含んだ声で父と兄に尋ねた――
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