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3章 7 つけていた理由
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私達は、ジャンが手配してくれた宿屋の食堂にいた。
円卓を囲み、私の両隣にはジャンとニーナ。そして真正面には、申し訳無さそうに俯く騎士のカインが座っている。
「……それで、殿下の命令で俺達の後をつけていたという訳ですか?」
ジャンは余程カインが気に入らないのか、睨みつけている。
「その通りだよ。僕は殿下の騎士だからね」
「いつからリアンナ様をつけていたのですか?」
今度はニーナが質問した。
「リアンナ様が屋敷を追い出された時からだよ」
カインは後ろ暗さからなのか、スラスラ質問に答える。
「え? 屋敷を追い出された時のことを知っているのですか? どうして私が出された時のことをカインさんは知っているのですか?」
すると私の質問にカインが答えた。
「どうぞ僕のことはカインと呼んで下さい。リアンナ様が屋敷を追い出されたことを知っているのは……先回りしてマルケロフ家の屋敷に向かうように殿下から命令されたからです」
申し訳ないと思ったのか、カインは目を伏せた。
「何だって!? 先回りをしていた!?」
「酷い! 最低ですね! 見張っていたなんて!」
ジャンとニーナは余程、気に入らなかったのだろう。かなり憤慨している。
「二人共、落ち着いて頂戴。カインは殿下の命令で仕方なく言うことを聞いたのでしょう」
「何言ってるんですか、リアンナ様! そんなことをされて腹が立たないのですか!?」
「ええ、そうですよ! 先回りして覗き見されていたんですよ!」
ジャンもニーナも興奮が止まらない。
「でもねぇ……」
私はチラリとカインを見ると、彼は申し訳無さそうにうつむいている。
カインは私が城を追い出された時、唯一冷たい目を向けるでもなく親切に出口まで送ってくれた。
第一、私は本物のリアンナではない。だからだろうか? 別に監視されていたと聞かされても不思議と腹が立つようなことは無かった。
「カイン、一つ尋ねても良いですか?」
「はい、リアンナ様」
カインは顔を上げた。
「殿下は何故、私を監視するように命令したのですか?」
「それは……リアンナ様が何かよからぬことを企んでいるかも知れないと考えられたからです。それで僕に監視を命じました」
「そうですか。でもそんな簡単に殿下に命令されたことを口にしても良かったのですか?」
私の質問に一瞬カインは目を伏せ、次に真っ直ぐ見つめてきた。
「僕は、殿下の忠実な騎士です。命令とあれば、背くことは出来ません。……例え、それが自分の意に反することでも。ですが……ずっとつけている間、罪悪感がありました。だから、正直に話すことにしたのです。申し訳ございませんでした。先程のハトは僕の伝書鳩で、リアンナ様の動向を殿下に報告するために連れていました」
「え!? そうだったのですか!」
まさか、伝書鳩で殿下に私のことを報告していたとは思わなかった。
「何だって!? 俺達のあとをつけるだけじゃなく、殿下に報告までしていたっていうのか!」
とうとうジャンはキレて、乱暴な言葉遣いでカインを怒鳴りつけた。
「ジャン、落ち着いて。相手は王宮の騎士なのよ。切られたらどうするのよ!」
ニーナがジャンをなだめる。
「そ、そんな! 切ったりなんかするはずないですよ!」
カインは心外だと言わんばかりに首を振る。
「そうですね、あなたはそんなことするような人には見えませんから」
「リアンナ様……ありがとうございます」
私を見つめるカイン。
「それで、殿下には何と報告したのですか?」
多分彼は信じても良いだろう。何となく私はそう思えた。
「リアンナ様が誰と行動して、今何処にいるのかだけを報告してあります。それ以外のことは一切口外していません」
「それ以外のこと?」
カインの言葉に首をかしげる。
「はい、リアンナ様が聖女だということです」
「はぁっ!?」
「僕もリアンナ様の力を拝見しました。まさか聖女様だっとは思いもしませんでした」
そしてカインは真剣な眼差しで私を見つめてきた――
円卓を囲み、私の両隣にはジャンとニーナ。そして真正面には、申し訳無さそうに俯く騎士のカインが座っている。
「……それで、殿下の命令で俺達の後をつけていたという訳ですか?」
ジャンは余程カインが気に入らないのか、睨みつけている。
「その通りだよ。僕は殿下の騎士だからね」
「いつからリアンナ様をつけていたのですか?」
今度はニーナが質問した。
「リアンナ様が屋敷を追い出された時からだよ」
カインは後ろ暗さからなのか、スラスラ質問に答える。
「え? 屋敷を追い出された時のことを知っているのですか? どうして私が出された時のことをカインさんは知っているのですか?」
すると私の質問にカインが答えた。
「どうぞ僕のことはカインと呼んで下さい。リアンナ様が屋敷を追い出されたことを知っているのは……先回りしてマルケロフ家の屋敷に向かうように殿下から命令されたからです」
申し訳ないと思ったのか、カインは目を伏せた。
「何だって!? 先回りをしていた!?」
「酷い! 最低ですね! 見張っていたなんて!」
ジャンとニーナは余程、気に入らなかったのだろう。かなり憤慨している。
「二人共、落ち着いて頂戴。カインは殿下の命令で仕方なく言うことを聞いたのでしょう」
「何言ってるんですか、リアンナ様! そんなことをされて腹が立たないのですか!?」
「ええ、そうですよ! 先回りして覗き見されていたんですよ!」
ジャンもニーナも興奮が止まらない。
「でもねぇ……」
私はチラリとカインを見ると、彼は申し訳無さそうにうつむいている。
カインは私が城を追い出された時、唯一冷たい目を向けるでもなく親切に出口まで送ってくれた。
第一、私は本物のリアンナではない。だからだろうか? 別に監視されていたと聞かされても不思議と腹が立つようなことは無かった。
「カイン、一つ尋ねても良いですか?」
「はい、リアンナ様」
カインは顔を上げた。
「殿下は何故、私を監視するように命令したのですか?」
「それは……リアンナ様が何かよからぬことを企んでいるかも知れないと考えられたからです。それで僕に監視を命じました」
「そうですか。でもそんな簡単に殿下に命令されたことを口にしても良かったのですか?」
私の質問に一瞬カインは目を伏せ、次に真っ直ぐ見つめてきた。
「僕は、殿下の忠実な騎士です。命令とあれば、背くことは出来ません。……例え、それが自分の意に反することでも。ですが……ずっとつけている間、罪悪感がありました。だから、正直に話すことにしたのです。申し訳ございませんでした。先程のハトは僕の伝書鳩で、リアンナ様の動向を殿下に報告するために連れていました」
「え!? そうだったのですか!」
まさか、伝書鳩で殿下に私のことを報告していたとは思わなかった。
「何だって!? 俺達のあとをつけるだけじゃなく、殿下に報告までしていたっていうのか!」
とうとうジャンはキレて、乱暴な言葉遣いでカインを怒鳴りつけた。
「ジャン、落ち着いて。相手は王宮の騎士なのよ。切られたらどうするのよ!」
ニーナがジャンをなだめる。
「そ、そんな! 切ったりなんかするはずないですよ!」
カインは心外だと言わんばかりに首を振る。
「そうですね、あなたはそんなことするような人には見えませんから」
「リアンナ様……ありがとうございます」
私を見つめるカイン。
「それで、殿下には何と報告したのですか?」
多分彼は信じても良いだろう。何となく私はそう思えた。
「リアンナ様が誰と行動して、今何処にいるのかだけを報告してあります。それ以外のことは一切口外していません」
「それ以外のこと?」
カインの言葉に首をかしげる。
「はい、リアンナ様が聖女だということです」
「はぁっ!?」
「僕もリアンナ様の力を拝見しました。まさか聖女様だっとは思いもしませんでした」
そしてカインは真剣な眼差しで私を見つめてきた――
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