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2章 1 私の望んでいた世界
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「のどかな光景ねぇ……」
青い空の下、目の前に広がる緑の茂った地平線にどこまでも続く長い一本道……。
「これこそが、私の待ち望んでいた世界よ!」
つい、心の声が言葉となって飛び出してしまった。
「うわぁぁ!! な、何だ!?」
「キャアッ! リアンナ様っ!! 突然馬車で叫ばないで下さい!」
ジャンとニーナが悲鳴をあげる。
「あ……ご、ごめんなさい。今の状況が嬉しくて、つい心の声が……」
「え!? これが嬉しいのですか!?」
「荷馬車の旅ですよ!?」
「うん、とても楽しいじゃない。大自然の中を荷馬車で進むなんて最高の気分よ!」
ウキウキしながら答えると、何やらジャンとニーナがヒソヒソ話し合っている。
「あれ……本当にリアンナ様か……? なんだか性格がまるで違うぞ?」
「お気の毒に……ショックな出来事が多すぎて記憶喪失になってしまったせいだわ……」
「俺達で哀れなリアンナ様を支えてやらないと」
「そうね。リアンナ様にとっては、私達しか頼れる人はいないものね」
……なんだか、酷く同情されているようだが……うん、ここは聞こえなかったふりをしておこう。
「ふふ……本当に最高な気分……」
こうして呑気な旅は続く。
ずっと誰かがつけてきていることも、私達は気付かずに――
****
「リアンナ様。あの森を抜ければ、イナクの村まであと少しですよ」
不意にジャンが声をかけてきた。
「え? 森? どれ?」
荷馬車から顔を出すと、地平線の先に広大な森が広がっている景色が見える。
「うわ~……大きい森ね~。すごい……」
こんな光景、日本ではまず見られない。
「イナクの村は林業が盛んです。木材を加工して収入を得ているのですよ」
ニーナが教えてくれる。
「そうなんだ。物知りね、ニーナは」
「ありがとうございます」
褒められて嬉しいのか、ニーナが顔を赤らめる。
でも、あれだけ森に囲まれている村なら他の場所に住む人々とは孤立した暮らしをしている可能性がある。
派手なマジックを披露しても、他所に広がることは無いだろう。
鳩をシルクハットから出すマジックなどお披露目すれば、どれくらい喜ばれることだろう……。
「あ~あ……鳩がいればなぁ……」
「急にどうしたのです?」
「鳩が好きなのですか?」
ジャンとニーナが尋ねてくる。
「うん。シルクハットから鳩を出すマジックを披露すれば、きっとみんな目を丸くするだろうなって思ったのよ」
「え? そんな事ができるのですか?」
「それは素晴らしいマジックですね!」
興奮するニーナとジャン。
「うん、マジックの定番中の定番なんだけどね……そのためには鳩が必要なのよ。いくらマジックでも無から作り出すことなんて出来ないし……しかも、鳩といってもどんな鳩でもいいわけじゃないの。真っ白なギンバトよ。小さくておとなしいから良く使われるんだけど……そう簡単にいるはずないしね……」
「ギンバトですか……う~ん。確かに普通の鳩ならよく見かけますが……」
ジャンが首をひねる。
「まぁ、無いものは仕方ないわ。別に帽子から取り出すのは、鳩じゃなくてもいいわけだし。ぬいぐるみでも、何でもいいのよ」
そしてゴロリと荷馬車に寝転がった時、ウクレレが目に止まった。
「そうだ、二人のために何か曲を弾いてあげようか?」
ウクレレを手に取るとジャンとニーナに声をかけた。
「本当ですか? 嬉しいです!」
「俺、もう一度聞いてみたかったんですよ!」
「それじゃ、二人の為に何か一曲弾いてあげるわね」
早速私はウクレレを弾き始めた。
次のマジックのことを考えながら……。
すると私の願いが通じたのだろうか?
ある、奇跡が起こったのだ――
青い空の下、目の前に広がる緑の茂った地平線にどこまでも続く長い一本道……。
「これこそが、私の待ち望んでいた世界よ!」
つい、心の声が言葉となって飛び出してしまった。
「うわぁぁ!! な、何だ!?」
「キャアッ! リアンナ様っ!! 突然馬車で叫ばないで下さい!」
ジャンとニーナが悲鳴をあげる。
「あ……ご、ごめんなさい。今の状況が嬉しくて、つい心の声が……」
「え!? これが嬉しいのですか!?」
「荷馬車の旅ですよ!?」
「うん、とても楽しいじゃない。大自然の中を荷馬車で進むなんて最高の気分よ!」
ウキウキしながら答えると、何やらジャンとニーナがヒソヒソ話し合っている。
「あれ……本当にリアンナ様か……? なんだか性格がまるで違うぞ?」
「お気の毒に……ショックな出来事が多すぎて記憶喪失になってしまったせいだわ……」
「俺達で哀れなリアンナ様を支えてやらないと」
「そうね。リアンナ様にとっては、私達しか頼れる人はいないものね」
……なんだか、酷く同情されているようだが……うん、ここは聞こえなかったふりをしておこう。
「ふふ……本当に最高な気分……」
こうして呑気な旅は続く。
ずっと誰かがつけてきていることも、私達は気付かずに――
****
「リアンナ様。あの森を抜ければ、イナクの村まであと少しですよ」
不意にジャンが声をかけてきた。
「え? 森? どれ?」
荷馬車から顔を出すと、地平線の先に広大な森が広がっている景色が見える。
「うわ~……大きい森ね~。すごい……」
こんな光景、日本ではまず見られない。
「イナクの村は林業が盛んです。木材を加工して収入を得ているのですよ」
ニーナが教えてくれる。
「そうなんだ。物知りね、ニーナは」
「ありがとうございます」
褒められて嬉しいのか、ニーナが顔を赤らめる。
でも、あれだけ森に囲まれている村なら他の場所に住む人々とは孤立した暮らしをしている可能性がある。
派手なマジックを披露しても、他所に広がることは無いだろう。
鳩をシルクハットから出すマジックなどお披露目すれば、どれくらい喜ばれることだろう……。
「あ~あ……鳩がいればなぁ……」
「急にどうしたのです?」
「鳩が好きなのですか?」
ジャンとニーナが尋ねてくる。
「うん。シルクハットから鳩を出すマジックを披露すれば、きっとみんな目を丸くするだろうなって思ったのよ」
「え? そんな事ができるのですか?」
「それは素晴らしいマジックですね!」
興奮するニーナとジャン。
「うん、マジックの定番中の定番なんだけどね……そのためには鳩が必要なのよ。いくらマジックでも無から作り出すことなんて出来ないし……しかも、鳩といってもどんな鳩でもいいわけじゃないの。真っ白なギンバトよ。小さくておとなしいから良く使われるんだけど……そう簡単にいるはずないしね……」
「ギンバトですか……う~ん。確かに普通の鳩ならよく見かけますが……」
ジャンが首をひねる。
「まぁ、無いものは仕方ないわ。別に帽子から取り出すのは、鳩じゃなくてもいいわけだし。ぬいぐるみでも、何でもいいのよ」
そしてゴロリと荷馬車に寝転がった時、ウクレレが目に止まった。
「そうだ、二人のために何か曲を弾いてあげようか?」
ウクレレを手に取るとジャンとニーナに声をかけた。
「本当ですか? 嬉しいです!」
「俺、もう一度聞いてみたかったんですよ!」
「それじゃ、二人の為に何か一曲弾いてあげるわね」
早速私はウクレレを弾き始めた。
次のマジックのことを考えながら……。
すると私の願いが通じたのだろうか?
ある、奇跡が起こったのだ――
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