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4 冷たい視線
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「……それにしても、ジェイク様。そのお姿で大公にお会いになるおつもりですか?」
「ああ、そうだが……何か問題でもあるか?」
「ええ、久しぶりに城に帰還されたのですから……そのような身なりでは流石に問題かと。それに今は大事な会議を開いている最中なので、すぐに大公にはお会いすることは出来ないかと思います」
「分かった……それなら言う通りにしよう」
ジェイクは頷き、一瞬私に視線を移すとイゴール卿に命じた。
「では、俺の代わりにミレーユを頼む。そうだな……彼女を『安らぎの間』に案内してあげてくれ」
「え? 『安らぎの間』ですか? しかし、あそこは……」
イゴール卿に戸惑いの表情が浮かぶ。……その部屋には何か問題でもあるのだろうか?
「どうした? 何か言いたいことでもあるのか?」
一瞬、鋭い視線を向けるジェイク。
「い、いえ。何もありません。大公が会議を終えられるには後1時間半あります。私の方から話をさせていただきますので二時間後、お迎えに参ります」
「二時間か。それくらいあればミレーユの準備もできるだろう……分かった、その様に頼む」
ジェイクは頷くと、私に視線を向けた。
「それではミレーユ、約二時間後に部屋に迎えに行く。準備をして待っていてくれ」
「はい、分かりました」
頷き、返事をする。
「ではイゴール卿、ミレーユを頼む」
ジェイクはそれだけ告げると、足早に去って行った。二人でジェイクの後ろ姿を見届けると、イゴール卿が声をかけてきた。
「それではご案内致します、ミレーユ様」
「は、はい」
未だにその呼び名になれなかったが、私は返事をした――
**
私の前方を無言のイゴール卿が歩いている。その後姿は、まるで自分に気安く話しかけるなと言わんばかりの圧を感じる。
そこで私は気まずい雰囲気の中、黙ってイゴール卿の後をついて歩いた。
途中、大勢の使用人たちにすれ違った。
彼らはみな、イゴール卿に恭しく挨拶をするものの……私には冷たい視線を送る。
やはり、ジェイクの話していた通り……ミレーユは歓迎される立場にはないということを思い知らされる。
やがてイゴール卿は一つの扉の前で足を止めた。その扉はエバーグリーンの落ち着いた色合いの扉だった。
「こちらがジェイク様のお話されていた『安らぎの間』です。このお部屋は貴賓室として使用されるお部屋になっております。どうぞお時間になるまでここでお休み下さい」
イゴール卿が扉を開けると、美しい部屋が目の前に現れた。
床には緑のカーペットが敷き詰められ、カーテンも緑で統一されている。調度品は全て木目で、とても品の良い部屋で思わず感嘆の言葉が漏れる
「素敵なお部屋ですね……」
「それでは、私はここで失礼いたします」
イゴール鏡に話しかけるも、彼は私の言葉がまるで耳に入っていないかの様子だった。
「え? あ、あの」
けれど、そのままイゴール卿は部屋を出ていき……音を立てて扉は閉ざされた――
「ああ、そうだが……何か問題でもあるか?」
「ええ、久しぶりに城に帰還されたのですから……そのような身なりでは流石に問題かと。それに今は大事な会議を開いている最中なので、すぐに大公にはお会いすることは出来ないかと思います」
「分かった……それなら言う通りにしよう」
ジェイクは頷き、一瞬私に視線を移すとイゴール卿に命じた。
「では、俺の代わりにミレーユを頼む。そうだな……彼女を『安らぎの間』に案内してあげてくれ」
「え? 『安らぎの間』ですか? しかし、あそこは……」
イゴール卿に戸惑いの表情が浮かぶ。……その部屋には何か問題でもあるのだろうか?
「どうした? 何か言いたいことでもあるのか?」
一瞬、鋭い視線を向けるジェイク。
「い、いえ。何もありません。大公が会議を終えられるには後1時間半あります。私の方から話をさせていただきますので二時間後、お迎えに参ります」
「二時間か。それくらいあればミレーユの準備もできるだろう……分かった、その様に頼む」
ジェイクは頷くと、私に視線を向けた。
「それではミレーユ、約二時間後に部屋に迎えに行く。準備をして待っていてくれ」
「はい、分かりました」
頷き、返事をする。
「ではイゴール卿、ミレーユを頼む」
ジェイクはそれだけ告げると、足早に去って行った。二人でジェイクの後ろ姿を見届けると、イゴール卿が声をかけてきた。
「それではご案内致します、ミレーユ様」
「は、はい」
未だにその呼び名になれなかったが、私は返事をした――
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私の前方を無言のイゴール卿が歩いている。その後姿は、まるで自分に気安く話しかけるなと言わんばかりの圧を感じる。
そこで私は気まずい雰囲気の中、黙ってイゴール卿の後をついて歩いた。
途中、大勢の使用人たちにすれ違った。
彼らはみな、イゴール卿に恭しく挨拶をするものの……私には冷たい視線を送る。
やはり、ジェイクの話していた通り……ミレーユは歓迎される立場にはないということを思い知らされる。
やがてイゴール卿は一つの扉の前で足を止めた。その扉はエバーグリーンの落ち着いた色合いの扉だった。
「こちらがジェイク様のお話されていた『安らぎの間』です。このお部屋は貴賓室として使用されるお部屋になっております。どうぞお時間になるまでここでお休み下さい」
イゴール卿が扉を開けると、美しい部屋が目の前に現れた。
床には緑のカーペットが敷き詰められ、カーテンも緑で統一されている。調度品は全て木目で、とても品の良い部屋で思わず感嘆の言葉が漏れる
「素敵なお部屋ですね……」
「それでは、私はここで失礼いたします」
イゴール鏡に話しかけるも、彼は私の言葉がまるで耳に入っていないかの様子だった。
「え? あ、あの」
けれど、そのままイゴール卿は部屋を出ていき……音を立てて扉は閉ざされた――
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