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24 出発
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エドモントとラルフが隠れ家に戻ってきたのは真夜中の午前2時過ぎだった。
「おふたりとも……一体何をされていたのですか?」
「おやすみになっていらっしゃらなかったのですか?」
エドモントとラルフは私とジェイクがダガーから飾りの宝石を引き抜いている姿を見て目を丸くしている。
「ええ、ジェイクと話し合ったのだけど……やはりこの先、散り散りになってしまった仲間たちを集めるには馬車が無いと大変だろうと話し合ったの。だけど、馬車を手に入れるとしても、お金が必要でしょう?」
「まさか、そのために資金を作る為に、ダガーの宝飾飾りを外していたのですか?」
エドモントが尋ねる。
「ええ、貴金属類は今のような時代でも価値があるものでしょう?」
「確かにそうですが……」
エドモントは机の上に置かれた宝石を見つめる。その数は30粒ほどだ。
「でも、これだけあれば馬と荷馬車を手に入れられそうですね」
ラルフがエドモントに尋ねる。
「……ああ。確かに。保存食も手に入れられるかもしれない」
その言葉に私は顔を上げた。
「……保存食?」
「はいそうです。ユリアナ様、実は酒場のマスターが我らの持ち込んだワインを偉く気に入ってくれたのですよ。だからこちらの知りたかった情報を得ることが出来ました」
ラルフが上機嫌で話してくる。
「酒場のマスターの話によると、現在『アレス王国』内では牢屋が東西南北に四箇所設置されているそうです。ちなみに我々は南の地区の牢屋に入れられておりました。牢屋の場所が記された地図をもらうことが出来ました」
エドモントがテーブルの上に地図を広げた。
「今現在我々がいる場所はここです。そしてここから東の方角には『オーリンズ』地区があります。ここが今現在一番近い地区ですが……ここにはこの国一番大きな牢屋があるそうです。まずはこの地区を目指そうかと思ってます。それでも二十キロ程離れてはいるのですが」
「二十キロ……歩くと確かにかなり距離があるわね」
とてもではないが、そんな長い距離をこのか弱い身体で歩けそうには無かった。
「なので、早速朝になったらこの宝石を持って町に出て馬と馬車を手にれましょう」
エドモントの話に私達は頷いた――
****
翌朝9時――
少し遅めに起床した私達は隠れ家を出た。エドモントが隠れ家の入り口を塞ぐ仕掛けに触れると、巨大な岩が動きだす。
ゴゴゴゴゴゴ……
やがて完全に岩が閉じると、そこは単なる岩肌に変わっている。
「次にここへ戻るときには中間を連れて来るときね」
フード付きマントで全身を覆った私はポツリと呟く。
「ええ、そうですね」
ラルフが頷く。
「では出発しましょう」
エドモントが声を掛けた。
「行こうか、ユリアナ」
「はい」
ジェイクの言葉に返事をすると、私達は隠れ家を後にした――
「おふたりとも……一体何をされていたのですか?」
「おやすみになっていらっしゃらなかったのですか?」
エドモントとラルフは私とジェイクがダガーから飾りの宝石を引き抜いている姿を見て目を丸くしている。
「ええ、ジェイクと話し合ったのだけど……やはりこの先、散り散りになってしまった仲間たちを集めるには馬車が無いと大変だろうと話し合ったの。だけど、馬車を手に入れるとしても、お金が必要でしょう?」
「まさか、そのために資金を作る為に、ダガーの宝飾飾りを外していたのですか?」
エドモントが尋ねる。
「ええ、貴金属類は今のような時代でも価値があるものでしょう?」
「確かにそうですが……」
エドモントは机の上に置かれた宝石を見つめる。その数は30粒ほどだ。
「でも、これだけあれば馬と荷馬車を手に入れられそうですね」
ラルフがエドモントに尋ねる。
「……ああ。確かに。保存食も手に入れられるかもしれない」
その言葉に私は顔を上げた。
「……保存食?」
「はいそうです。ユリアナ様、実は酒場のマスターが我らの持ち込んだワインを偉く気に入ってくれたのですよ。だからこちらの知りたかった情報を得ることが出来ました」
ラルフが上機嫌で話してくる。
「酒場のマスターの話によると、現在『アレス王国』内では牢屋が東西南北に四箇所設置されているそうです。ちなみに我々は南の地区の牢屋に入れられておりました。牢屋の場所が記された地図をもらうことが出来ました」
エドモントがテーブルの上に地図を広げた。
「今現在我々がいる場所はここです。そしてここから東の方角には『オーリンズ』地区があります。ここが今現在一番近い地区ですが……ここにはこの国一番大きな牢屋があるそうです。まずはこの地区を目指そうかと思ってます。それでも二十キロ程離れてはいるのですが」
「二十キロ……歩くと確かにかなり距離があるわね」
とてもではないが、そんな長い距離をこのか弱い身体で歩けそうには無かった。
「なので、早速朝になったらこの宝石を持って町に出て馬と馬車を手にれましょう」
エドモントの話に私達は頷いた――
****
翌朝9時――
少し遅めに起床した私達は隠れ家を出た。エドモントが隠れ家の入り口を塞ぐ仕掛けに触れると、巨大な岩が動きだす。
ゴゴゴゴゴゴ……
やがて完全に岩が閉じると、そこは単なる岩肌に変わっている。
「次にここへ戻るときには中間を連れて来るときね」
フード付きマントで全身を覆った私はポツリと呟く。
「ええ、そうですね」
ラルフが頷く。
「では出発しましょう」
エドモントが声を掛けた。
「行こうか、ユリアナ」
「はい」
ジェイクの言葉に返事をすると、私達は隠れ家を後にした――
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