罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ発売中

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 四人でテーブルを囲んで食事をしながら、私達は今後の予定を話し合っていた。

「まずはベルンハルト家の騎士だった仲間達を探し出すのが先決だと思います」

「僕もそう思います。今のままでは何もことを起こせませんから」

エドモントの言葉に続き、ラルフが頷く。

「そうよね‥…あなた達は偶然牢屋が破壊されたから出ることが出来たけど、他の人達はどうなっているのか分からないものね……でも、皆がどこの牢屋に入れられているか場所は分かるの?」

私の言葉にエドモントが首を振る。

「……申し訳ありません。我々にもさっぱり分かりません。何しろ地下牢から出られたのは本当につい最近のことですから」

「地下牢に入れられていた時は、殆ど情報が入って来ませんでしたからね。ろくにお役に立てず、申し訳ございません」

ラルフが悔し気に謝罪してくる。

「いいのよ、謝らなくても。私だって、十年もの記憶が全く無いのよ? おまけにこの身体は誰の物だったのかも分からないのだから」

そして私はチラリとジェイクの様子を伺った。彼は私を見て『ミレーユ』と呼んだ。彼はこの身体の本当の持ち主を知っているのではないだろうか?

けれど、ジェイクは何食わぬ顔でコーヒーを飲んでいる。私と目が合うと首を傾げられてしまった。

「どうしたんだい? ユリアナ」

「い、いえ。ジェイクが一番今の現状を理解出来ているのかと思って」

「確かに、そうかもしれないけれど……でもごめん。俺はあまりこの地区のことを知らないんだ。何しろ戦争が始まった途端にここが一番危険な無法地帯になってしまったから。この土地に来るのも初めてなんだよ」

申し訳なさそうに謝って来るジェイク。

「そうですよね……ごめんなさい、変なことを聞いてしまって」

「いや、謝らなくていいよ」

「となると‥…やはり情報を集めるには、あそこに行くしかないか……」

エドモントが考え込みながら呟く。

「あそこ? 一体どこのことなの?」

「酒場ですよ。あそこに行けば様々な情報を手に入れることができますから」

私の質問にラルフが答えた。

「……酒場? しかし、戦争が始まってからは人々の娯楽のアルコールが禁止されていたのでは?」

ジェイクの言葉に私は驚きを隠せなかった。

「え? そうだったのですか?」

「ああ。『タリス』王国の国王がアルコール禁止令を出したんだ。この非常時に人々を堕落させる飲み物を飲むなど、言語道断だと言って。……だから市場には闇の酒が出回ったり、非合法の酒場が横行しているんだけどね」

「だから、ますます治安も悪化してしまったのですよ」

ジェイクに続き、エドモントが教えてくれた。

「しかし、それだけ多くの人々が酒を求めて酒場に集まってくるという訳です。この地区にも非合法の酒場が点在しています。夕方になったら行ってみましょう」

「その酒場…‥当然私も連れて行って貰えるのよね?」

「「「え!?」」」


私の言葉に全員が驚いたのは言うまでも無かった――
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