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8 私の目的

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「成程、それで『ウィスタリア』に戻って来たかったのか?」

ジェイクが頷く。

「そうです。ここに来れば何があったのか、正確な情報が手に入るのではないかと考えたからです。それに、私の知る人たちがまだ残っている可能性もあるのではないかと思ったので」

「そうか。なら……会えて良かったな」

「はい。彼、エドモントは私が率いていた第三騎士団に所属していましたから」

「ベルンハルト家の話は聞いたことがあるよ。代々『アレス王国』の剣として国に忠誠を誓っていたのは有名な話だったからな」

頷くジェイク。

「そうです。ベルンハルト家に生まれた者は男女を問わず騎士にならなければなりません。私も例外なくそうでした。幼い頃から剣を持たされ、厳しい訓練を受けてきて戦場で戦ったこともあります。腕には自信がありました」

「なる程、ユリアナは強かったのか。だが……その割には……」

ジェイクは私の細腕をチラリと見た。彼の言いたいことは分かっている。

「はい、そうです。この身体と、以前の私の身体では……全く違います。今の身体では……恐らく剣を持つことも出来ないでしょう」

私は自分の細腕をじっと見つめる。水の入った二つの桶すら持つことが出来ないのだ。たとえ剣を持てたとしても、振るうことなど不可能だ。

「それで? ここから先はどうするんだ?」

「エドモントにはまだ自分の置かれた状況しか説明していません。これから彼に私がここへ来た目的を打ち明けるつもりです」

「君と家族を滅ぼした元凶を探し出して、報復することか?」

「……いいえ。私と家族の死に関わった者たち全員に報復します。私が別人の身体で蘇ったのは……無惨に殺された家族の無念を晴らす為に神様が与えてくれたチャンスではないかと思っています」

「そうなのか。まぁ、自分の命も家族の命も奪われたのだからな……俺には止める権利は無いが、今のその身体では剣を振るうことすら出来ないのだろう? どうするつもりなんだ?」

ジェイクはじっと私を見つめてくる。

「仲間を探します……」

「仲間?」

「はい、そうです。現に私はここでエドモントとラルフに再会することが出来ました。きっとまだ他に仲間が何処かにいると思うのです。それに、私達と共通の敵を持つ人々もここにいると思います」

「なる程……それじゃユリアナは報復をする為にこの地に残るんだな?」

「はい、そうです」

「そうか……」

ため息をつくジェイク。

「それで……ジェイクさんはどうしますか?」

「え? 俺か?」

「はい。これから私は自分の目的を達成するために危険に身を投じることになるでしょう。ときには犯罪めいた行為に手を染めるかもしれません……つまり、私といれば……」

そこから先は口を閉ざした。
本来であれば、仲間はひとりでも多いほうがいい。それにジェイクは行動的な人物だ。彼なら心強い存在になってくれるだろう。

けれど、その反面……私は命の恩人のジェイクを巻き込みたくはなかった――
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