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4 知られていない事実

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 銃口を突き付けられながら、私は別室へと連れて行かれた。

 その部屋は物置として使用されているのか、大小様々な箱が積み上げられていた。

「それで? 俺にどんな話がしたいと言うのだ?」

 エドモントは銃口を向けたまま尋ねてきた。
 
「……」

 私は少しの間、エドモントを見つめた。彼が信じてくれるかどうかは分からないが……試してみることにしよう。

「エドモント、元気そうで安心したわ」

「何⁉ お前……一体何故俺の名を! そうか……もしかして手配書を見たのか? それで俺の首を取りに来たというわけだな! だが、残念だったな! この状況、圧倒的に不利な立場にいるのはどちらか……言うまでもあるまい」

 エドモントの目が殺気に満ちる。手配書? そんなものが出回っていたことすら知らない。けれど、私はもしかすると地雷を踏んでしまったのだろうか?

 それなら……。

「左肩の傷はどう? まだ痛む? 敵の弓矢で撃たれた時は流石に驚いたわ。貴方はあの怪我が原因で暫くの間、剣を握ることが出来なかったわね?」

「!」
 
 私の言葉にエドモントの肩がピクリと動く。もう少しだ……。

「そう言えば……貴方には婚約者がいたわね? 確かセーラさんだったかしら? 彼女は今どうしているの?」

「何! 貴様……一体その情報を何処で手に入れた!」

 だけど、私は構わず続けた。

「私が初めて部隊を率いて戦地に赴いた時……皆は私を女だということで見下していたわ。公女だと言うことで、直接不満を私に言ってきたものはいなかったけれども……貴方だけは違ったわ。私に騎士としての忠誠を誓ってくれたから……皆が従うようになってくれたのよ。貴方には感謝しているわ。エドモント・クレイブ」

「な、何だって……? な、何故そのことを……? その話を知る者は公女が率いていた第三騎士団達しか知らないはずなのに……ま、まさか……?」

 エドモントは私を見て震えている。
 信じてもらえるかどうかは分からないが……彼に真実を告げよう。

「外見はすっかり変わってしまったけれど、私はユリアナ・ベルンハルト。レグヌム歴528年の6月25日に死んで……気づけばこの身体の中に入り込んでいたのよ」

「レグヌム歴528年の6月25日……確かにその日を境に公女様は行方不明になってしまったが……ま、まさか……本当に……?」

「ええ、そうよ。信じてもらえないかもしれないけれど、これは事実なのよ」

 そして私は左手を腰に当て、右手で前髪を書き上げるとエドモントは目を見開いた。

「そ、その癖は……まさに公女様だ。ユリアナ様だ……!」

 次の瞬間、エドモントは突然私の前にひざまずいてきた。

「申し訳ございませんでした! 」

 そして頭を下げてきた――
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