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第9章 5 運命の書き換え
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気が付いてみると私は見知らぬ部屋に立っていた。部屋中には錆びた鉄の様な臭いが漂っていて、床も壁も天井も全て石造りの部屋はまるで牢屋を思わせるようで心が不安な気持ちになってくる。
薄暗い部屋に徐々に慣れてきて、視界がはっきりとしてくる・・・。
そして私は見た。床の上に血だまりの中でうつ伏せなって倒れているルークの姿を。
「イヤアアアッ!!ルークッ!!」
名前を呼びながら、まるで転がるように彼の元へ駆け寄る。血まみれのルークの身体を何とかあおむけにした
そしてルークの顔をのぞき込む。ルークの顔色は土気色に染まり、生きた人間のそれとはまるで異なっていた。・・・誰の目から見ても、彼がもう死んでいるのは明らかだった。
「嫌・・・。ルーク・・・目を開けてよ・・。お願い、死なないで・・・っ!!
うっ・・・うっ・・・。」
ルークの頭を抱えながら、激しく嗚咽する。彼の冷たい血が・・・自分の手を、服を真っ赤に染めていく。それがまた悲しくてたまらない。
嫌だ、信じたくない。私を助けに来た為に死んでしまったなんて・・・誰か、誰か嘘だと言って・・・。
「誰でもいいから・・・ルークを・・・皆を生き返らせてよっ!!」
私はルークの頭を胸に抱きしめたまま、涙を流しながら天を仰いで叫んだ。
すると、突然自分の身体が強く光輝くのを感じた。それは目を開ける事も困難になる程の眩しすぎる光は洪水の如く、自分の身体から放出される。それと同時に胸が焼け付きそうになる程に熱くなってきた。熱い・・・苦しい・・・。まさか、またアカシックレコードが暴走を・・・?
そして目の前が真暗になり、意識がブラックアウトする直前・・・。
誰かに名前を呼ばれた気がした―。
<ジェシカ・・・・。>
誰かが私を呼んでいる。
誰・・・?
<ジェシカ・・・・目を開けろ・・・。>
嫌。もう放っておいて・・・。
私の為に人が死んでいった。
ルーク・・・グレイ・・・レオ・・・。
それだけじゃない、他の人達も・・無事ではすまなかったかもしれない。
皆私を助ける為に死んでしまった。
・・・テオも・・・。
<ジェシカ・・・皆、ジェシカの傍にいるぞ?お前が目を覚ますのを皆まってるぞ・・?>
すぐそばで声が聞こえた気がした。ゆっくり目を開けると、私は不思議な空間に浮いていた。
上も下も分らない青白く光り輝く不思議な空間・・。中を漂う水の球体・・・。
ここは一体・・・?
すると背後で声が聞こえた。
「目・・・開けたな?ジェシカ。」
え?その声は・・・?
振り向くとそこに浮かんでいたのは・・・
「テ・テオ?!」
次の瞬間私はテオの腕の中にいた。
「ジェシカ・・・また会えたな。」
優しい声で私に語り掛け、頭を撫でてくるテオ。
「テ・・・テオ・・・!!」
テオの胸に顔をうずめ、私は激しく泣きじゃくった。
「馬鹿だな、ジェシカは・・・・こんな奥深くまで入り込んでしまうなんて・・・。」
テオは何所までも優しい声で私に語り掛けてくる。
「テオ・・・こ、ここは一体どこなの・・?」
テオにしがみついたまま、尋ねた。
「ここは・・・ジェシカ、お前の中に埋め込まれたアカシックレコードの世界さ。」
「え・・?この不思議な空間が・・・アカシックレコードの世界・・なの・・?」
辺りを見渡してみるが・・本当にこの世の物とは思えない不思議な空間がどこまでも広がっている。
「ああ。そうさ。お前・・・自分の意思でここまでやってきたんだぜ?」
「自分の意思・・・?まさか・・アカシックレコードが暴走して・・・?」
「いや。暴走なんかしていない。ジェシカ・・・。お前は自分の意思でアカシックレコードを使って・・・運命を書き換えたんだよ。」
テオは私の頬に手を添えると笑みを浮かべた。
「運命を・・書き換えた・・・?」
「ああ、そうだ。ジェシカ・・・・・。今のお前なら、きっともう誰にも負けない。
魔王だって・・・・お前の力できっと・・・。」
その時、フワリと身体が宙を浮いてテオの身体から離れた。
「え?テオ?」
「・・・そろそろ時間だな。」
「え?時間・・・?時間て何の事?」
言いながらも私の身体はどんどんテオの身体から離れていく。
「嫌っ!私を何所へ連れて行こうって言うの!テオッ!お願いっ!私の・・・私の手を取って!一緒に帰りましょう?!」
しかし、テオは黙って首を振って私を見上げる。
「ジェシカ・・・ほんとに短い時間だったけど・・・お前とこうして又会えて嬉しかったよ。みんながお前の事待ってる。早く戻ってやれよ。」
「何言ってるの?!テオッ!」
「ジェシカ・・・・幸せになれよ。」
そしてテオは笑顔で私に言い・・・・やがて私の視界は光で覆われ・・・世界が戻ってきた。
「う・・・。」
ゆっくり2、3度瞬きをして目を開けると、そこには大勢の仲間たちが私を見下ろしていた。そして真っ先に飛び込んできたのはエルヴィラの姿だった。
「エ・・・エルヴィラ・・・・?」
「ジェシカ様・・・。」
エルヴィラの目にみるみる涙が貯まり・・・次の瞬間エルヴィラは私を抱きしめてきた。
「良かった・・・!ジェシカ様・・・。このままアカシックレコードに飲み込まれてしまうかと思っておりました・・・・っ!そ、そんな事になったら、わ・・・私は・・・生きていけませんっ!」
「エルヴィラ・・・。」
エルヴィラに抱きしめられながら辺りを見渡すと、そこにはアラン王子、マシュー、デヴィット、ノア先輩にダニエル先輩・・・そして・・・。
「え・・・?嘘・・・・?」
私は目を見開いた。
するとエルヴィラは何かを感じたのか・・・私から身体を離した。
私の目に飛び込んできた人たちは・・・。
「ルーク・・・グレイ・・・レオ・・・・?」
そこに立っていたのは、いつもと変わらぬ3人の姿だった。すると3人が私に近づいてくるとルークが言った。
「・・ありがとう、ジェシカ・・。俺たちの事・・助けてくれて・・・。目を開けた時・・ジェシカが俺の上に倒れていたんだ。ジェシカの力が俺たちを生き返らせてくれたって、エルヴィラから聞いたよ。」
「ル・・・ルーク・・・。」
気が付けば、私はルークの首に腕を巻き付け、彼の胸に縋って泣いていた。
「ジェ、ジェシカ・・・。」
ルークの戸惑う声が頭上で聞こえ・・・ルークが私の身体に手を添えた時・・・。
「おい!ルークッ!!俺の前でジェシカに触れるなっ!!」
アラン王子が声を荒げ、無理やりルークから引き離されると私はアラン王子の腕に囚われていた。
「ジェシカ・・・本当に無事で良かった・・・。お前のお陰で俺たちは戦えた。」
そして私の髪に顔をうずめてくる。
「アラン王子っ!ジェシカから離れろっ!」
怒気を強めるデヴィットの声を皮切りにその場にいた男性陣全員が口論を始め・・・。
「お前たち!いい加減にしないかっ!!」
エルヴィラの一括で、その場が静まった。その時、私はある事に気が付いた。
「あれ。アンジュ・・・アンジュはどこ?一緒に来ていたでしょう?」
「ええ。アンジュは・・・・ルークの部屋に転移したジェシカ様を追おうとした魔王の前に立ち塞がり、自分ごと魔王を連れて別の空間に転移して・・今まさに戦っているところです・・。」
エルヴィラが目を伏せて答えた。
「そ、そんな・・・っ!」
その直後・・・城が大きく揺れてグラリと傾く。
「ジェシカ様!」
咄嗟にエルヴィラが私を受け止めてくれた。辺り一帯がものすごい喧噪に包まれた。
「ね、ねえ・・。この部屋の外が何だかすごく騒がしいようなんだけど・・?」
「ああ。そうだ、今・・・全ての聖剣士と『狭間の世界』のソルジャーと呼ばれる者達が魔族たちと戦っているんだ。」
デヴィットが答えた。
「え?そ・・そうなの?!な、何故そんな事に・・・。魔族たちの中にだって・・・悪者ばかりじゃないのに・・!!」
「・・・それはね、ジェシカ。魔王・・ドミニクが降伏しないからだよ。」
マシューが言う。
「そ、そんな・・・。」
私は下を向いて。ギュッと両手を握りしめた。
「行かなくちゃ・・・・。」
「ジェシカ様?」
エルヴィラが私に声をかけてくる。
その場にいた・・・アラン王子。デヴィット。マシュー。ノア先輩、ダニエル先輩。
そしてグレイ、ルーク。レオ・・・全員の視線が一斉に私に集中する。
「私・・・公爵の処へ行かなくちゃ!」
そう叫んだ途端、私の身体は空間転移した-。
薄暗い部屋に徐々に慣れてきて、視界がはっきりとしてくる・・・。
そして私は見た。床の上に血だまりの中でうつ伏せなって倒れているルークの姿を。
「イヤアアアッ!!ルークッ!!」
名前を呼びながら、まるで転がるように彼の元へ駆け寄る。血まみれのルークの身体を何とかあおむけにした
そしてルークの顔をのぞき込む。ルークの顔色は土気色に染まり、生きた人間のそれとはまるで異なっていた。・・・誰の目から見ても、彼がもう死んでいるのは明らかだった。
「嫌・・・。ルーク・・・目を開けてよ・・。お願い、死なないで・・・っ!!
うっ・・・うっ・・・。」
ルークの頭を抱えながら、激しく嗚咽する。彼の冷たい血が・・・自分の手を、服を真っ赤に染めていく。それがまた悲しくてたまらない。
嫌だ、信じたくない。私を助けに来た為に死んでしまったなんて・・・誰か、誰か嘘だと言って・・・。
「誰でもいいから・・・ルークを・・・皆を生き返らせてよっ!!」
私はルークの頭を胸に抱きしめたまま、涙を流しながら天を仰いで叫んだ。
すると、突然自分の身体が強く光輝くのを感じた。それは目を開ける事も困難になる程の眩しすぎる光は洪水の如く、自分の身体から放出される。それと同時に胸が焼け付きそうになる程に熱くなってきた。熱い・・・苦しい・・・。まさか、またアカシックレコードが暴走を・・・?
そして目の前が真暗になり、意識がブラックアウトする直前・・・。
誰かに名前を呼ばれた気がした―。
<ジェシカ・・・・。>
誰かが私を呼んでいる。
誰・・・?
<ジェシカ・・・・目を開けろ・・・。>
嫌。もう放っておいて・・・。
私の為に人が死んでいった。
ルーク・・・グレイ・・・レオ・・・。
それだけじゃない、他の人達も・・無事ではすまなかったかもしれない。
皆私を助ける為に死んでしまった。
・・・テオも・・・。
<ジェシカ・・・皆、ジェシカの傍にいるぞ?お前が目を覚ますのを皆まってるぞ・・?>
すぐそばで声が聞こえた気がした。ゆっくり目を開けると、私は不思議な空間に浮いていた。
上も下も分らない青白く光り輝く不思議な空間・・。中を漂う水の球体・・・。
ここは一体・・・?
すると背後で声が聞こえた。
「目・・・開けたな?ジェシカ。」
え?その声は・・・?
振り向くとそこに浮かんでいたのは・・・
「テ・テオ?!」
次の瞬間私はテオの腕の中にいた。
「ジェシカ・・・また会えたな。」
優しい声で私に語り掛け、頭を撫でてくるテオ。
「テ・・・テオ・・・!!」
テオの胸に顔をうずめ、私は激しく泣きじゃくった。
「馬鹿だな、ジェシカは・・・・こんな奥深くまで入り込んでしまうなんて・・・。」
テオは何所までも優しい声で私に語り掛けてくる。
「テオ・・・こ、ここは一体どこなの・・?」
テオにしがみついたまま、尋ねた。
「ここは・・・ジェシカ、お前の中に埋め込まれたアカシックレコードの世界さ。」
「え・・?この不思議な空間が・・・アカシックレコードの世界・・なの・・?」
辺りを見渡してみるが・・本当にこの世の物とは思えない不思議な空間がどこまでも広がっている。
「ああ。そうさ。お前・・・自分の意思でここまでやってきたんだぜ?」
「自分の意思・・・?まさか・・アカシックレコードが暴走して・・・?」
「いや。暴走なんかしていない。ジェシカ・・・。お前は自分の意思でアカシックレコードを使って・・・運命を書き換えたんだよ。」
テオは私の頬に手を添えると笑みを浮かべた。
「運命を・・書き換えた・・・?」
「ああ、そうだ。ジェシカ・・・・・。今のお前なら、きっともう誰にも負けない。
魔王だって・・・・お前の力できっと・・・。」
その時、フワリと身体が宙を浮いてテオの身体から離れた。
「え?テオ?」
「・・・そろそろ時間だな。」
「え?時間・・・?時間て何の事?」
言いながらも私の身体はどんどんテオの身体から離れていく。
「嫌っ!私を何所へ連れて行こうって言うの!テオッ!お願いっ!私の・・・私の手を取って!一緒に帰りましょう?!」
しかし、テオは黙って首を振って私を見上げる。
「ジェシカ・・・ほんとに短い時間だったけど・・・お前とこうして又会えて嬉しかったよ。みんながお前の事待ってる。早く戻ってやれよ。」
「何言ってるの?!テオッ!」
「ジェシカ・・・・幸せになれよ。」
そしてテオは笑顔で私に言い・・・・やがて私の視界は光で覆われ・・・世界が戻ってきた。
「う・・・。」
ゆっくり2、3度瞬きをして目を開けると、そこには大勢の仲間たちが私を見下ろしていた。そして真っ先に飛び込んできたのはエルヴィラの姿だった。
「エ・・・エルヴィラ・・・・?」
「ジェシカ様・・・。」
エルヴィラの目にみるみる涙が貯まり・・・次の瞬間エルヴィラは私を抱きしめてきた。
「良かった・・・!ジェシカ様・・・。このままアカシックレコードに飲み込まれてしまうかと思っておりました・・・・っ!そ、そんな事になったら、わ・・・私は・・・生きていけませんっ!」
「エルヴィラ・・・。」
エルヴィラに抱きしめられながら辺りを見渡すと、そこにはアラン王子、マシュー、デヴィット、ノア先輩にダニエル先輩・・・そして・・・。
「え・・・?嘘・・・・?」
私は目を見開いた。
するとエルヴィラは何かを感じたのか・・・私から身体を離した。
私の目に飛び込んできた人たちは・・・。
「ルーク・・・グレイ・・・レオ・・・・?」
そこに立っていたのは、いつもと変わらぬ3人の姿だった。すると3人が私に近づいてくるとルークが言った。
「・・ありがとう、ジェシカ・・。俺たちの事・・助けてくれて・・・。目を開けた時・・ジェシカが俺の上に倒れていたんだ。ジェシカの力が俺たちを生き返らせてくれたって、エルヴィラから聞いたよ。」
「ル・・・ルーク・・・。」
気が付けば、私はルークの首に腕を巻き付け、彼の胸に縋って泣いていた。
「ジェ、ジェシカ・・・。」
ルークの戸惑う声が頭上で聞こえ・・・ルークが私の身体に手を添えた時・・・。
「おい!ルークッ!!俺の前でジェシカに触れるなっ!!」
アラン王子が声を荒げ、無理やりルークから引き離されると私はアラン王子の腕に囚われていた。
「ジェシカ・・・本当に無事で良かった・・・。お前のお陰で俺たちは戦えた。」
そして私の髪に顔をうずめてくる。
「アラン王子っ!ジェシカから離れろっ!」
怒気を強めるデヴィットの声を皮切りにその場にいた男性陣全員が口論を始め・・・。
「お前たち!いい加減にしないかっ!!」
エルヴィラの一括で、その場が静まった。その時、私はある事に気が付いた。
「あれ。アンジュ・・・アンジュはどこ?一緒に来ていたでしょう?」
「ええ。アンジュは・・・・ルークの部屋に転移したジェシカ様を追おうとした魔王の前に立ち塞がり、自分ごと魔王を連れて別の空間に転移して・・今まさに戦っているところです・・。」
エルヴィラが目を伏せて答えた。
「そ、そんな・・・っ!」
その直後・・・城が大きく揺れてグラリと傾く。
「ジェシカ様!」
咄嗟にエルヴィラが私を受け止めてくれた。辺り一帯がものすごい喧噪に包まれた。
「ね、ねえ・・。この部屋の外が何だかすごく騒がしいようなんだけど・・?」
「ああ。そうだ、今・・・全ての聖剣士と『狭間の世界』のソルジャーと呼ばれる者達が魔族たちと戦っているんだ。」
デヴィットが答えた。
「え?そ・・そうなの?!な、何故そんな事に・・・。魔族たちの中にだって・・・悪者ばかりじゃないのに・・!!」
「・・・それはね、ジェシカ。魔王・・ドミニクが降伏しないからだよ。」
マシューが言う。
「そ、そんな・・・。」
私は下を向いて。ギュッと両手を握りしめた。
「行かなくちゃ・・・・。」
「ジェシカ様?」
エルヴィラが私に声をかけてくる。
その場にいた・・・アラン王子。デヴィット。マシュー。ノア先輩、ダニエル先輩。
そしてグレイ、ルーク。レオ・・・全員の視線が一斉に私に集中する。
「私・・・公爵の処へ行かなくちゃ!」
そう叫んだ途端、私の身体は空間転移した-。
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