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第3章 3 お帰り、ジェシカ
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「どうだ?ダニエル・・いたか?」
今私達はダニエル先輩が出てくるはずの昇降口の前に待機している。
大勢の学生達がぞろぞろと校舎から出て来て、時折不思議そうな顔で通り過ぎて行く。まあ・・それは無理も無いかも。不自然なほどダブダブの上着を着て、フードを被って顔を隠した私の左右の手をそれぞれ右手をデヴィット、左手をマイケルさんに繋がれているのだから・・・。これではまるで迷子になって保護された子供の様だ。
「出てきませんねえ・・・。ダニエル先輩・・・。」
ポツリと言った。
「おい、ひょっとすると・・・ダニエルの奴・・・授業をさぼってるんじゃないのか?」
デヴィットが身をかがめて耳打ちしてくる。
「さあ・・・どうでしょう・・?」
「まあ、もう少しここで様子を見てみようよ。」
マイケルさんはのんびり構えている。
その時・・・・。
「おい、デヴィットじゃないか!」
前方から来た1人の学生が声を掛けて来た。
「げ!キース・・・・ッ!」
デヴィットが口の中で小さく舌打ちするのが聞こえた。え?キース・・・?う~ん・・何処かで聞いたことがあるような名前だなあ・・・・。
「お前・・・こんな所で何やってるんだよ。最近授業には出てこないし・・・寮にも戻っていないだろう?完全に校則違反してるぞ?・・・・所で・・・なんだ?こいつら?」
キースと呼ばれた青年が私とマイケルさんをジロジロと見ている。
「やあ、こんにちは。」
マイケルさんは笑みを浮かべて挨拶をした。
「はあ・・・?こんにちは・・・?」
「あ~じ、実は・・この2人は兄弟で俺の知り合いなんだ・・・。彼が今年、この学院を受験希望で・・今日はちょっと下見に・・・だな・・・。」
デヴィットがしどろもどろに言う。うわっ!演技下手すぎっ!
「ふ~ん・・・。そうなんだ・・・。しかし、今年受験するって割には・・・随分背が低いねえ、君・・・。まるで子供か女の子みたいだ。」
言いながら、キースと呼ばれた青年は私の被っていたフードをアッと言う間に払ってしまった。
「おい!何するんだっ!」
デヴィットが叫ぶも・・・時すでに遅し・・・。
この青年の眼前で私の素顔は晒されてしまった。しかも運が悪い事に、そこにはたまたま居合わせた女子学生と男子学生の姿も・・・!
「あ・・・・。」
慌ててフードを被ろうにも私の両手はしっかりとデヴィットとマイケルさんにホールドされ、両手が塞がれている。
「「しまった・・・っ!」」
デヴィットとマイケルさんの声がハモる。
「へえ~・・・・・。」
途端に青年の顔に不敵な笑みがうかぶ。
「君・・・綺麗だね・・・。」
その目、その一言で一気に全身に鳥肌が立つ。こ・・・この男・・・ヤバイかも・・・!このおぞけ具合は半端では無い。今まで生徒会長やマリウスによって鳥肌が立つ事は何度もあったが・・この眼前の男からすれば、あの2人なんて可愛らしいものだ。
「ねえ・・・お兄さんと・・・一緒に遊んでみないかい・・?」
舌なめずりしながら私の髪の毛に触れてくる。う・・き・・・気色悪いっ!!
「おい、俺の弟に近付かないでくれないか?」
マイケルさんが私の前に立ちはだかり、デヴィットは青年の胸倉を掴んだ。
「勝手に触れるな・・・。」
「おお~怖いねえ。君達・・・。」
そこへ2人が私から離れたすきに今度は女子学生達がよってきた。
「うわああ・・・何て美少年なの?!」
「ねえねえ。お姉さんたちと一緒に食事に行かない?何でも好きな物食べさせてあげるわ。」
「貴方・・彼女いるの?もしいないなら・・お付き合いしてくれる?」
等々・・もみくちゃにされる。
ヒエエエエッ!こ、これじゃ・・・ダニエル先輩が女嫌いになる気持ちが分かるっ!
「あ、あの・・・。」
必死でデヴィットとマイケルさんを探すも、2人の姿は人混みにかき消されてしまった。
も、もうこうなったら・・・。
「あ、あの・・・す、すみません。よ・用事が出来たので・・・・帰りますっ!」
そして言うが早いか、フードを目深に被り、一目散に逃げだした。
「あーっ!待ってよッ!」
女子学生達が追っかけて来るが・・・ 冗談じゃないっ!もし捕まったら・・・・て・貞操の危機が・・・・っ!!
「はあ~っ、はあ~っ・・・・」
何とか彼女達の追跡から走って逃げきれた・・・。それにしても信じられない。この運動音痴のジェシカが逃げ切れるなんて・・・。やはりこれは火事場の何とかという、いわゆるアレの事なのかもしれない。
「あれっ!そう言えばここは・・・・。」
無意識で滅茶苦茶に走って来たけれども、この場所に来て私は気が付いた。
「ここ・・・ダニエル先輩が良く来ていた場所だ・・・。」
そこは南塔の校舎前・・・ダニエル先輩と初めて会った場所だった。
ここでダニエル先輩はお芋を焼いていて・・・ん?
その時・・・何処からか何かが焼ける匂いが漂って来た。ま・まさか・・・。
フードを目深に被りなおすと、私は恐る恐るその匂いの漂ってくる場所へと近付いて行き・・・。何とそこには焚火を前に長い木の棒でお芋を焼いているダニエル先輩がそこに居たのだ。
ダニエル先輩—!
何だか凄く懐かしい気がする。別れてからまだ2週間程しか経過していないのに・・・余りにも多くの事があり過ぎたから・・。
目頭に熱いものが込み上げてきて涙が浮かんでくる。だけど・・・・ひょっとするとダニエル先輩はノア先輩と同様にソフィーに狙われているので、すでに操られている可能性だってあるのだ。しかも男装しているけれども今の私には人相書き迄出回っている・・・。
でも、少しだけ、ほんの少しだけでも・・・先輩とお話出来たら・・・・。
そう思っていた矢先、ダニエル先輩の方から声を掛けて来た。
「・・・ねえ。君。さっきからそこで何してるのさ?何か僕に用事でもあるの?」
何処か投げやりな・・冷めた目で私の事をじっと見つめているダニエル先輩。
あ・・・そうだった。フードを目深に被っているから・・ダニエル先輩には私だと気付かれていないんだ・・・。
「何?返事もしないで・・・。しかもボクの顔をじっと見つめているし・・・。ねえ、聞いてるの?人の話・・・。君、もしかして耳でも悪いの?」
機嫌が悪そうに言うダニエル先輩。・・・何だか初めて出会った頃を思い出してしまう。
「あ・・す、すみません。はい、一応お話聞いてます。」
「ふ~ん・・・。一応ねえ・・・。そいういえば、以前初めて会った人が同じ事言ってた気がするなあ・・・。」
ダニエル先輩は空を見上げながら呟いた。ダニエル先輩・・・多分、それって私の事じゃありませんか?初めて会った時・・・私同じ返事をしたんですよ・・・?
「まあ、いいや。それより何だって君・・こんな所に来てるの?見た所この学院の学生じゃないみたいだし・・・。」
「あ、あの・・・焼き芋の匂いが・・・して・・余りにも美味しそうだったので・・・。」
そして・・・
グウウウウ~。
ああ・・・またダニエル先輩の前でお腹が・・・・。
ダニエル先輩は目を真ん丸に開けてこちらを見ていたが・・・
「プッ!」
え?
「アハハハ・・ッ!」
突然大笑いを始めた。
「な、何だい、今のお腹の音は・・あ~まるであの時の彼女みたいだ・・・。そういえば・・・今何処で何してるんだろうな・・・。」
ポツリと最後に少しだけ寂しそうに呟くダニエル先輩。
え・・・?ひょっとすると先輩・・・?
「あ、あの・・・彼女みたいって言ってましたけど・・・それって・・・。」
「え?何?何故君みたいに素性の分からない相手に彼女の事を話さなければならないの?」
ジロリと不機嫌そうな目でこちらを睨むダニエル先輩。
「い、いえ・・・。何でもありません・・・。」
どうなんだろう?ダニエル先輩は・・・操られているのだろうか?まだこれだけの会話では・・先輩の本心が分からない・・・・っ!
その時、ふと私の目に・・・掲示板に貼られた私の手配書が目に飛び込んできた。
思わずまじまじと見ていると、ダニエル先輩はああと言って、突然その手配書に手を掛けて破ると、焚火にくべてしまった。
「ふん、全く気に入らない・・・。ジェシカをこんな扱い方するなんて・・・。」
ダニエル先輩・・・先輩は・・私を思い出していたんですね・・・。ソフィーに操られていたわけでは無いんですね・・?
自然と涙がにじみ出てくる。
「何?どうしたのさ。君・・・。」
ダニエル先輩は怪訝な顔で私を見つめている。
先輩・・・・・。
私は被っていたフードを外した・・・。
「え~と・・・?」
ダニエル先輩は首を傾げている。
「君の顔・・・何処かで見たような気がするけど・・・?」
「ダニエル先輩・・・・。私・・・戻ってきました・・・。」
半分泣き笑いを浮かべて私は言った。
「え・・?」
ダニエル先輩は信じられないとでも言わんばかりに目を見開いて私を見ている。
「ま・まさか・・・?」
「はい、私です・・・。ジェシカです・・・っ!」
「ほ、本当に・・・本当にジェシカなの・・・・?」
次の瞬間、私はダニエル先輩の腕の中にいた。
「ジェシカ・・・!色々言いたい事や・・・聞きたい事があるけど・・・。」
ダニエル先輩は私をしっかり抱きしめると言った。
「お帰り、ジェシカ・・・。」
と―。
2
「はい、ジェシカ。焼き立てで熱いから気を付けてね。」
ダニエル先輩が木の棒に刺した熱々の焼き芋をくれた。
「ありがとうございます。フフ・・・美味しそうな匂い。」
思わず笑みが浮かんでしまう。
今、私とダニエル先輩は南塔の校舎前の人通りの少ないベンチに座って仲良く焼き芋を食べている。
「ダニエル先輩は・・・焼き芋が好きなんですね。」
熱々の皮を剥きながらダニエル先輩の顔を見上げた。
「うん・・そうだね。僕の住んでる領地は特にさつま芋の栽培が有名だからね。実家から沢山届くんだ。僕は焼き芋が大好きなんだけど・・この学院の連中は焼き芋なんか所詮庶民の食べ物だとか言って・・・軽蔑して・・・。だから、僕は人目の付かないこの場所で時々お芋を焼いて食べていたんだ。」
「そうだったんですか・・・。」
初めて聞くダニエル先輩の事。そう言えば私、この物語の作者だけど・・・ダニエル先輩の事・・殆ど知らなかった。領地の事もそうだし、家族についても・・・。
「ねえ。ジェシカ・・・。」
不意にダニエル先輩が声を掛けて来た。
「はい、何ですか?」
「実は・・・僕の記憶は曖昧なんだ・・・。」
ダニエル先輩は頭を押さえながら私を見つめた。
「曖昧・・?」
「ノアの事は覚えているよ。と言うか・・彼は2か月以上姿を見せていなかった・・・と言う記憶しか無いんだ。その間・・ノアは何処に行っていたんだろうって曖昧な記憶なんだ。でも、確か・・ノアを助けに魔界へ行くって君は話してくれたよね?」
「はい、そうですね・・・。」
「数日前に突然ノアの事が頭に浮かんだんだよ。どうして学校に来ていないのかなって・・・実家にでも行っていたのか・・・?僕はそんな風に考えていた。」
「・・・。」
私は焼き芋を食べながら黙って先輩の話を聞いていた。
「実は1カ月程前・・・全校集会が開かれたんだ。『ワールズ・エンド』で当時門番をしていた1人の聖剣士「マシュー・クラウド」を刺し殺し、封印を解いて魔界へ行った悪女がいるって・・そこでジェシカ。君の名前があがったんだ。
「!」
「だけど・・・おそらく誰一人として・・君の名前に心当たりが無かったんじゃないかな?だって僕の周りにいた学生達だって、聞いたことが無い名前だと囁き合っていたし。・・何よりこの僕自身がジェシカの記憶が無かったんだから。」
「ダニエル先輩・・・・。」
思わず声が震えてしまう。
「そして、その後・・・全校生徒を集めて『マシュー・クラウド』の葬儀が執り行われて・・・この学院の共同墓地に入れられたと話を聞いたんだ・・・・。」
共同墓地・・・そんなものがあったなんて・・・。その話を聞き、私は顔が青ざめるのを感じた。
「だけど・・・自分でも驚いてるよ。」
突如、明るい声でダニエル先輩が言った。
「驚く・・・?何をですか?」
「だってね・・本当につい数日前なんだよ。朝起きたら・・・不思議な事にノアの事と、そして・・・ジェシカ。君の事を思い出したんだから。そしてそのすぐ後だったよ・・・。君の手配書が学院中に貼られていったのが・・・・。君の従者のマリウスなんか物凄く激怒して自分が見つけた手配書を片っ端から破り、その場で燃やしていたよ。」
「マリウスが・・・。」
「勿論・・マリウスだけじゃない。グレイもルークも・・君の手配書は全て剥がして・・今は謹慎処分になってるよ。僕だって同じことをしているのに・・何故かお咎めなしなんだ。」
ダニエル先輩は肩をすくめながら言った。
「それは・・・きっとソフィーのお気に入りだからですよ。ダニエル先輩が・・・。」
恐らく、ソフィーはまだ・・ダニエル先輩の事を諦めきれないんだ・・・。
「確かに・・僕は何度も何度もソフィーから自分直属の兵士になって私を守ってくれとしつこく誘われたけどね・・・。」
「え・・・・?そうだったんですか?!」
「うん。でもね・・・あんな魔女みたいに恐ろしい女が聖女だって?おかしいと思わないか?あの女の兵士になるなんて、悪魔に魂を売るのと同じだよ。」
「ダニエル先輩・・・。」
「だけど・・・。」
急にダニエル先輩の顔が曇る。
「あのライアンとケビンが・・・・まさか・・ソフィーの兵士になるなんて・・・。」
悔しそうに肩を震わせるダニエル先輩。
「あの・・・それは・・・私のせいなんです・・・。私がライアンさんとケビンさんを魔界へ行く時に・・手を貸して貰ったから・・・私に対する見せしめの為に・・。」
私は下を向いた。目頭が熱くなっていく。すごく・・・いい人達だったのに・・・沢山親切にして貰ったのに・・私が巻き込んだせいで・・。
「ジェシカのせいじゃないよ・・・。悪いのは全てあの女・・ソフィーのせいなんだから・・・。」
ダニエル先輩は私の肩を抱きかかえると言った。
「で、でも・・・。」
「聞いて、ジェシカ。」
ダニエル先輩が私の目を真っすぐに見つめると言った。
「君との記憶を取り戻してから・・・今まで・・・ずっと頭の中に靄がかかっているような感覚があったのを覚えている。そして・・・ソフィーが聖女についてからすぐに、厚い雲に覆われ、太陽が見えなくなり、星や月も雲に隠れてしまったんだ・・・。」
私達は空を見上げた。
そこにあるのは・・・厚い雲に覆われた空が見えるだけ。
「ソフィーは・・ジェシカ。君が魔界の門を開けたせいだと言ってるんだよ。」
ダニエル先輩は私の髪の毛を撫でながら言う。
「ダニエル先輩・・・私・・・『魔界の門』は『ワールズ・エンド』では開けていません・・・っ!」
「勿論、僕は君の言う事を信じるよ。こんな空になったのは・・・あんな女が聖女になったせいだって事をね!」
ダニエル先輩が・・・こんな強い口調で話すなんて・・初めて見た。
「ねえ、ジェシカ。ここで僕が焼き芋を焼いていたの・・偶然だと思う?」
「え・・・?」
「君との記憶が戻ってからずっと・・・僕はここで君が僕の前に現れるのを待っていたんだ。ここで焚火をして、ジェシカの大好きなお芋を焼いていれば・・きっと・・・。」
「フフ・・・ダニエル先輩の考え・・・見事に正解でしたね。確かにお芋の匂いにつられちゃいました。だけど・・・。」
私はノア先輩を見上げた。
「?」
不思議そうに首を傾げるダニエル先輩に私は言った。
「ここに戻ってきた時から・・・ずっとダニエル先輩に会いたいと思っていました。そして・・・気が付いてみたらいつの間にか足がここへ向いていたんです。」
「ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩の瞳が潤んでくる。
「ジェシカ・・・。」
そして私に手を伸ばしかけた時・・・・。
「ジェシカッ!!」
背後で私を呼ぶ激しい声・・・。あ・・・そう言えば・・・私・・黙ってここに来てしまったんだっけ・・・。
振り向くと、不機嫌そうな表情を浮かべて腰に手を当てているデヴィットと、何故かその場にへたり込んでいるマイケルさんの姿があった。
「え・・・?誰だい、君達は・・?ん?でも待てよ・・・君の顔は・・何処かで見た事あるなあ・・・?」
ダニエル先輩は美しい眉を潜めながらデヴィットを見つめた。
「そうか、女子学生に人気のあるダニエルに覚えて貰えているとは光栄だ。」
妙に棘のある言い方をするデヴィット。何だかすごく怒っているようだけど・・。
2人が何やら火花を散らしているが、私はそれどころでは無い。地面にうずくまるように座り込んでいるマイケルさんが気がかりだ。
「デヴィットさん!一体、マイケルさんはどうしたんですか?!」
マイケルさんに駆け寄ろうとした所をデヴィットの腕の中に囚われてしまった。
「デ、デヴィットさん!は、離して下さい!マイケルさんが・・・。」
「駄目だ、こうやって・・・一度お前の無事を確認しなければ・・・。」
その瞬間、私とデヴィットの紋章が光り輝く。そうか・・・これも聖女と聖剣士の誓いを交わした決まり事なのかもしれない。
そしてそんな私達を面白く無さそうな目で見つめるダニエル先輩。
「よし・・・これでジェシカ。お前に俺の守りの力を分けたからな?」
デヴィットが腕の力を緩めたので、すかさず私はマイケルさんに駆け寄った。
「マイケルさん!しっかりして下さい!」
「ああ・・・お嬢さん・・・無事で・・良かった・・。」
真っ青な顔で私を見上げる。
「一体、何があったんですか?」
マイケルさんに尋ねると、代わりにデヴィットが答えた。
「別に・・大したことはしていない。瞬間移動でこの男を連れて移動したら・・こんな風になってしまって・・。短い距離だから大丈夫だと思ったんだが・・やはり魔力を持っていないと・・駄目だったようだ・・・。ごめん・・・悪かった。」
そしてデヴィットは頭を下げるのだった—。
「どうだ?ダニエル・・いたか?」
今私達はダニエル先輩が出てくるはずの昇降口の前に待機している。
大勢の学生達がぞろぞろと校舎から出て来て、時折不思議そうな顔で通り過ぎて行く。まあ・・それは無理も無いかも。不自然なほどダブダブの上着を着て、フードを被って顔を隠した私の左右の手をそれぞれ右手をデヴィット、左手をマイケルさんに繋がれているのだから・・・。これではまるで迷子になって保護された子供の様だ。
「出てきませんねえ・・・。ダニエル先輩・・・。」
ポツリと言った。
「おい、ひょっとすると・・・ダニエルの奴・・・授業をさぼってるんじゃないのか?」
デヴィットが身をかがめて耳打ちしてくる。
「さあ・・・どうでしょう・・?」
「まあ、もう少しここで様子を見てみようよ。」
マイケルさんはのんびり構えている。
その時・・・・。
「おい、デヴィットじゃないか!」
前方から来た1人の学生が声を掛けて来た。
「げ!キース・・・・ッ!」
デヴィットが口の中で小さく舌打ちするのが聞こえた。え?キース・・・?う~ん・・何処かで聞いたことがあるような名前だなあ・・・・。
「お前・・・こんな所で何やってるんだよ。最近授業には出てこないし・・・寮にも戻っていないだろう?完全に校則違反してるぞ?・・・・所で・・・なんだ?こいつら?」
キースと呼ばれた青年が私とマイケルさんをジロジロと見ている。
「やあ、こんにちは。」
マイケルさんは笑みを浮かべて挨拶をした。
「はあ・・・?こんにちは・・・?」
「あ~じ、実は・・この2人は兄弟で俺の知り合いなんだ・・・。彼が今年、この学院を受験希望で・・今日はちょっと下見に・・・だな・・・。」
デヴィットがしどろもどろに言う。うわっ!演技下手すぎっ!
「ふ~ん・・・。そうなんだ・・・。しかし、今年受験するって割には・・・随分背が低いねえ、君・・・。まるで子供か女の子みたいだ。」
言いながら、キースと呼ばれた青年は私の被っていたフードをアッと言う間に払ってしまった。
「おい!何するんだっ!」
デヴィットが叫ぶも・・・時すでに遅し・・・。
この青年の眼前で私の素顔は晒されてしまった。しかも運が悪い事に、そこにはたまたま居合わせた女子学生と男子学生の姿も・・・!
「あ・・・・。」
慌ててフードを被ろうにも私の両手はしっかりとデヴィットとマイケルさんにホールドされ、両手が塞がれている。
「「しまった・・・っ!」」
デヴィットとマイケルさんの声がハモる。
「へえ~・・・・・。」
途端に青年の顔に不敵な笑みがうかぶ。
「君・・・綺麗だね・・・。」
その目、その一言で一気に全身に鳥肌が立つ。こ・・・この男・・・ヤバイかも・・・!このおぞけ具合は半端では無い。今まで生徒会長やマリウスによって鳥肌が立つ事は何度もあったが・・この眼前の男からすれば、あの2人なんて可愛らしいものだ。
「ねえ・・・お兄さんと・・・一緒に遊んでみないかい・・?」
舌なめずりしながら私の髪の毛に触れてくる。う・・き・・・気色悪いっ!!
「おい、俺の弟に近付かないでくれないか?」
マイケルさんが私の前に立ちはだかり、デヴィットは青年の胸倉を掴んだ。
「勝手に触れるな・・・。」
「おお~怖いねえ。君達・・・。」
そこへ2人が私から離れたすきに今度は女子学生達がよってきた。
「うわああ・・・何て美少年なの?!」
「ねえねえ。お姉さんたちと一緒に食事に行かない?何でも好きな物食べさせてあげるわ。」
「貴方・・彼女いるの?もしいないなら・・お付き合いしてくれる?」
等々・・もみくちゃにされる。
ヒエエエエッ!こ、これじゃ・・・ダニエル先輩が女嫌いになる気持ちが分かるっ!
「あ、あの・・・。」
必死でデヴィットとマイケルさんを探すも、2人の姿は人混みにかき消されてしまった。
も、もうこうなったら・・・。
「あ、あの・・・す、すみません。よ・用事が出来たので・・・・帰りますっ!」
そして言うが早いか、フードを目深に被り、一目散に逃げだした。
「あーっ!待ってよッ!」
女子学生達が追っかけて来るが・・・ 冗談じゃないっ!もし捕まったら・・・・て・貞操の危機が・・・・っ!!
「はあ~っ、はあ~っ・・・・」
何とか彼女達の追跡から走って逃げきれた・・・。それにしても信じられない。この運動音痴のジェシカが逃げ切れるなんて・・・。やはりこれは火事場の何とかという、いわゆるアレの事なのかもしれない。
「あれっ!そう言えばここは・・・・。」
無意識で滅茶苦茶に走って来たけれども、この場所に来て私は気が付いた。
「ここ・・・ダニエル先輩が良く来ていた場所だ・・・。」
そこは南塔の校舎前・・・ダニエル先輩と初めて会った場所だった。
ここでダニエル先輩はお芋を焼いていて・・・ん?
その時・・・何処からか何かが焼ける匂いが漂って来た。ま・まさか・・・。
フードを目深に被りなおすと、私は恐る恐るその匂いの漂ってくる場所へと近付いて行き・・・。何とそこには焚火を前に長い木の棒でお芋を焼いているダニエル先輩がそこに居たのだ。
ダニエル先輩—!
何だか凄く懐かしい気がする。別れてからまだ2週間程しか経過していないのに・・・余りにも多くの事があり過ぎたから・・。
目頭に熱いものが込み上げてきて涙が浮かんでくる。だけど・・・・ひょっとするとダニエル先輩はノア先輩と同様にソフィーに狙われているので、すでに操られている可能性だってあるのだ。しかも男装しているけれども今の私には人相書き迄出回っている・・・。
でも、少しだけ、ほんの少しだけでも・・・先輩とお話出来たら・・・・。
そう思っていた矢先、ダニエル先輩の方から声を掛けて来た。
「・・・ねえ。君。さっきからそこで何してるのさ?何か僕に用事でもあるの?」
何処か投げやりな・・冷めた目で私の事をじっと見つめているダニエル先輩。
あ・・・そうだった。フードを目深に被っているから・・ダニエル先輩には私だと気付かれていないんだ・・・。
「何?返事もしないで・・・。しかもボクの顔をじっと見つめているし・・・。ねえ、聞いてるの?人の話・・・。君、もしかして耳でも悪いの?」
機嫌が悪そうに言うダニエル先輩。・・・何だか初めて出会った頃を思い出してしまう。
「あ・・す、すみません。はい、一応お話聞いてます。」
「ふ~ん・・・。一応ねえ・・・。そいういえば、以前初めて会った人が同じ事言ってた気がするなあ・・・。」
ダニエル先輩は空を見上げながら呟いた。ダニエル先輩・・・多分、それって私の事じゃありませんか?初めて会った時・・・私同じ返事をしたんですよ・・・?
「まあ、いいや。それより何だって君・・こんな所に来てるの?見た所この学院の学生じゃないみたいだし・・・。」
「あ、あの・・・焼き芋の匂いが・・・して・・余りにも美味しそうだったので・・・。」
そして・・・
グウウウウ~。
ああ・・・またダニエル先輩の前でお腹が・・・・。
ダニエル先輩は目を真ん丸に開けてこちらを見ていたが・・・
「プッ!」
え?
「アハハハ・・ッ!」
突然大笑いを始めた。
「な、何だい、今のお腹の音は・・あ~まるであの時の彼女みたいだ・・・。そういえば・・・今何処で何してるんだろうな・・・。」
ポツリと最後に少しだけ寂しそうに呟くダニエル先輩。
え・・・?ひょっとすると先輩・・・?
「あ、あの・・・彼女みたいって言ってましたけど・・・それって・・・。」
「え?何?何故君みたいに素性の分からない相手に彼女の事を話さなければならないの?」
ジロリと不機嫌そうな目でこちらを睨むダニエル先輩。
「い、いえ・・・。何でもありません・・・。」
どうなんだろう?ダニエル先輩は・・・操られているのだろうか?まだこれだけの会話では・・先輩の本心が分からない・・・・っ!
その時、ふと私の目に・・・掲示板に貼られた私の手配書が目に飛び込んできた。
思わずまじまじと見ていると、ダニエル先輩はああと言って、突然その手配書に手を掛けて破ると、焚火にくべてしまった。
「ふん、全く気に入らない・・・。ジェシカをこんな扱い方するなんて・・・。」
ダニエル先輩・・・先輩は・・私を思い出していたんですね・・・。ソフィーに操られていたわけでは無いんですね・・?
自然と涙がにじみ出てくる。
「何?どうしたのさ。君・・・。」
ダニエル先輩は怪訝な顔で私を見つめている。
先輩・・・・・。
私は被っていたフードを外した・・・。
「え~と・・・?」
ダニエル先輩は首を傾げている。
「君の顔・・・何処かで見たような気がするけど・・・?」
「ダニエル先輩・・・・。私・・・戻ってきました・・・。」
半分泣き笑いを浮かべて私は言った。
「え・・?」
ダニエル先輩は信じられないとでも言わんばかりに目を見開いて私を見ている。
「ま・まさか・・・?」
「はい、私です・・・。ジェシカです・・・っ!」
「ほ、本当に・・・本当にジェシカなの・・・・?」
次の瞬間、私はダニエル先輩の腕の中にいた。
「ジェシカ・・・!色々言いたい事や・・・聞きたい事があるけど・・・。」
ダニエル先輩は私をしっかり抱きしめると言った。
「お帰り、ジェシカ・・・。」
と―。
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「はい、ジェシカ。焼き立てで熱いから気を付けてね。」
ダニエル先輩が木の棒に刺した熱々の焼き芋をくれた。
「ありがとうございます。フフ・・・美味しそうな匂い。」
思わず笑みが浮かんでしまう。
今、私とダニエル先輩は南塔の校舎前の人通りの少ないベンチに座って仲良く焼き芋を食べている。
「ダニエル先輩は・・・焼き芋が好きなんですね。」
熱々の皮を剥きながらダニエル先輩の顔を見上げた。
「うん・・そうだね。僕の住んでる領地は特にさつま芋の栽培が有名だからね。実家から沢山届くんだ。僕は焼き芋が大好きなんだけど・・この学院の連中は焼き芋なんか所詮庶民の食べ物だとか言って・・・軽蔑して・・・。だから、僕は人目の付かないこの場所で時々お芋を焼いて食べていたんだ。」
「そうだったんですか・・・。」
初めて聞くダニエル先輩の事。そう言えば私、この物語の作者だけど・・・ダニエル先輩の事・・殆ど知らなかった。領地の事もそうだし、家族についても・・・。
「ねえ。ジェシカ・・・。」
不意にダニエル先輩が声を掛けて来た。
「はい、何ですか?」
「実は・・・僕の記憶は曖昧なんだ・・・。」
ダニエル先輩は頭を押さえながら私を見つめた。
「曖昧・・?」
「ノアの事は覚えているよ。と言うか・・彼は2か月以上姿を見せていなかった・・・と言う記憶しか無いんだ。その間・・ノアは何処に行っていたんだろうって曖昧な記憶なんだ。でも、確か・・ノアを助けに魔界へ行くって君は話してくれたよね?」
「はい、そうですね・・・。」
「数日前に突然ノアの事が頭に浮かんだんだよ。どうして学校に来ていないのかなって・・・実家にでも行っていたのか・・・?僕はそんな風に考えていた。」
「・・・。」
私は焼き芋を食べながら黙って先輩の話を聞いていた。
「実は1カ月程前・・・全校集会が開かれたんだ。『ワールズ・エンド』で当時門番をしていた1人の聖剣士「マシュー・クラウド」を刺し殺し、封印を解いて魔界へ行った悪女がいるって・・そこでジェシカ。君の名前があがったんだ。
「!」
「だけど・・・おそらく誰一人として・・君の名前に心当たりが無かったんじゃないかな?だって僕の周りにいた学生達だって、聞いたことが無い名前だと囁き合っていたし。・・何よりこの僕自身がジェシカの記憶が無かったんだから。」
「ダニエル先輩・・・・。」
思わず声が震えてしまう。
「そして、その後・・・全校生徒を集めて『マシュー・クラウド』の葬儀が執り行われて・・・この学院の共同墓地に入れられたと話を聞いたんだ・・・・。」
共同墓地・・・そんなものがあったなんて・・・。その話を聞き、私は顔が青ざめるのを感じた。
「だけど・・・自分でも驚いてるよ。」
突如、明るい声でダニエル先輩が言った。
「驚く・・・?何をですか?」
「だってね・・本当につい数日前なんだよ。朝起きたら・・・不思議な事にノアの事と、そして・・・ジェシカ。君の事を思い出したんだから。そしてそのすぐ後だったよ・・・。君の手配書が学院中に貼られていったのが・・・・。君の従者のマリウスなんか物凄く激怒して自分が見つけた手配書を片っ端から破り、その場で燃やしていたよ。」
「マリウスが・・・。」
「勿論・・マリウスだけじゃない。グレイもルークも・・君の手配書は全て剥がして・・今は謹慎処分になってるよ。僕だって同じことをしているのに・・何故かお咎めなしなんだ。」
ダニエル先輩は肩をすくめながら言った。
「それは・・・きっとソフィーのお気に入りだからですよ。ダニエル先輩が・・・。」
恐らく、ソフィーはまだ・・ダニエル先輩の事を諦めきれないんだ・・・。
「確かに・・僕は何度も何度もソフィーから自分直属の兵士になって私を守ってくれとしつこく誘われたけどね・・・。」
「え・・・・?そうだったんですか?!」
「うん。でもね・・・あんな魔女みたいに恐ろしい女が聖女だって?おかしいと思わないか?あの女の兵士になるなんて、悪魔に魂を売るのと同じだよ。」
「ダニエル先輩・・・。」
「だけど・・・。」
急にダニエル先輩の顔が曇る。
「あのライアンとケビンが・・・・まさか・・ソフィーの兵士になるなんて・・・。」
悔しそうに肩を震わせるダニエル先輩。
「あの・・・それは・・・私のせいなんです・・・。私がライアンさんとケビンさんを魔界へ行く時に・・手を貸して貰ったから・・・私に対する見せしめの為に・・。」
私は下を向いた。目頭が熱くなっていく。すごく・・・いい人達だったのに・・・沢山親切にして貰ったのに・・私が巻き込んだせいで・・。
「ジェシカのせいじゃないよ・・・。悪いのは全てあの女・・ソフィーのせいなんだから・・・。」
ダニエル先輩は私の肩を抱きかかえると言った。
「で、でも・・・。」
「聞いて、ジェシカ。」
ダニエル先輩が私の目を真っすぐに見つめると言った。
「君との記憶を取り戻してから・・・今まで・・・ずっと頭の中に靄がかかっているような感覚があったのを覚えている。そして・・・ソフィーが聖女についてからすぐに、厚い雲に覆われ、太陽が見えなくなり、星や月も雲に隠れてしまったんだ・・・。」
私達は空を見上げた。
そこにあるのは・・・厚い雲に覆われた空が見えるだけ。
「ソフィーは・・ジェシカ。君が魔界の門を開けたせいだと言ってるんだよ。」
ダニエル先輩は私の髪の毛を撫でながら言う。
「ダニエル先輩・・・私・・・『魔界の門』は『ワールズ・エンド』では開けていません・・・っ!」
「勿論、僕は君の言う事を信じるよ。こんな空になったのは・・・あんな女が聖女になったせいだって事をね!」
ダニエル先輩が・・・こんな強い口調で話すなんて・・初めて見た。
「ねえ、ジェシカ。ここで僕が焼き芋を焼いていたの・・偶然だと思う?」
「え・・・?」
「君との記憶が戻ってからずっと・・・僕はここで君が僕の前に現れるのを待っていたんだ。ここで焚火をして、ジェシカの大好きなお芋を焼いていれば・・きっと・・・。」
「フフ・・・ダニエル先輩の考え・・・見事に正解でしたね。確かにお芋の匂いにつられちゃいました。だけど・・・。」
私はノア先輩を見上げた。
「?」
不思議そうに首を傾げるダニエル先輩に私は言った。
「ここに戻ってきた時から・・・ずっとダニエル先輩に会いたいと思っていました。そして・・・気が付いてみたらいつの間にか足がここへ向いていたんです。」
「ジェシカ・・・。」
ダニエル先輩の瞳が潤んでくる。
「ジェシカ・・・。」
そして私に手を伸ばしかけた時・・・・。
「ジェシカッ!!」
背後で私を呼ぶ激しい声・・・。あ・・・そう言えば・・・私・・黙ってここに来てしまったんだっけ・・・。
振り向くと、不機嫌そうな表情を浮かべて腰に手を当てているデヴィットと、何故かその場にへたり込んでいるマイケルさんの姿があった。
「え・・・?誰だい、君達は・・?ん?でも待てよ・・・君の顔は・・何処かで見た事あるなあ・・・?」
ダニエル先輩は美しい眉を潜めながらデヴィットを見つめた。
「そうか、女子学生に人気のあるダニエルに覚えて貰えているとは光栄だ。」
妙に棘のある言い方をするデヴィット。何だかすごく怒っているようだけど・・。
2人が何やら火花を散らしているが、私はそれどころでは無い。地面にうずくまるように座り込んでいるマイケルさんが気がかりだ。
「デヴィットさん!一体、マイケルさんはどうしたんですか?!」
マイケルさんに駆け寄ろうとした所をデヴィットの腕の中に囚われてしまった。
「デ、デヴィットさん!は、離して下さい!マイケルさんが・・・。」
「駄目だ、こうやって・・・一度お前の無事を確認しなければ・・・。」
その瞬間、私とデヴィットの紋章が光り輝く。そうか・・・これも聖女と聖剣士の誓いを交わした決まり事なのかもしれない。
そしてそんな私達を面白く無さそうな目で見つめるダニエル先輩。
「よし・・・これでジェシカ。お前に俺の守りの力を分けたからな?」
デヴィットが腕の力を緩めたので、すかさず私はマイケルさんに駆け寄った。
「マイケルさん!しっかりして下さい!」
「ああ・・・お嬢さん・・・無事で・・良かった・・。」
真っ青な顔で私を見上げる。
「一体、何があったんですか?」
マイケルさんに尋ねると、代わりにデヴィットが答えた。
「別に・・大したことはしていない。瞬間移動でこの男を連れて移動したら・・こんな風になってしまって・・。短い距離だから大丈夫だと思ったんだが・・やはり魔力を持っていないと・・駄目だったようだ・・・。ごめん・・・悪かった。」
そしてデヴィットは頭を下げるのだった—。
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