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マシュー・クラウド ②
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1
2週間後、この学院の一大イベントの仮装ダンスパーティーが始まるな・・・。
だけど、俺はこの仮装ダンスパーティーに出る事は叶わない。何故ならこの日の俺は魔界の門を守る当番日となっていたからだ。
まあ、俺は恋人どころか親しくしている学友すらいない。それなら魔界の門番をしている方が俺としてはずっと気が楽だ。
ただ、一つ残念な事がある。それは彼女・・ミス・ジェシカの事だ。
彼女はどんな衣装を着て、誰と参加するのだろう。彼女は特定の誰かとパーティーに参加するのだろうか・・・少し気になる。きっと誰か1人を選ぼうものなら、また彼等の間で争いが起こるだろうな。彼等の様子を想像すると、少しだけ楽しい気持ちになった。
そしてミス・ジェシカは一体どんな衣装を着るのだろう。俺が彼女と会話をする程の仲になっていたなら、尋ねる事が出来たのに・・・残念だ。
「おい、マシュー。」
明日は魔界の門を守る当番日という日・・・校舎を歩いている所を当日一緒に門番をする聖剣士の先輩2名に声をかけられた。
「はい、何ですか?」
1人の先輩が言った。
「マシュー。お前・・・訓練時に手を抜いていたのは知ってるんだぞ?お前は人間と魔族のハーフなんだろう?だからだろうが・・・本当は剣術も魔力も俺達聖剣士の中で誰よりも一番優れた能力を持っているのに、それを隠しているって事も俺達は知ってるんだぞ?」
「い、いえ・・・。別に俺は今迄そんなつもりでは・・・。」
何だろう?この先輩は何を言いたいのだ?
さらにもう1人の先輩が言う。
「ああ、だから他の聖剣士達とも話し合ってみたんだが・・・お前、明日から1人で魔界の門を守れないか?お前なら1人で出来るだろう?その代わりと言っては何だが・・・通常は24時間体制の所を、お前は12時間で構わない。何せ1人きりで門の管理をするんだからな。それからお前の当番日は滅多に回って来ないように組んでやるから。お前が1人で引き受けてくれると、それだけ俺達の出動日が減って負担が減って楽になるんだよ。ここは俺達を助けると思って頼む。それで・・・すまないが来週も頼むよ。」
なるほど、つまり・・・来週は学院の一大イベントである仮装ダンスパーティー。先輩たちはこのイベントにどうしても参加したいが故に、俺1人に門番を任せてパーティーに出席したいと言う訳だ。そして明日は1人で予行練習でもしてくれという訳だな?
第一、頭を下げられると断りにくい、と言うか彼等は元々先輩なので1年生の俺が歯向かうなんて事自体無理なのだが。
「分かりました。お引き受け致しますよ。」
俺は愛想笑いをしながら返事をした。
「何?それは本当なのか?!う、嘘じゃないよな?」
「ええ、本当です、嘘などはつきません。」
するともう1人の先輩が言う。
「助かった!恩に着るよ、マシュー!その代わり、お前の当番が回ってくる回数が減るように便宜を図って置いてやるから・・よろしくな?」
「はい、お気遣い頂き、ありがとうございます。」
俺は頭を下げる。ひょっとすると先輩たちは人間と魔族のハーフである俺を持て余していたのかもしれない。
気を使われるぐらいなら1人で門番をしている方が余程マシだ。それに先輩たちの知らない事実を俺は知っている。
今の魔族は人間界に侵略しようと考えている様な輩が少ないと言う事を。何故ならそんな事をするよりも人間達と共存して生きていく方が良いと考える魔族が多いからだ。これは俺の数少ない魔族の友人から聞いた紛れも無い事実である。それ故、常に神経を張り巡らして門番を務める必要も無いのだ。
こうして、その日を境に俺は1人で魔界の門を守る事が決定した―。
魔界の門がある『ワールズ・エンド』・・ここはとても素晴らしい世界だ。夜も来ない、永遠に澄み渡る青空。緑の草原に咲き乱れる花々・・・。
もしこの世に天国があるとしたら、まさにこのような世界の事を言うのかもしれない・・・。
俺は武器を携えて門を見上げた。この門の先に魔界がある。もっとも、門を開けてすぐに魔界があるわけでは無い。
この門は魔界へ続く、ほんの入り口でしか無い。魔界へ行くには、この門の先にある不思議な花が咲き誇る花畑を通り抜けた先だ。そこにまた別の門がある。それこそが本当の魔界の入口となるのだ。
初めて1人きりで門番をする事になった俺は草むらの上に座り、空を見上げた。
何て気持ちの良い空なのだろう・・・。気付けば俺は小さい時に母親から教えて貰った歌を口ずさんでいた。
その時・・・。
「ねえ、貴方。その歌は何処で教えて貰ったのかしら?」
不意に声を掛けられ、俺は振り向いた。するとそこには1人の若い女が立っていた。
「え・・・・?き、君は・・・?」
俺は女を見た。真っ赤な瞳に露出度がやけに高い衣装から見える水色の肌、尖った耳・・・。間違いない!この女は・・・!
「き・・・君は魔族・・・なのか?」
俺は女性に声をかけると女は意外そうな口調で話す。
「あら?そういう貴方だって魔族じゃないの?最も・・・半分は人間の血が混ざっているようだけどね?」
女は言うと、勝手に俺の隣に腰かけてきた。
「ねえ、それより・・今の歌・・もう一度聞かせてよ。お願い。」
女は俺の戸惑いをものともせずに、歌を強請ってきた。・・・。女の態度に俺は若干呆れてしまった。
ここに人間がいる。と言う事はこの俺が誰だかは分かっているはずなのに・・・。
「どうしたの?早く歌ってよ。」
女は俺に訴える。仕方無いか・・・俺は苦笑しつつも先程の歌の続きを歌った。歌いながら女を見ると目を閉じて俺の歌に聞き入っている。
やがて、俺が歌い終えると女は目を開けて言った。
「ありがとう、素敵な歌ね。それ・・・子守唄でしょう?」
「そうだよ。俺が小さい頃、良く俺の母さんが歌って聞かせてくれたんだ。」
「そう、なら貴女のお母さんの方が魔族だったのね。それで魔界には戻らずにずっと人間界で暮しているって事なのかしら?」
「ああ、そうだよ。俺と父さん、母さんの3人でこっちの世界で暮している。」
女はたいして興味が無さそうに聞いていたが、突然言った。
「私の名前はフレアよ。貴方は何て名前なの?」
「俺はマシュー。マシュー・クラウドだ。」
魔族の女相手に自己紹介か・・・皮肉な物だ。人間界では俺に話しかけて来る女性など1人もいないというのに。
「ねえ、マシュー。ここにいるのは門を守ってるからでしょう?それにしても人間て愚かよね。未だに私達魔族が門を破って人間を襲ってくると思ってるんだから。」
「ああ・・・そうだね。」
成程、やはりこの女・・・フレアも俺と同じことを思っていたのか。
「それよりも私が気にするのは、逆に人間達が魔界を襲って来るんじゃないかと、そっちの心配をしてるわよ。」
フレアの以外な言葉に俺は首を捻った。
「人間達が魔界を・・・?何故そう思うんだい?」
「あら、マシューは知らなかったの?この門の先に大量に咲いている花々・・その中には七色に光り輝く不思議な花が幾つか生えているのよ。この花は全ての怪我を治療する事が出来るだけでなく、心臓が止まって24時間以内の死者なら生き返らせる事だって出来るくらいの貴重な花が咲いているんだからね?そして私はその花を管理する管理人なのよ。その辺はマシュー、貴方と役割が似ているかもね?それで最近この花を狙った、質の悪い魔族がいて、勝手にこの花を盗んで人間界に横流しにしているのよ?全く腹立たしい・・。」
フレアは怒りの炎を身に纏った。うわっ!熱い!
そうか・・フレアとは炎の使い魔だったのか・・・。
「あ、あら?ごめんなさい。つい興奮して。まあ・・・それでこの花の噂を知った人間達が今は結構いるらしくてね・・・。だから、花を狙った人間達が魔界を侵略するつもりじゃ無いかと囁かれてるわけよ。」
「そうだったのか?・・・ちっとも知らなかった。」
人間が魔界を襲う等という事は考えた事も無かった。
「まあ、でも貴方は半分は魔族だから信用してあげる。それに1人で見張りをさせられてるようだしね・・・。可哀そうに。人間達に利用されているのね?でも・・丁度良かったわ。私も退屈してたのよ。ねえ、これからマシューが門番の時は、こっちの世界へ遊びに来てもいいわよね?」
言うと、フレアはにっこりと笑みを浮かべた。
これが、俺とフレアの初めての出会いだった―。
2
その日は突然やってきた。昼休み・・・特に親しい友人もいない俺は大抵旧校舎の中庭でシートを広げ、そこで休憩時間が終了するまで昼寝をして過ごす事にしていた。この頃は空気も冷たくなっていたが、半分魔族の俺にとっては寒さには強いので、別にどうという事は無かった。
そしていつものように昼寝をしていると、ふと人の気配を感じた。
「・・・?」
こんなへんぴな場所に俺以外の誰かが来るなんて・・一体誰だろう?
起き上がって、すぐ側のベンチを見て驚いた。
何と、あのジェシカ・リッジウェイがベンチの上で眠っていたのだ。
「う・・嘘だろう・・・?」
まさか、本物の彼女なのだろうか・・・?ゆっくりベンチに近付き、顔をじっくり覗き込んでみる。
間違いない、あのジェシカ・リッジウェイだ。
一体何故だ?何故彼女がここにいるのだろうか?しかも初めて出会った時と同じように彼女は眠りについている。
「ふふ・・。幸せそうな寝顔だな・・・。」
彼女はまるで猫のように丸まってベンチの上で眠っている。それがまた何とも言えず可愛らしい。
「風邪・・・引くよ・・。」
俺は自分の上着を脱いで眠っている彼女にそっと上着を掛けてあげた。
彼女の寝顔を眺めながら暫く様子を伺っていたが、一向に起きる気配が無かったので起こすのも忍びないと思った俺は彼女を残したままカフェへ向かった。
カフェで昼食を食べ終えた俺はテイクアウト用にスコーンを2個買って、先程の場所へ向かった。恐らく彼女はもう目が覚めて上着を残したままいなくなっているだろう。でもほんの少しでもジェシカ・リッジウェイの側にいられただけで幸せだった。
けれど、俺はその場に戻って驚いた。だってまだ彼女がまだベンチに座っていたのだから。しかも俺の上着を持ったままで・・・!
「どうしようかな・・・。」
彼女が小声で呟いている。ああ、きっと俺の上着を借りっぱなしだったから、まだそこに留まっていたのか・・・。上着なんかベンチに置いておけば良かったのに。
そこで俺はさり気なく声をかけた。
「あれ?君、まだここにいたのか?」
すると弾かれたように俺の顔を見るジェシカ・リッジウェイ。・・・信じられない。あの彼女が俺だけを今見ているなんて・・・。
「あ、あの、上着をお借りしてしまったので・・・。」
申し訳なさそうに言う彼女。可愛いなあ。しかし、俺は努めて平静を装って話しかける。
「こっちも驚いたよ。まさか、あのミス・ジェシカがこんなへんぴな場所で居眠りしているんだからな。そんな俺の上着なんかベンチの上に置いておけば良かったのに。」
しかし、彼女は慌てたように言った。
「いえ、いえ。借りておいてそんな無責任な事は出来ませんよ。」
「そうか、君は律儀なんだな。でも勝手に貸したのは俺なんだから、気にする必要は無かったんだけどな。」
何てことも無いように話しているけれども、内心は誠実な彼女の姿に感動で胸が一杯だった。
俺がお昼を食べてきたと聞くと、お腹を鳴らす彼女。途端に顔を真っ赤にする。か・可愛い・・・っ!
しかし、女性のお腹が鳴ってしまった事に触れるのは失礼だから、自分から何か話しかけるのはやめよう。
「「・・・・。」」
2人でしばし押し黙る事数秒、突然彼女が立ち上った。
「あ、あの・・・そ、それでは失礼します・・。」
え?そんな、もう行ってしまうの?だから俺は必死になって呼び止めた。
「き、君!もしかしてお昼ご飯食べていなかったの?どうして?」
すると、ごめんなさい、理由は聞かないで下さいと訳の分からない答えが返って来る。
駄目だ!まだ行かないで!
「ミス・ジェシカ!」
驚いた様に振り向く彼女。しまった・・・つい名前を呼んでしまった。それを胡麻化すために、間髪入れずに彼女にテイクアウトしてきたスコーンが2個入っている紙袋を渡す。
すると、途端に目を輝かせるジェシカ。そしてあろう事か、今度お礼をさせて下さいと言って来たので、正直これには驚いた。まさか、たったこれだけの事でお礼なんて・・・。だからお礼なんかいらないよと伝えても彼女は引き下がらない。
そこで俺は言った。
「分かったよ、本当に礼なんかいいのに・・・。俺は大抵昼休みはここにいるから、ミス・ジェシカの都合の良い時で構わないよ。」
それを聞いて、ようやく彼女は納得したかのうように笑みを浮かべてくれた。
その時、タイミングを見計らったかのように鳴り響く予鈴。先に彼女から去られるのは切なかったので、俺は自分から彼女に言った。
「それじゃ、俺はもう行くから。」
「はい、ではまたいずれ。」
彼女が俺に手を振ってくれる。
またいずれ。何て素敵な響きなのだろう。例え、社交辞令だとしても彼女からこの台詞を聞けるとは夢にも思っていなかった。
けれど、彼女から再びこの台詞を聞く事は無かった。何故ならミス・ジェシカはその後この場所に姿を現す事が無かったからである―。
仮装ダンスパーティーも無事終了し、再び彼女の周囲が不穏な空気になってきた。あれ程彼女の側から離れなかったアラン王子達が・・・今回はソフィーの方に熱を上げてきたからだった・・・。
けれども全員がソフィーに気持ちが傾いたわけでは無い。従者のマリウスはどんな時でもミス・ジェシカから離れる事は無かった。彼は・・それ程深く彼女を愛しているのだろう・・・。マリウスが側にいれば安心だ。何しろ彼は普通の人間でありながら、人一倍魔力も強く、剣術にも長けていた。本来なら聖剣士に選ばれてもおかしくは無いのだが・・・恐らく男爵という身分の為、選ばれないのだろう。
彼がミス・ジェシカの側にいれば、大丈夫だ・・。
彼女とはほんの一度会話をしただけの仲の俺にはどうする事も出来ない。だから俺は傍観者に徹する事にした。
そして、少し時が流れ・・・・事態は大きく動いた。
この日俺は1人で『ワールズ・エンド』で魔界の門の見張りをしていた。
学院は既に冬期休暇に入っていたが、俺達聖剣士にはあまり関係ない。何しろ1年中、24時間ずっと魔界の門を見張らなくてはならないのだから余程の事が無い限りは帰省する事は無い。
そして、今日も俺は1人で門番をしている。
「交代の時間まで後3時間か・・・。」
いつもと変わらぬ景色。最近の俺のお気に入りの場所はこの高くそびえ立つ門の上に登り、景色を眺める事だった。高い所から見下ろす『ワールズ・エンド』も絶景である。
大きく伸びをした時に、風に乗って人の話声が聞こえてきた。え?何だ?誰かやってきたのか?俺の身体に緊張が走る。今まで門番をしてきたが、この場所に誰かが来た事は一度も無かった。魔族のフレアを除いては・・。
「うわぁ・・・・す、すげえっ!こんな巨大な扉初めて見たっ!」
突如、大きな声が足元で起こった。まずい!
俺は門の上から彼等に声をかけた。
「何でこんな所に来ているんだい?君達は。」
そして門から飛び降りると、侵入者の前に立ちふさがった。そして彼等を見た俺は驚きで危うく声を上げそうになった。
そこに立っていたのは全部で4人、そのうちの2名は見た事が無い少年と青年・・どうみても彼等はセント・レイズ学院の学生では無い。
そして残りの2名を見て、俺は我が目を疑った。何と彼等はミス・ジェシカの側にいるノア先輩とダニエル先輩だったのだから・・・。
この2人を見て、俺は瞬時に悟った。恐らくミス・ジェシカに何かあったのだと。
俺の姿を見た少年は、何故自分たちがここにやって来たのかをペラペラと話し始めた。内心平静を保ちつつ、話を聞いていたが毒矢で死にかけているという話を聞かされた時はショックで目の前が真っ暗になってしまった。
そうか・・・だから彼等はこの門の先に咲いている不思議な花を摘みに来たのか・・。本来なら彼等を追い返すところだが、彼女が死にかけていると聞かされれば、そんな事は言っていられない。
気付けば俺は彼等にこう言っていた。
「よし、そういう事なら協力するよ。俺が魔界に行く。」
と―。
2週間後、この学院の一大イベントの仮装ダンスパーティーが始まるな・・・。
だけど、俺はこの仮装ダンスパーティーに出る事は叶わない。何故ならこの日の俺は魔界の門を守る当番日となっていたからだ。
まあ、俺は恋人どころか親しくしている学友すらいない。それなら魔界の門番をしている方が俺としてはずっと気が楽だ。
ただ、一つ残念な事がある。それは彼女・・ミス・ジェシカの事だ。
彼女はどんな衣装を着て、誰と参加するのだろう。彼女は特定の誰かとパーティーに参加するのだろうか・・・少し気になる。きっと誰か1人を選ぼうものなら、また彼等の間で争いが起こるだろうな。彼等の様子を想像すると、少しだけ楽しい気持ちになった。
そしてミス・ジェシカは一体どんな衣装を着るのだろう。俺が彼女と会話をする程の仲になっていたなら、尋ねる事が出来たのに・・・残念だ。
「おい、マシュー。」
明日は魔界の門を守る当番日という日・・・校舎を歩いている所を当日一緒に門番をする聖剣士の先輩2名に声をかけられた。
「はい、何ですか?」
1人の先輩が言った。
「マシュー。お前・・・訓練時に手を抜いていたのは知ってるんだぞ?お前は人間と魔族のハーフなんだろう?だからだろうが・・・本当は剣術も魔力も俺達聖剣士の中で誰よりも一番優れた能力を持っているのに、それを隠しているって事も俺達は知ってるんだぞ?」
「い、いえ・・・。別に俺は今迄そんなつもりでは・・・。」
何だろう?この先輩は何を言いたいのだ?
さらにもう1人の先輩が言う。
「ああ、だから他の聖剣士達とも話し合ってみたんだが・・・お前、明日から1人で魔界の門を守れないか?お前なら1人で出来るだろう?その代わりと言っては何だが・・・通常は24時間体制の所を、お前は12時間で構わない。何せ1人きりで門の管理をするんだからな。それからお前の当番日は滅多に回って来ないように組んでやるから。お前が1人で引き受けてくれると、それだけ俺達の出動日が減って負担が減って楽になるんだよ。ここは俺達を助けると思って頼む。それで・・・すまないが来週も頼むよ。」
なるほど、つまり・・・来週は学院の一大イベントである仮装ダンスパーティー。先輩たちはこのイベントにどうしても参加したいが故に、俺1人に門番を任せてパーティーに出席したいと言う訳だ。そして明日は1人で予行練習でもしてくれという訳だな?
第一、頭を下げられると断りにくい、と言うか彼等は元々先輩なので1年生の俺が歯向かうなんて事自体無理なのだが。
「分かりました。お引き受け致しますよ。」
俺は愛想笑いをしながら返事をした。
「何?それは本当なのか?!う、嘘じゃないよな?」
「ええ、本当です、嘘などはつきません。」
するともう1人の先輩が言う。
「助かった!恩に着るよ、マシュー!その代わり、お前の当番が回ってくる回数が減るように便宜を図って置いてやるから・・よろしくな?」
「はい、お気遣い頂き、ありがとうございます。」
俺は頭を下げる。ひょっとすると先輩たちは人間と魔族のハーフである俺を持て余していたのかもしれない。
気を使われるぐらいなら1人で門番をしている方が余程マシだ。それに先輩たちの知らない事実を俺は知っている。
今の魔族は人間界に侵略しようと考えている様な輩が少ないと言う事を。何故ならそんな事をするよりも人間達と共存して生きていく方が良いと考える魔族が多いからだ。これは俺の数少ない魔族の友人から聞いた紛れも無い事実である。それ故、常に神経を張り巡らして門番を務める必要も無いのだ。
こうして、その日を境に俺は1人で魔界の門を守る事が決定した―。
魔界の門がある『ワールズ・エンド』・・ここはとても素晴らしい世界だ。夜も来ない、永遠に澄み渡る青空。緑の草原に咲き乱れる花々・・・。
もしこの世に天国があるとしたら、まさにこのような世界の事を言うのかもしれない・・・。
俺は武器を携えて門を見上げた。この門の先に魔界がある。もっとも、門を開けてすぐに魔界があるわけでは無い。
この門は魔界へ続く、ほんの入り口でしか無い。魔界へ行くには、この門の先にある不思議な花が咲き誇る花畑を通り抜けた先だ。そこにまた別の門がある。それこそが本当の魔界の入口となるのだ。
初めて1人きりで門番をする事になった俺は草むらの上に座り、空を見上げた。
何て気持ちの良い空なのだろう・・・。気付けば俺は小さい時に母親から教えて貰った歌を口ずさんでいた。
その時・・・。
「ねえ、貴方。その歌は何処で教えて貰ったのかしら?」
不意に声を掛けられ、俺は振り向いた。するとそこには1人の若い女が立っていた。
「え・・・・?き、君は・・・?」
俺は女を見た。真っ赤な瞳に露出度がやけに高い衣装から見える水色の肌、尖った耳・・・。間違いない!この女は・・・!
「き・・・君は魔族・・・なのか?」
俺は女性に声をかけると女は意外そうな口調で話す。
「あら?そういう貴方だって魔族じゃないの?最も・・・半分は人間の血が混ざっているようだけどね?」
女は言うと、勝手に俺の隣に腰かけてきた。
「ねえ、それより・・今の歌・・もう一度聞かせてよ。お願い。」
女は俺の戸惑いをものともせずに、歌を強請ってきた。・・・。女の態度に俺は若干呆れてしまった。
ここに人間がいる。と言う事はこの俺が誰だかは分かっているはずなのに・・・。
「どうしたの?早く歌ってよ。」
女は俺に訴える。仕方無いか・・・俺は苦笑しつつも先程の歌の続きを歌った。歌いながら女を見ると目を閉じて俺の歌に聞き入っている。
やがて、俺が歌い終えると女は目を開けて言った。
「ありがとう、素敵な歌ね。それ・・・子守唄でしょう?」
「そうだよ。俺が小さい頃、良く俺の母さんが歌って聞かせてくれたんだ。」
「そう、なら貴女のお母さんの方が魔族だったのね。それで魔界には戻らずにずっと人間界で暮しているって事なのかしら?」
「ああ、そうだよ。俺と父さん、母さんの3人でこっちの世界で暮している。」
女はたいして興味が無さそうに聞いていたが、突然言った。
「私の名前はフレアよ。貴方は何て名前なの?」
「俺はマシュー。マシュー・クラウドだ。」
魔族の女相手に自己紹介か・・・皮肉な物だ。人間界では俺に話しかけて来る女性など1人もいないというのに。
「ねえ、マシュー。ここにいるのは門を守ってるからでしょう?それにしても人間て愚かよね。未だに私達魔族が門を破って人間を襲ってくると思ってるんだから。」
「ああ・・・そうだね。」
成程、やはりこの女・・・フレアも俺と同じことを思っていたのか。
「それよりも私が気にするのは、逆に人間達が魔界を襲って来るんじゃないかと、そっちの心配をしてるわよ。」
フレアの以外な言葉に俺は首を捻った。
「人間達が魔界を・・・?何故そう思うんだい?」
「あら、マシューは知らなかったの?この門の先に大量に咲いている花々・・その中には七色に光り輝く不思議な花が幾つか生えているのよ。この花は全ての怪我を治療する事が出来るだけでなく、心臓が止まって24時間以内の死者なら生き返らせる事だって出来るくらいの貴重な花が咲いているんだからね?そして私はその花を管理する管理人なのよ。その辺はマシュー、貴方と役割が似ているかもね?それで最近この花を狙った、質の悪い魔族がいて、勝手にこの花を盗んで人間界に横流しにしているのよ?全く腹立たしい・・。」
フレアは怒りの炎を身に纏った。うわっ!熱い!
そうか・・フレアとは炎の使い魔だったのか・・・。
「あ、あら?ごめんなさい。つい興奮して。まあ・・・それでこの花の噂を知った人間達が今は結構いるらしくてね・・・。だから、花を狙った人間達が魔界を侵略するつもりじゃ無いかと囁かれてるわけよ。」
「そうだったのか?・・・ちっとも知らなかった。」
人間が魔界を襲う等という事は考えた事も無かった。
「まあ、でも貴方は半分は魔族だから信用してあげる。それに1人で見張りをさせられてるようだしね・・・。可哀そうに。人間達に利用されているのね?でも・・丁度良かったわ。私も退屈してたのよ。ねえ、これからマシューが門番の時は、こっちの世界へ遊びに来てもいいわよね?」
言うと、フレアはにっこりと笑みを浮かべた。
これが、俺とフレアの初めての出会いだった―。
2
その日は突然やってきた。昼休み・・・特に親しい友人もいない俺は大抵旧校舎の中庭でシートを広げ、そこで休憩時間が終了するまで昼寝をして過ごす事にしていた。この頃は空気も冷たくなっていたが、半分魔族の俺にとっては寒さには強いので、別にどうという事は無かった。
そしていつものように昼寝をしていると、ふと人の気配を感じた。
「・・・?」
こんなへんぴな場所に俺以外の誰かが来るなんて・・一体誰だろう?
起き上がって、すぐ側のベンチを見て驚いた。
何と、あのジェシカ・リッジウェイがベンチの上で眠っていたのだ。
「う・・嘘だろう・・・?」
まさか、本物の彼女なのだろうか・・・?ゆっくりベンチに近付き、顔をじっくり覗き込んでみる。
間違いない、あのジェシカ・リッジウェイだ。
一体何故だ?何故彼女がここにいるのだろうか?しかも初めて出会った時と同じように彼女は眠りについている。
「ふふ・・。幸せそうな寝顔だな・・・。」
彼女はまるで猫のように丸まってベンチの上で眠っている。それがまた何とも言えず可愛らしい。
「風邪・・・引くよ・・。」
俺は自分の上着を脱いで眠っている彼女にそっと上着を掛けてあげた。
彼女の寝顔を眺めながら暫く様子を伺っていたが、一向に起きる気配が無かったので起こすのも忍びないと思った俺は彼女を残したままカフェへ向かった。
カフェで昼食を食べ終えた俺はテイクアウト用にスコーンを2個買って、先程の場所へ向かった。恐らく彼女はもう目が覚めて上着を残したままいなくなっているだろう。でもほんの少しでもジェシカ・リッジウェイの側にいられただけで幸せだった。
けれど、俺はその場に戻って驚いた。だってまだ彼女がまだベンチに座っていたのだから。しかも俺の上着を持ったままで・・・!
「どうしようかな・・・。」
彼女が小声で呟いている。ああ、きっと俺の上着を借りっぱなしだったから、まだそこに留まっていたのか・・・。上着なんかベンチに置いておけば良かったのに。
そこで俺はさり気なく声をかけた。
「あれ?君、まだここにいたのか?」
すると弾かれたように俺の顔を見るジェシカ・リッジウェイ。・・・信じられない。あの彼女が俺だけを今見ているなんて・・・。
「あ、あの、上着をお借りしてしまったので・・・。」
申し訳なさそうに言う彼女。可愛いなあ。しかし、俺は努めて平静を装って話しかける。
「こっちも驚いたよ。まさか、あのミス・ジェシカがこんなへんぴな場所で居眠りしているんだからな。そんな俺の上着なんかベンチの上に置いておけば良かったのに。」
しかし、彼女は慌てたように言った。
「いえ、いえ。借りておいてそんな無責任な事は出来ませんよ。」
「そうか、君は律儀なんだな。でも勝手に貸したのは俺なんだから、気にする必要は無かったんだけどな。」
何てことも無いように話しているけれども、内心は誠実な彼女の姿に感動で胸が一杯だった。
俺がお昼を食べてきたと聞くと、お腹を鳴らす彼女。途端に顔を真っ赤にする。か・可愛い・・・っ!
しかし、女性のお腹が鳴ってしまった事に触れるのは失礼だから、自分から何か話しかけるのはやめよう。
「「・・・・。」」
2人でしばし押し黙る事数秒、突然彼女が立ち上った。
「あ、あの・・・そ、それでは失礼します・・。」
え?そんな、もう行ってしまうの?だから俺は必死になって呼び止めた。
「き、君!もしかしてお昼ご飯食べていなかったの?どうして?」
すると、ごめんなさい、理由は聞かないで下さいと訳の分からない答えが返って来る。
駄目だ!まだ行かないで!
「ミス・ジェシカ!」
驚いた様に振り向く彼女。しまった・・・つい名前を呼んでしまった。それを胡麻化すために、間髪入れずに彼女にテイクアウトしてきたスコーンが2個入っている紙袋を渡す。
すると、途端に目を輝かせるジェシカ。そしてあろう事か、今度お礼をさせて下さいと言って来たので、正直これには驚いた。まさか、たったこれだけの事でお礼なんて・・・。だからお礼なんかいらないよと伝えても彼女は引き下がらない。
そこで俺は言った。
「分かったよ、本当に礼なんかいいのに・・・。俺は大抵昼休みはここにいるから、ミス・ジェシカの都合の良い時で構わないよ。」
それを聞いて、ようやく彼女は納得したかのうように笑みを浮かべてくれた。
その時、タイミングを見計らったかのように鳴り響く予鈴。先に彼女から去られるのは切なかったので、俺は自分から彼女に言った。
「それじゃ、俺はもう行くから。」
「はい、ではまたいずれ。」
彼女が俺に手を振ってくれる。
またいずれ。何て素敵な響きなのだろう。例え、社交辞令だとしても彼女からこの台詞を聞けるとは夢にも思っていなかった。
けれど、彼女から再びこの台詞を聞く事は無かった。何故ならミス・ジェシカはその後この場所に姿を現す事が無かったからである―。
仮装ダンスパーティーも無事終了し、再び彼女の周囲が不穏な空気になってきた。あれ程彼女の側から離れなかったアラン王子達が・・・今回はソフィーの方に熱を上げてきたからだった・・・。
けれども全員がソフィーに気持ちが傾いたわけでは無い。従者のマリウスはどんな時でもミス・ジェシカから離れる事は無かった。彼は・・それ程深く彼女を愛しているのだろう・・・。マリウスが側にいれば安心だ。何しろ彼は普通の人間でありながら、人一倍魔力も強く、剣術にも長けていた。本来なら聖剣士に選ばれてもおかしくは無いのだが・・・恐らく男爵という身分の為、選ばれないのだろう。
彼がミス・ジェシカの側にいれば、大丈夫だ・・。
彼女とはほんの一度会話をしただけの仲の俺にはどうする事も出来ない。だから俺は傍観者に徹する事にした。
そして、少し時が流れ・・・・事態は大きく動いた。
この日俺は1人で『ワールズ・エンド』で魔界の門の見張りをしていた。
学院は既に冬期休暇に入っていたが、俺達聖剣士にはあまり関係ない。何しろ1年中、24時間ずっと魔界の門を見張らなくてはならないのだから余程の事が無い限りは帰省する事は無い。
そして、今日も俺は1人で門番をしている。
「交代の時間まで後3時間か・・・。」
いつもと変わらぬ景色。最近の俺のお気に入りの場所はこの高くそびえ立つ門の上に登り、景色を眺める事だった。高い所から見下ろす『ワールズ・エンド』も絶景である。
大きく伸びをした時に、風に乗って人の話声が聞こえてきた。え?何だ?誰かやってきたのか?俺の身体に緊張が走る。今まで門番をしてきたが、この場所に誰かが来た事は一度も無かった。魔族のフレアを除いては・・。
「うわぁ・・・・す、すげえっ!こんな巨大な扉初めて見たっ!」
突如、大きな声が足元で起こった。まずい!
俺は門の上から彼等に声をかけた。
「何でこんな所に来ているんだい?君達は。」
そして門から飛び降りると、侵入者の前に立ちふさがった。そして彼等を見た俺は驚きで危うく声を上げそうになった。
そこに立っていたのは全部で4人、そのうちの2名は見た事が無い少年と青年・・どうみても彼等はセント・レイズ学院の学生では無い。
そして残りの2名を見て、俺は我が目を疑った。何と彼等はミス・ジェシカの側にいるノア先輩とダニエル先輩だったのだから・・・。
この2人を見て、俺は瞬時に悟った。恐らくミス・ジェシカに何かあったのだと。
俺の姿を見た少年は、何故自分たちがここにやって来たのかをペラペラと話し始めた。内心平静を保ちつつ、話を聞いていたが毒矢で死にかけているという話を聞かされた時はショックで目の前が真っ暗になってしまった。
そうか・・・だから彼等はこの門の先に咲いている不思議な花を摘みに来たのか・・。本来なら彼等を追い返すところだが、彼女が死にかけていると聞かされれば、そんな事は言っていられない。
気付けば俺は彼等にこう言っていた。
「よし、そういう事なら協力するよ。俺が魔界に行く。」
と―。
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