41 / 45
エピソード39 お別れ
しおりを挟む
「う、嘘・・・アレクは・・アレクじゃなかったの?本当はレオナード・キャンベル皇子だったの・・?」
茫然と大型スクリーンを見つめていると、フォスティーヌも青ざめている。
「そ、そんな・・・レオナードが偽物だったなんて・・。」
「・・・!」
私は踵を返すと部屋へ向かった。
「え?ちょ、ちょっと待って!どうしたのリアンナッ?!」
フォスティーヌが後を追ってきた。
「・・・帰るの。」
「ええっ?!か、帰るって・・・一体どこへ?」
「勿論、自分の家に決まっているじゃないっ!」
言いながら自分の部屋のコテージをガチャリと開けて部屋に上がりこみ、クローゼットの中身を全部取り出し、次から次へとトランクケースにしまっていく。そこへ慌てたフォスティーヌもやってきた。
「待ってよ、リアンナッ!後4日でサマースクールは終わるのよ?アレク・・じゃなかった。レオナード様だってこの島へきっと戻って来るわよ?」
「そうよ、だからここを出て行くのよ。」
私はわき目もふらず、荷物の片づけを続ける。
「どうして出て行くのよ?!」
フォスティーヌの言葉に私は顔を上げた。
「だって・・私はあれほど何度もアレクの前で爵位の話をしたのに・・・私がどれだけ身分の差を気にしているか知っているくせに・・・騙していたんだよ?」
いつの間にか私は涙ぐんでいた。
「リアンナ、それはアレクが・・それだけリアンナの事をすきだったから・・・言い出せなかったんじゃないの?」
「・・・だからだよ・・。」
涙をぬぐいながらポツリと言った。
「え・・?」
フォスティーヌの顔に困惑の表情が浮かぶ。
「アレクが・・・私の事、好きなの・・良く分かってるから・・アレクの前からいなくなるんだよ・・。だって彼は王族だよ?それなりに相当身分の高い女性と結ばれなくちゃいけない・・・それこそ雲の上の人なんだよ?私がいたら・・アレクは冷静に女性を選べないじゃない。だから・・・。」
「だから・・身を引くって言うの・・・?」
フォスティーヌの言葉に私は力なく頷く。
「そうだよ・・私はアレクが好きだから・・・彼の幸せを祈ってる。だからここを去るの。」
「リアンナ・・・。」
「ね、お願い!フォスティーヌッ!飛行機を・・・出させてくれる?一生のお願い!お金は・・出世払いで!!」
私はフォスティーヌに頭を下げた。
「リアンナ・・・分かったわ。それにお金の事は気にしないで。すぐにチャーター機を手配してあげるから。」
「うん・・ありがとう・・。」
私はギュッとフォスティーヌの手を握りしめた・・・。
****
「ありがとう、フォスティーヌ。私の我儘・・・聞き入れてくれて。」
飛行場で私はフォスティーヌと向かい合っていた。私の背後には彼女が手配してくれた小型チャーター機が待機している。
「いいのよ。リアンナ。だって私達・・友達でしょう?」
「フォスティーヌ・・・。」
「それで・・・もしアレクがリゾート島に戻ってきたら・・?」
フォスティーヌが尋ねてきた。
「うん・・・。絶対に私の事は何も言わないで。住んでる場所も・・お願い。」
「分った。安心して?絶対に教えないから。」
「ありがとう。それじゃ・・・またね。」
私はフォスティーヌに手を振り、飛行機に乗り込むと・・・すぐにチャーター機は飛び立った。
「・・・。」
私はどんどん小さくなってくる島を飛行機の窓からじっと見つめながら、アレクと過ごした日々を思い出していた。
いつしか私は泣いていた。アレクの事は・・・もう忘れよう。美しい思い出として胸に刻み付けておくんだ・・・。
「さようなら・・・アレク。」
そして・・・3年の歳月が流れた―。
茫然と大型スクリーンを見つめていると、フォスティーヌも青ざめている。
「そ、そんな・・・レオナードが偽物だったなんて・・。」
「・・・!」
私は踵を返すと部屋へ向かった。
「え?ちょ、ちょっと待って!どうしたのリアンナッ?!」
フォスティーヌが後を追ってきた。
「・・・帰るの。」
「ええっ?!か、帰るって・・・一体どこへ?」
「勿論、自分の家に決まっているじゃないっ!」
言いながら自分の部屋のコテージをガチャリと開けて部屋に上がりこみ、クローゼットの中身を全部取り出し、次から次へとトランクケースにしまっていく。そこへ慌てたフォスティーヌもやってきた。
「待ってよ、リアンナッ!後4日でサマースクールは終わるのよ?アレク・・じゃなかった。レオナード様だってこの島へきっと戻って来るわよ?」
「そうよ、だからここを出て行くのよ。」
私はわき目もふらず、荷物の片づけを続ける。
「どうして出て行くのよ?!」
フォスティーヌの言葉に私は顔を上げた。
「だって・・私はあれほど何度もアレクの前で爵位の話をしたのに・・・私がどれだけ身分の差を気にしているか知っているくせに・・・騙していたんだよ?」
いつの間にか私は涙ぐんでいた。
「リアンナ、それはアレクが・・それだけリアンナの事をすきだったから・・・言い出せなかったんじゃないの?」
「・・・だからだよ・・。」
涙をぬぐいながらポツリと言った。
「え・・?」
フォスティーヌの顔に困惑の表情が浮かぶ。
「アレクが・・・私の事、好きなの・・良く分かってるから・・アレクの前からいなくなるんだよ・・。だって彼は王族だよ?それなりに相当身分の高い女性と結ばれなくちゃいけない・・・それこそ雲の上の人なんだよ?私がいたら・・アレクは冷静に女性を選べないじゃない。だから・・・。」
「だから・・身を引くって言うの・・・?」
フォスティーヌの言葉に私は力なく頷く。
「そうだよ・・私はアレクが好きだから・・・彼の幸せを祈ってる。だからここを去るの。」
「リアンナ・・・。」
「ね、お願い!フォスティーヌッ!飛行機を・・・出させてくれる?一生のお願い!お金は・・出世払いで!!」
私はフォスティーヌに頭を下げた。
「リアンナ・・・分かったわ。それにお金の事は気にしないで。すぐにチャーター機を手配してあげるから。」
「うん・・ありがとう・・。」
私はギュッとフォスティーヌの手を握りしめた・・・。
****
「ありがとう、フォスティーヌ。私の我儘・・・聞き入れてくれて。」
飛行場で私はフォスティーヌと向かい合っていた。私の背後には彼女が手配してくれた小型チャーター機が待機している。
「いいのよ。リアンナ。だって私達・・友達でしょう?」
「フォスティーヌ・・・。」
「それで・・・もしアレクがリゾート島に戻ってきたら・・?」
フォスティーヌが尋ねてきた。
「うん・・・。絶対に私の事は何も言わないで。住んでる場所も・・お願い。」
「分った。安心して?絶対に教えないから。」
「ありがとう。それじゃ・・・またね。」
私はフォスティーヌに手を振り、飛行機に乗り込むと・・・すぐにチャーター機は飛び立った。
「・・・。」
私はどんどん小さくなってくる島を飛行機の窓からじっと見つめながら、アレクと過ごした日々を思い出していた。
いつしか私は泣いていた。アレクの事は・・・もう忘れよう。美しい思い出として胸に刻み付けておくんだ・・・。
「さようなら・・・アレク。」
そして・・・3年の歳月が流れた―。
22
お気に入りに追加
130
あなたにおすすめの小説
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
旦那様に離縁をつきつけたら
cyaru
恋愛
駆け落ち同然で結婚したシャロンとシリウス。
仲の良い夫婦でずっと一緒だと思っていた。
突然現れた子連れの女性、そして腕を組んで歩く2人。
我慢の限界を迎えたシャロンは神殿に離縁の申し込みをした。
※色々と異世界の他に現実に近いモノや妄想の世界をぶっこんでいます。
※設定はかなり他の方の作品とは異なる部分があります。
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。
でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。
果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか?
ハッピーエンド目指して頑張ります。
小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
完 あの、なんのことでしょうか。
水鳥楓椛
恋愛
私、シェリル・ラ・マルゴットはとっても胃が弱わく、前世共々ストレスに対する耐性が壊滅的。
よって、三大公爵家唯一の息女でありながら、王太子の婚約者から外されていた。
それなのに………、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
王立学園の卒業パーティー、赤の他人、否、仕えるべき未来の主君、王太子アルゴノート・フォン・メッテルリヒは壁際で従者と共にお花になっていた私を舞台の中央に無理矢理連れてた挙句、誤り満載の言葉遣いかつ最後の最後で舌を噛むというなんとも残念な婚約破棄を叩きつけてきた。
「あの………、なんのことでしょうか?」
あまりにも素っ頓狂なことを叫ぶ幼馴染に素直にびっくりしながら、私は斜め後ろに控える従者に声をかける。
「私、彼と婚約していたの?」
私の疑問に、従者は首を横に振った。
(うぅー、胃がいたい)
前世から胃が弱い私は、精神年齢3歳の幼馴染を必死に諭す。
(だって私、王妃にはゼッタイになりたくないもの)
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる