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エピソード36 記憶にありません
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「こ、こ、これは・・・?」
分からない、何も覚えていないけれども・・身体中に付けられたキスマークにズキズキ痛む下半身。そして汚れたシーツ・・・。
「ま・・間違いないわ・・わ、私・・・アレクに抱かれた・・?」
思わずコックを捻り、熱いシャワーを出すと私は頭から熱いシャワーを被った。髪も身体もくまなく荒い、バスタブにお湯を張って身体を沈めて・・・ようやく少しだけ冷静になれた。
お湯の中で膝を抱えて必死で昨夜の出来事を思い出そうとしたのに・・・アレクにおんぶされたところから先の記憶がプツリと切れている。
「そんな・・・一体アレクはどういうつもりで意識の無い私を抱いたのよ・・・。」
本来なら怒って然りなのかもしれない。これは犯罪だと訴えてもいい程のレベルだと思う。だけど私は・・・不思議とそんな気持ちにはなれなかった。いや、むしろこんな形で自分の初めてを失いたくは無かった。
「アレクのバカ・・・どうせなら私の意識のある時に・・捧げたかったのに・・。」
思わず口に出して、顔が真っ赤になってしまう。
「いやだいやだいやだ!こ、これじゃ・・・アレクに抱いてもらいたいと前から願っていたみたいじゃないのっ!」
頭をブンブン振ると溜息をついて天井を見上げた。だけどどうして・・・。
「目が覚めるまで・・傍にいてくれなかったのよ・・酷いよ、アレク・・・。」
そして私は浴槽に頭を沈めた―。
****
「う~ん・・・・。」
バスルームから出てきた私は着る服に苦慮していた。だって身体のあちこちにキスマークがついているから、うかつに着る事が出来ないのだから。
「もう・・首元が隠せないじゃない・・・。」
どうしてよりにもよって首筋に何か所もキスマークを付けてくれるのだろう?
「こうなったら・・・最後の手段!」
私はチェストの引き出しを開けた―。
水上コテージのレストランのビュッフェで私はフォスティーヌに声を掛けられた。
「おはよう、リアンナ。」
「あ、おはよう、フォスティーヌ。あれ・・・?今朝は王子様は一緒じゃないの?」
トングでお皿にクリームパスタを取りながらフォスティーヌに尋ねた。
「ええ・・それがね何だか急用ができたからと言って、今朝早くに自家用ジェットで一度国に帰ってしまったんですって。勿論アレクも一緒にね。」
「え?アレクも?」
思いがけずアレクの名前が出てきて、私は耳まで真っ赤になってしまった。
「ん?どうしたの?リアンナ?」
フォスティーヌはシリアルに牛乳を掛けながら尋ねてきた。
「う、ううん。何でもないよ。」
フイとフォスティーヌから視線を反らすも、フォスティーヌはそれを許さない。
「嘘っ!絶対何かあったに決まってるっ!」
私はフォスティーヌの追求から免れる為、朝食の乗ったトレーを持って席に移動すると、当然の如くフォスティーヌもついてきて、同じ席に座ってしまった。
「フォスティーヌ・・・。」
私は溜息をつくと、突然フォスティーヌが私のスカーフに手を掛け、グイとスカーフをずらし・・・言った。
「キスマーク・・・。」
「!」
私はその言葉に耳まで真っ赤になってしまった。
「え・・?う、嘘でしょう・・・?リアンナ・・・ひょとして・・ついに・・?」
奥手な私と違って16歳の時に初体験を済ませているフォスティーヌは目を見開いた。
「お・・・おめでとう!それで、相手は誰なの?やっぱり・・アレクなんでしょう?」
「う、うん・・・多分・・・。」
「多分?何それ・・・。」
フォスティーヌは首を傾げる。
「だ、だって・・・・私・・私、何も覚えていないんだものっ!」
「え・・ええ~っ?!」
・・今度はフォスティーヌが驚く番だった―。
分からない、何も覚えていないけれども・・身体中に付けられたキスマークにズキズキ痛む下半身。そして汚れたシーツ・・・。
「ま・・間違いないわ・・わ、私・・・アレクに抱かれた・・?」
思わずコックを捻り、熱いシャワーを出すと私は頭から熱いシャワーを被った。髪も身体もくまなく荒い、バスタブにお湯を張って身体を沈めて・・・ようやく少しだけ冷静になれた。
お湯の中で膝を抱えて必死で昨夜の出来事を思い出そうとしたのに・・・アレクにおんぶされたところから先の記憶がプツリと切れている。
「そんな・・・一体アレクはどういうつもりで意識の無い私を抱いたのよ・・・。」
本来なら怒って然りなのかもしれない。これは犯罪だと訴えてもいい程のレベルだと思う。だけど私は・・・不思議とそんな気持ちにはなれなかった。いや、むしろこんな形で自分の初めてを失いたくは無かった。
「アレクのバカ・・・どうせなら私の意識のある時に・・捧げたかったのに・・。」
思わず口に出して、顔が真っ赤になってしまう。
「いやだいやだいやだ!こ、これじゃ・・・アレクに抱いてもらいたいと前から願っていたみたいじゃないのっ!」
頭をブンブン振ると溜息をついて天井を見上げた。だけどどうして・・・。
「目が覚めるまで・・傍にいてくれなかったのよ・・酷いよ、アレク・・・。」
そして私は浴槽に頭を沈めた―。
****
「う~ん・・・・。」
バスルームから出てきた私は着る服に苦慮していた。だって身体のあちこちにキスマークがついているから、うかつに着る事が出来ないのだから。
「もう・・首元が隠せないじゃない・・・。」
どうしてよりにもよって首筋に何か所もキスマークを付けてくれるのだろう?
「こうなったら・・・最後の手段!」
私はチェストの引き出しを開けた―。
水上コテージのレストランのビュッフェで私はフォスティーヌに声を掛けられた。
「おはよう、リアンナ。」
「あ、おはよう、フォスティーヌ。あれ・・・?今朝は王子様は一緒じゃないの?」
トングでお皿にクリームパスタを取りながらフォスティーヌに尋ねた。
「ええ・・それがね何だか急用ができたからと言って、今朝早くに自家用ジェットで一度国に帰ってしまったんですって。勿論アレクも一緒にね。」
「え?アレクも?」
思いがけずアレクの名前が出てきて、私は耳まで真っ赤になってしまった。
「ん?どうしたの?リアンナ?」
フォスティーヌはシリアルに牛乳を掛けながら尋ねてきた。
「う、ううん。何でもないよ。」
フイとフォスティーヌから視線を反らすも、フォスティーヌはそれを許さない。
「嘘っ!絶対何かあったに決まってるっ!」
私はフォスティーヌの追求から免れる為、朝食の乗ったトレーを持って席に移動すると、当然の如くフォスティーヌもついてきて、同じ席に座ってしまった。
「フォスティーヌ・・・。」
私は溜息をつくと、突然フォスティーヌが私のスカーフに手を掛け、グイとスカーフをずらし・・・言った。
「キスマーク・・・。」
「!」
私はその言葉に耳まで真っ赤になってしまった。
「え・・?う、嘘でしょう・・・?リアンナ・・・ひょとして・・ついに・・?」
奥手な私と違って16歳の時に初体験を済ませているフォスティーヌは目を見開いた。
「お・・・おめでとう!それで、相手は誰なの?やっぱり・・アレクなんでしょう?」
「う、うん・・・多分・・・。」
「多分?何それ・・・。」
フォスティーヌは首を傾げる。
「だ、だって・・・・私・・私、何も覚えていないんだものっ!」
「え・・ええ~っ?!」
・・今度はフォスティーヌが驚く番だった―。
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