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エピソード25 夜のバーベキュー
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この日の夜はホテルの庭でバーベキュー大会だった。勿論令息たちは自分たちでは一切手を出さない。焼くのは当然ホテルの従業員たちだ。
私はお皿に串に刺した焼き肉やお野菜、それにシャンパンをトレーに乗せて1人離れた場所でヤシの木の下のまっ白なベンチに座り、満点の星空の下で南十字星を眺めながらバーベキュー料理を堪能していた。
本当はバーベキューが始まった最初の歩は皆と一緒に食べたり飲んだりしていたのだけれど、その内会話が高級ブランドファッションの話やジュエリー、果ては別荘の話にまで発展してしまったので、とても会話についていけなくなった為、1人群れ?から離れることにしたのだった。
「あ~・・・美味しいなぁ・・・。」
高級な串焼きの牛肉にシャンパンを飲みながら、徐々にほろ酔い気分に浸っているとふいに声を掛けられた。
「ねぇねぇ・・隣・・・座っていいかな?」
「え・・?」
アルコールでぼんやりした顔で見上げると、そこにはまだ一度も会話したことの無い男性が立っていた。オレンジ色の髪の毛は緩くパーマがかかっている。
彼はヤシの木の柄の派手なTシャツに耳にはピアス、それにネックレスを付けていた。あ~・・・この彼もきっとボンボンなんだろうな・・・。
私が返事もしないで、じろじろ見ていたからだろう。その男性は少しだけ首を傾げるとさっさと隣に座ってしまった。そして私をじっと見つめると言った。
「君は・・・確かリアンナっていう名前だったよね?俺の名前はニールって言うんだ。仲良くしようよ。」
「ふ~ん・・・ニールさんていうんですかぁ・・・。」
別に名前なんかどうだっていいけどね・・・私には関係ない雲の上の人達なんだし・・。
クイッと最後のシャンパンを飲み干した後。お肉を口に入れる私。
「あ・・・ほら、お酒なくなっちゃたね・・。実は俺・・・君の為にお酒を持ってきているんだよ?」
ニールは私の前にグラスに入ったビールを見せた。うん・・・・?どう見ても普通のビールにみえるけどなぁ・・。ぼんやりした頭でグラスを見つめているとニールが言った。
「ひょっとして、このビール・・・ただのビールだと思っていない?実はこれはね・・パッションフルーツのエール酒なのさ。」
「へぇ~・・・おいしそう・・・。」
「俺には君の方がおいしそうにみえるけどなぁ・・。」
何だか意味深なセリフをニールが言う。
「え?何か言いました?」
アルコールで赤らんだ顔で私はニールを見上げると・・ゴクリとニールの喉が鳴る音が聞こえた。
「あの・・ひょっとすると喉乾いてるんじゃないですか?お酒なら自分で取ってくるので、どうぞ自分で飲んでください。」
お皿の上に乗っている最後の料理を食べ終えた私は立ち上がると言った。
「あ、待ってくれよ。リアンナ。」
気付けば私は左手首をがっちりホールドされている。
「へぇ・・・君の手首って・・・すごく細いね。ちょっと力を入れて握り締めたら折れてしまいそうだ。」
そしてニールは開いている左手で持っていたエール酒を一気飲みした。
「ぷは~・・・美味いっ!」
トン
グラスをベンチに置いたニールは一体何を思ったか、左手で私の指をゆっくり撫でまわしてきた。そのあまりの不快感さで全身に鳥肌が立ってしまった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ニールが指を絡めながら囁いてくる。
「実は・・・初めて会った時から君の事可愛いって思ってたんだよね・・・君は他の女の子たちとは違って王子様を狙っていないみたいだし・・・。」
「あ、あの・・離して下さい・・・。」
しかしニールは私の話を全く聞かずに一層手首を強く握りしめてきた。思わず痛みで顔をしかめた、その時・・・。
「おい、そんなところで何をしているんだ?」
振り向くと、そこには怒りに満ちた表情を浮かべたアレクが立っていた―。
私はお皿に串に刺した焼き肉やお野菜、それにシャンパンをトレーに乗せて1人離れた場所でヤシの木の下のまっ白なベンチに座り、満点の星空の下で南十字星を眺めながらバーベキュー料理を堪能していた。
本当はバーベキューが始まった最初の歩は皆と一緒に食べたり飲んだりしていたのだけれど、その内会話が高級ブランドファッションの話やジュエリー、果ては別荘の話にまで発展してしまったので、とても会話についていけなくなった為、1人群れ?から離れることにしたのだった。
「あ~・・・美味しいなぁ・・・。」
高級な串焼きの牛肉にシャンパンを飲みながら、徐々にほろ酔い気分に浸っているとふいに声を掛けられた。
「ねぇねぇ・・隣・・・座っていいかな?」
「え・・?」
アルコールでぼんやりした顔で見上げると、そこにはまだ一度も会話したことの無い男性が立っていた。オレンジ色の髪の毛は緩くパーマがかかっている。
彼はヤシの木の柄の派手なTシャツに耳にはピアス、それにネックレスを付けていた。あ~・・・この彼もきっとボンボンなんだろうな・・・。
私が返事もしないで、じろじろ見ていたからだろう。その男性は少しだけ首を傾げるとさっさと隣に座ってしまった。そして私をじっと見つめると言った。
「君は・・・確かリアンナっていう名前だったよね?俺の名前はニールって言うんだ。仲良くしようよ。」
「ふ~ん・・・ニールさんていうんですかぁ・・・。」
別に名前なんかどうだっていいけどね・・・私には関係ない雲の上の人達なんだし・・。
クイッと最後のシャンパンを飲み干した後。お肉を口に入れる私。
「あ・・・ほら、お酒なくなっちゃたね・・。実は俺・・・君の為にお酒を持ってきているんだよ?」
ニールは私の前にグラスに入ったビールを見せた。うん・・・・?どう見ても普通のビールにみえるけどなぁ・・。ぼんやりした頭でグラスを見つめているとニールが言った。
「ひょっとして、このビール・・・ただのビールだと思っていない?実はこれはね・・パッションフルーツのエール酒なのさ。」
「へぇ~・・・おいしそう・・・。」
「俺には君の方がおいしそうにみえるけどなぁ・・。」
何だか意味深なセリフをニールが言う。
「え?何か言いました?」
アルコールで赤らんだ顔で私はニールを見上げると・・ゴクリとニールの喉が鳴る音が聞こえた。
「あの・・ひょっとすると喉乾いてるんじゃないですか?お酒なら自分で取ってくるので、どうぞ自分で飲んでください。」
お皿の上に乗っている最後の料理を食べ終えた私は立ち上がると言った。
「あ、待ってくれよ。リアンナ。」
気付けば私は左手首をがっちりホールドされている。
「へぇ・・・君の手首って・・・すごく細いね。ちょっと力を入れて握り締めたら折れてしまいそうだ。」
そしてニールは開いている左手で持っていたエール酒を一気飲みした。
「ぷは~・・・美味いっ!」
トン
グラスをベンチに置いたニールは一体何を思ったか、左手で私の指をゆっくり撫でまわしてきた。そのあまりの不快感さで全身に鳥肌が立ってしまった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ニールが指を絡めながら囁いてくる。
「実は・・・初めて会った時から君の事可愛いって思ってたんだよね・・・君は他の女の子たちとは違って王子様を狙っていないみたいだし・・・。」
「あ、あの・・離して下さい・・・。」
しかしニールは私の話を全く聞かずに一層手首を強く握りしめてきた。思わず痛みで顔をしかめた、その時・・・。
「おい、そんなところで何をしているんだ?」
振り向くと、そこには怒りに満ちた表情を浮かべたアレクが立っていた―。
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