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エピソード20 買ってもらうわけにはいきません
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「どうだ?この服なんか。」
アレクがハンガーにかかっている白地に大きな花柄プリントのノースリー部ワンピースをさっと取り出すと私にあてがう。
「お?やっぱりリアはスタイルがいいから似合うじゃないか?ちなみに服のサイズはいくつなんだ?」
「え?XSサイズだけど・・・。」
「ふ~ん・・・。XS サイズ・・・。」
「そんな事よりも・・ね、ねえ・・・。どうして女性ものの服を見てるの?私は服なんか買うつもりないよ?だってそんなにお金持ってきてないから・・。」
セレブしか集まらない島に来たことが急に恥ずかしくなって、最後の方は小声になってしまう。
「そんなの気にする必要はない。金なら・・・。」
「言っておくけど、買ってもらうつもりは一切ないからね。」
先に言ってくぎを刺しておかなくちゃ。アレクはチェッと舌打すると言った。
「だって普通なら女は男に何かごちそうになったり買ってもらったり、プレゼントを貰うのは当然だと考えているだろう?」
「アレク・・・今まで随分女運が悪かったんだねぇ・・。」
私はワンピースをもとの位置に戻すと言った。
「え?」
「男性に何か物を貰って当然とか思っているような女性はお勧めしないよ。本当の恋人って言うのはね・・ただ相手がそばにいてくれるだけでいいと思うものだよ?」
「ふ~ん・・そうなのか?」
アレクは不思議そうに尋ねる。
「まぁ、私はそうだけどね?」
「・・・そうか。」
アレクは何故か不機嫌そうにそっぽを向いた。
「ねえ・・?もしかして何か怒ってる?」
「別に、そんな事は無い。」
「そう?それじゃあ私の物を見に来たなら、出ようよ。高級過ぎて手が出ないし、どっちみち買うつもりは無いから。そんな事より私のなんか見る必要ないからアレクは自分の買い物をしなよ。あ、何ならここで別行動を取ろうか?2時間後とかに待ち合わせすればいいんじゃないの?」
しかし私の言葉のどこが不満なのか、ますます目に見えてアレクが不機嫌になってくる。そして黙って店を出て行くので私も慌ててアレクの後を追った。
「あ、あの・・・・やっぱり怒ってらっしゃいます・・?」
前方を歩くアレクに恐る恐る尋ねる私。すると突然ピタリと足を止めるとアレクが私を見下ろして言った。
「あたりまえだろう?何で一緒に来たのに別行動取らなくちゃならないんだよ。おかしいだろう?」
「ええ?!そ、そうかな?だって今まで家族と買い物に来ても、友達と買い物に来ても別行動で待ち合わせ場所を決めてたんだけど?!」
「はぁ?何だそれは・・?」
アレクは呆れ顔で私を見ると言った。
「と、とにかくだ。今日はずっと俺と一緒に行動するぞ?1人で歩いていて変な男にナンパされたらどうするんだよ・・。」
「そっか・・・分かったよ。私を心配してくれているんだね?」
「あ?ああ・・ま、まあ・・それもあるが・・。」
言葉を濁すアレクに言った。
「うん、分かったよ。今日は一緒に行動するから・・。それじゃあさ、水着を買いに行くからついて来てくれる?」
「え・・?」
アレクはギョッとした顔になる。
「リ、リア・・・・お前、さっきまで別行動取るって言っておきながら今度は水着を買いに行くなんて・・極端過ぎないか?」
「そうかなぁ・・・?でも水着持ってきてないんだよね。水着くらいはここで買おうと思っていたから・・。」
「よ、よし。なら水着を買いに行こう。で・・何処で買うんだ?」
「あのさ・・ここにはアウトレットのお店ってあるの?そこで買おうと思ってるんだけど・・。」
「よし、なら行こう。」
そしてアレクは私の右手を取ると、ウキウキした様子で歩き始めた―。
アレクがハンガーにかかっている白地に大きな花柄プリントのノースリー部ワンピースをさっと取り出すと私にあてがう。
「お?やっぱりリアはスタイルがいいから似合うじゃないか?ちなみに服のサイズはいくつなんだ?」
「え?XSサイズだけど・・・。」
「ふ~ん・・・。XS サイズ・・・。」
「そんな事よりも・・ね、ねえ・・・。どうして女性ものの服を見てるの?私は服なんか買うつもりないよ?だってそんなにお金持ってきてないから・・。」
セレブしか集まらない島に来たことが急に恥ずかしくなって、最後の方は小声になってしまう。
「そんなの気にする必要はない。金なら・・・。」
「言っておくけど、買ってもらうつもりは一切ないからね。」
先に言ってくぎを刺しておかなくちゃ。アレクはチェッと舌打すると言った。
「だって普通なら女は男に何かごちそうになったり買ってもらったり、プレゼントを貰うのは当然だと考えているだろう?」
「アレク・・・今まで随分女運が悪かったんだねぇ・・。」
私はワンピースをもとの位置に戻すと言った。
「え?」
「男性に何か物を貰って当然とか思っているような女性はお勧めしないよ。本当の恋人って言うのはね・・ただ相手がそばにいてくれるだけでいいと思うものだよ?」
「ふ~ん・・そうなのか?」
アレクは不思議そうに尋ねる。
「まぁ、私はそうだけどね?」
「・・・そうか。」
アレクは何故か不機嫌そうにそっぽを向いた。
「ねえ・・?もしかして何か怒ってる?」
「別に、そんな事は無い。」
「そう?それじゃあ私の物を見に来たなら、出ようよ。高級過ぎて手が出ないし、どっちみち買うつもりは無いから。そんな事より私のなんか見る必要ないからアレクは自分の買い物をしなよ。あ、何ならここで別行動を取ろうか?2時間後とかに待ち合わせすればいいんじゃないの?」
しかし私の言葉のどこが不満なのか、ますます目に見えてアレクが不機嫌になってくる。そして黙って店を出て行くので私も慌ててアレクの後を追った。
「あ、あの・・・・やっぱり怒ってらっしゃいます・・?」
前方を歩くアレクに恐る恐る尋ねる私。すると突然ピタリと足を止めるとアレクが私を見下ろして言った。
「あたりまえだろう?何で一緒に来たのに別行動取らなくちゃならないんだよ。おかしいだろう?」
「ええ?!そ、そうかな?だって今まで家族と買い物に来ても、友達と買い物に来ても別行動で待ち合わせ場所を決めてたんだけど?!」
「はぁ?何だそれは・・?」
アレクは呆れ顔で私を見ると言った。
「と、とにかくだ。今日はずっと俺と一緒に行動するぞ?1人で歩いていて変な男にナンパされたらどうするんだよ・・。」
「そっか・・・分かったよ。私を心配してくれているんだね?」
「あ?ああ・・ま、まあ・・それもあるが・・。」
言葉を濁すアレクに言った。
「うん、分かったよ。今日は一緒に行動するから・・。それじゃあさ、水着を買いに行くからついて来てくれる?」
「え・・?」
アレクはギョッとした顔になる。
「リ、リア・・・・お前、さっきまで別行動取るって言っておきながら今度は水着を買いに行くなんて・・極端過ぎないか?」
「そうかなぁ・・・?でも水着持ってきてないんだよね。水着くらいはここで買おうと思っていたから・・。」
「よ、よし。なら水着を買いに行こう。で・・何処で買うんだ?」
「あのさ・・ここにはアウトレットのお店ってあるの?そこで買おうと思ってるんだけど・・。」
「よし、なら行こう。」
そしてアレクは私の右手を取ると、ウキウキした様子で歩き始めた―。
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