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第96話 病気の告白
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「あ…カ、カイザード王太子様…」
私は震えながらその名を呼んだ。何故?何故彼がここに来たのだろう?どうやって私の居場所を…?すると私の目にマルセル様の姿が映った。そうだ…カイはマルセル様の元へ行き、私を探し出した…。カイザード王太子様は青ざめた顔で私に言った。
「その呼び方…ひょっとして、もう僕の正体に…?」
「はい、存じております…」
「「…」」
マルセル様とケリーは先ほどから黙って私とカイザード王太子様の会話を聞いている。彼が王太子という高い地位にある為にマルセル様も言葉を発する事が出来ないのかもしれない。
「すまないが、僕とアゼリアの2人きりにして貰えるかな?」
カイザード王太子様はマルセル様とケリーを交互に見ると言った。
「…分りました。ケリー、行こう」
マルセル様はケリーを促し、2人は部屋を出て行った。…出て行く途中私とマルセル様の視線が交錯する。その瞳は私をとても心配しているように見えた。
パタン…
部屋の扉が閉じられ、途端にシンと静まり返る。
「…」
カイザード王太子様は無言でベッドに近づき、傍らに置いてある椅子に座ると、私をじっと見つめてくる。
「あ、あの…」
どうしよう、何と言葉を掛ければよいのだろう。あれ程カイに会ってお礼を言いたいと思っていたのに本当は王太子様だったと知って、言葉が口から出てこない。
「アゼリア…」
カイザード王太子様は悲しげな目で私を見ると言った。
「僕はマルセルから何も聞かされていないんだ。君の主治医のヨハン先生もアゼリアから直接話を聞いてもらいたいと言ってる。お願いだ、教えてくれ。倒れたって言ってたよね?それに出血が酷かったとも言っていた。一体、どういう事なんだい?もしかすると君は…何か重い病気にかかっているのかい?」
「カイザード王太子様…わ、私は…」
するとカイザード王太子様は首を振った。
「アゼリア、そんな呼び方はやめてくれないかな?君には…カイと呼んでもらいたいんだ」
「で、ですが…」
「お願いだ。どうかカイと呼んでくれないか?王太子様なんて言葉もいらない。アゼリアの前では…ただの『カイ』でいたいんだ」
必死の目で私を見つめてくる。
「え…?」
それは一体どういう意味なのだろう?でもそこまで言われてしまえば…。
「分かりました、カイ…」
「うん、アゼリア…」
するとカイは笑みを浮かべて私を見た。それは…とても優しげな瞳で、あの頃と何ら変わるものではなかった。私は一度深呼吸すると、カイを見た。
「カイ…私の病気の事を知りたいのですよね?」
「うん、そうだよ。2年前も痩せていたけど…今は顔色も何だか青ざめているように見えるし…具合が悪いのかい?今迄横になっていたんだろう?」
「すみません。まさかマルセル様が連れてきたお方がカイだとは思いもしなかったので」
頭を下げるカイは慌てたように言った。
「いいんだよ、別に僕はアゼリアがベッドにいるのをどうこう言ってるわけじゃないんだ。それと…敬語も使わないでくれないかな?フレーベル家にいた時と同じ口調で話してくれるかい?」
ここは素直に従うことにした。
「ええ…分かったわ…」
「ありがとう。それじゃ…アゼリアの今の状況を教えてくれるかい?」
「ええ。あのね…あまり驚かないで聞いて欲しいのだけれど…私は白血病に侵されているの。そして一月ほど前に余命半年をヨハン先生から宣告されているの…」
「え…っ?!」
カイの目が驚愕で見開かれた―。
私は震えながらその名を呼んだ。何故?何故彼がここに来たのだろう?どうやって私の居場所を…?すると私の目にマルセル様の姿が映った。そうだ…カイはマルセル様の元へ行き、私を探し出した…。カイザード王太子様は青ざめた顔で私に言った。
「その呼び方…ひょっとして、もう僕の正体に…?」
「はい、存じております…」
「「…」」
マルセル様とケリーは先ほどから黙って私とカイザード王太子様の会話を聞いている。彼が王太子という高い地位にある為にマルセル様も言葉を発する事が出来ないのかもしれない。
「すまないが、僕とアゼリアの2人きりにして貰えるかな?」
カイザード王太子様はマルセル様とケリーを交互に見ると言った。
「…分りました。ケリー、行こう」
マルセル様はケリーを促し、2人は部屋を出て行った。…出て行く途中私とマルセル様の視線が交錯する。その瞳は私をとても心配しているように見えた。
パタン…
部屋の扉が閉じられ、途端にシンと静まり返る。
「…」
カイザード王太子様は無言でベッドに近づき、傍らに置いてある椅子に座ると、私をじっと見つめてくる。
「あ、あの…」
どうしよう、何と言葉を掛ければよいのだろう。あれ程カイに会ってお礼を言いたいと思っていたのに本当は王太子様だったと知って、言葉が口から出てこない。
「アゼリア…」
カイザード王太子様は悲しげな目で私を見ると言った。
「僕はマルセルから何も聞かされていないんだ。君の主治医のヨハン先生もアゼリアから直接話を聞いてもらいたいと言ってる。お願いだ、教えてくれ。倒れたって言ってたよね?それに出血が酷かったとも言っていた。一体、どういう事なんだい?もしかすると君は…何か重い病気にかかっているのかい?」
「カイザード王太子様…わ、私は…」
するとカイザード王太子様は首を振った。
「アゼリア、そんな呼び方はやめてくれないかな?君には…カイと呼んでもらいたいんだ」
「で、ですが…」
「お願いだ。どうかカイと呼んでくれないか?王太子様なんて言葉もいらない。アゼリアの前では…ただの『カイ』でいたいんだ」
必死の目で私を見つめてくる。
「え…?」
それは一体どういう意味なのだろう?でもそこまで言われてしまえば…。
「分かりました、カイ…」
「うん、アゼリア…」
するとカイは笑みを浮かべて私を見た。それは…とても優しげな瞳で、あの頃と何ら変わるものではなかった。私は一度深呼吸すると、カイを見た。
「カイ…私の病気の事を知りたいのですよね?」
「うん、そうだよ。2年前も痩せていたけど…今は顔色も何だか青ざめているように見えるし…具合が悪いのかい?今迄横になっていたんだろう?」
「すみません。まさかマルセル様が連れてきたお方がカイだとは思いもしなかったので」
頭を下げるカイは慌てたように言った。
「いいんだよ、別に僕はアゼリアがベッドにいるのをどうこう言ってるわけじゃないんだ。それと…敬語も使わないでくれないかな?フレーベル家にいた時と同じ口調で話してくれるかい?」
ここは素直に従うことにした。
「ええ…分かったわ…」
「ありがとう。それじゃ…アゼリアの今の状況を教えてくれるかい?」
「ええ。あのね…あまり驚かないで聞いて欲しいのだけれど…私は白血病に侵されているの。そして一月ほど前に余命半年をヨハン先生から宣告されているの…」
「え…っ?!」
カイの目が驚愕で見開かれた―。
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