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連載
フレーベル家の事情 ①
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大恋愛の末、私がダミアン・フレーベル家に嫁いで来たのは私とダミアンが共に20歳の時だった。私達は同じ学校に通っており、試験の度に2人とも赤点を取っていた。そして居残り学習や追試等で度々顔を合わせるようになり、いつしかそれが恋仲へと発展していったのだ。
「アビゲイル、俺たち大人になったら結婚しよう」
「ええ、そうね。約束よ。ダミアン」
私達が結婚を誓い合ったのは中等教育学部3年の補習授業の教室。
15歳の秋だった―。
****
私とダミアンは頭が悪かった為に、結局最終的に高等教育学部へ進学する事が出来なかった。私とダミアンは義務教育しか受ける事が出来なかったのだ。
その為もあってか、中等教育学部しか卒業することが出来なかった私とダミアンの結婚を両家の親は猛反対した。理由は簡単。
<頭の悪い者同士が結婚しても優秀な子供が生まれるはずはない>
そんな単純な理由だったのだ―。
****
結婚を誓い合ってから5年の歳月が流れ、私達は20歳になっていた。私とダミアンは度々親の目を盗んでは2人でこっそり借りた別宅でで逢引し、どうすれば結婚できるかをいつも話し合って考えた。
「どうするの?ダミアン。このままじゃ私達、一生かけても結婚出来ないわ」
「ああ…本当に困った事になった。一体どうすればいいんだろう?俺の両親は縁談相手を探しているようなんだ」
「な、何ですってっ?!信じられない!この私がいるっていうのにっ!」
ダミアンは困った様子で頭を抱えた。だけど私だって別れたくない。だってダミアンをあいしているのだから。
その時私は素晴らしい考えが頭に浮かんだ。
「そうよ、ダミアン。私に子供が出来たと言えばいいのよ。そうすれば流石に結婚を許さないはずがないわ」
「なるほど、それはそうだな」
ダミアンも満足そうに頷く。こんなに良い方法を思いつく私達をどうして世間は頭が悪い人間と見下すのだろうか?
こうして私とダミアンはその日の内にダミアンと一緒に私の両親に嘘の妊娠報告をした。するとその話を聞いた私の両親は大激怒したのだ。
『ただでさえお前の頭が悪すぎて体裁が悪いのに、さらに結婚前に妊娠するなど恥知らずが!』
父は激しく罵り、母はもはや泣くだけで口も利いてくれない。そしてその日の内に私は親子の縁を切られてしまった。一方ダミアンの両親はまだ話が通じる人で、妊娠してしまったなら仕方が無いと言って結婚を許してくれたのだが、式は挙げさせてくれなかった。そしてさらにある条件を突き付けられた。
『ダミアン、アビゲイル。分っているだろうが、6年間の猶予をやろう。2人の子供が優秀で無いと分った段階で離婚させるからな。これは遺言状にも書いておく。もし私に何かあった場合でも代理人がお前達とお腹の子供を見守っていくから、肝に銘じて置くように』
そして私達は条件付結婚をする事になったのだ―。
****
籍を入れたと同時にダミアンは家督を継いで、フレーベル家の当主になった。
彼の父は家督を継がせれば、責任感も生じて立派な当主になるだろうと言う理由から引退したのだ。しかし、噂によるとダミアンは『フレーベル家の恥』と世間から言われ続け、これ以上肩身の狭い思いをしたくないからさっさと引退したに違いないと使用人たちは囁き合っていたけれども、わたしにとってはどうでも良い話だった。
何しろ愛するダミアンと結婚できたのだから。
けれど…。
「どうするの?ダミアン。私、妊娠してないのよ?」
結婚出来は出来た者の。私は妊娠等していない。
「仕方ない。これから頑張って子供を作るしかないだろう?」
ダミアンは私の肩に手を置くと言った。
「ええ、そうね。一刻も早く妊娠して優秀な子供に育てないと私たち6年後には離婚させられてしまうわ」
そうよ。
私達はこんなに愛し合っているのだから子供だってすぐに出来るに違いない。
そう思っていたのに、私は半年経過しても一向に妊娠する事が出来なかったのだ―。
「アビゲイル、俺たち大人になったら結婚しよう」
「ええ、そうね。約束よ。ダミアン」
私達が結婚を誓い合ったのは中等教育学部3年の補習授業の教室。
15歳の秋だった―。
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私とダミアンは頭が悪かった為に、結局最終的に高等教育学部へ進学する事が出来なかった。私とダミアンは義務教育しか受ける事が出来なかったのだ。
その為もあってか、中等教育学部しか卒業することが出来なかった私とダミアンの結婚を両家の親は猛反対した。理由は簡単。
<頭の悪い者同士が結婚しても優秀な子供が生まれるはずはない>
そんな単純な理由だったのだ―。
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結婚を誓い合ってから5年の歳月が流れ、私達は20歳になっていた。私とダミアンは度々親の目を盗んでは2人でこっそり借りた別宅でで逢引し、どうすれば結婚できるかをいつも話し合って考えた。
「どうするの?ダミアン。このままじゃ私達、一生かけても結婚出来ないわ」
「ああ…本当に困った事になった。一体どうすればいいんだろう?俺の両親は縁談相手を探しているようなんだ」
「な、何ですってっ?!信じられない!この私がいるっていうのにっ!」
ダミアンは困った様子で頭を抱えた。だけど私だって別れたくない。だってダミアンをあいしているのだから。
その時私は素晴らしい考えが頭に浮かんだ。
「そうよ、ダミアン。私に子供が出来たと言えばいいのよ。そうすれば流石に結婚を許さないはずがないわ」
「なるほど、それはそうだな」
ダミアンも満足そうに頷く。こんなに良い方法を思いつく私達をどうして世間は頭が悪い人間と見下すのだろうか?
こうして私とダミアンはその日の内にダミアンと一緒に私の両親に嘘の妊娠報告をした。するとその話を聞いた私の両親は大激怒したのだ。
『ただでさえお前の頭が悪すぎて体裁が悪いのに、さらに結婚前に妊娠するなど恥知らずが!』
父は激しく罵り、母はもはや泣くだけで口も利いてくれない。そしてその日の内に私は親子の縁を切られてしまった。一方ダミアンの両親はまだ話が通じる人で、妊娠してしまったなら仕方が無いと言って結婚を許してくれたのだが、式は挙げさせてくれなかった。そしてさらにある条件を突き付けられた。
『ダミアン、アビゲイル。分っているだろうが、6年間の猶予をやろう。2人の子供が優秀で無いと分った段階で離婚させるからな。これは遺言状にも書いておく。もし私に何かあった場合でも代理人がお前達とお腹の子供を見守っていくから、肝に銘じて置くように』
そして私達は条件付結婚をする事になったのだ―。
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籍を入れたと同時にダミアンは家督を継いで、フレーベル家の当主になった。
彼の父は家督を継がせれば、責任感も生じて立派な当主になるだろうと言う理由から引退したのだ。しかし、噂によるとダミアンは『フレーベル家の恥』と世間から言われ続け、これ以上肩身の狭い思いをしたくないからさっさと引退したに違いないと使用人たちは囁き合っていたけれども、わたしにとってはどうでも良い話だった。
何しろ愛するダミアンと結婚できたのだから。
けれど…。
「どうするの?ダミアン。私、妊娠してないのよ?」
結婚出来は出来た者の。私は妊娠等していない。
「仕方ない。これから頑張って子供を作るしかないだろう?」
ダミアンは私の肩に手を置くと言った。
「ええ、そうね。一刻も早く妊娠して優秀な子供に育てないと私たち6年後には離婚させられてしまうわ」
そうよ。
私達はこんなに愛し合っているのだから子供だってすぐに出来るに違いない。
そう思っていたのに、私は半年経過しても一向に妊娠する事が出来なかったのだ―。
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