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第2章 京極正人 2
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京極が日本に帰国してから早いもので一月が経過していた。そして今日も又京極は東京拘置所に収監されている飯塚の面会に訪れていた。
「また来たんですか・・・物好きな方ですね・・。」
相変わらず不機嫌そうな顔をした飯塚が視線も合わせずに言う。
「言ったじゃないですか。週に一度は必ず来ますって。」
アクリル板越しに京極は笑みを浮かべる。それを一瞥すると飯塚は言った。
「大体一般人は平日しか面会には来れないんですよ?京極さんはお仕事されていないんですか?」
「いいえ、してますよ。IT関係なので在宅で仕事をしています。なのでいつでも面会に来ようと思えば来れるわけです。」
「そうですか。」
たいして興味がなさそうに飯塚は返事をする。
「ところで聞きましたよ。飯塚さん。来月・・・仮出所できるそうですね。おめでとうございます。」
もうじき刑期が終わるのだ。さぞかし飯塚は喜んでいるだろうと京極は思っていたのだが、飯塚の返事は予想外の物だった。
「何がめでたいんですか?まだ誰も身元引受人が決まってもいないのに・・行く当てだってありません。だから正直な話・・私はここを出たくは無いんですよ。」
「え・・?そうだったのですか・・?」
京極はその話に驚いた。てっきり飯塚には既に身元引受人が決まっていると思っていたのだ。
「まぁ・・今探し回ってくれているみたいですけどね・・。」
その口ぶりはまるで全てを諦めたような・・どうでもよい口ぶりに思えた。
「・・・。」
京極はそんな様子の飯塚を少しの間、無言で見つめていたが・・やがて立ち上がると言った。
「すみません。飯塚さん。用事を思い出したので・・今日はもう帰りますね。ああ・・・そうだ、飯塚さんに差し入れを持ってきているんです。占いの本を持ってきたので良ければ読んでください。後他に雑誌のクロスワードも持ってきましたよ。」
「はぁ?占いの本・・・?何故そんな本を持ってきたのですか?」
飯塚の言葉に京極は首を傾げた。
「・・・駄目でしたか?女性は皆・・・占いに興味があると思っていたのですが・・・。占いと言っても手相の本ですよ。勉強になると思うので・・・それではまた来週伺いますね。」
京極はそれだけ言うと、飯塚の返事も聞かずにさっさと帰ってしまった。それを見た飯塚は不機嫌そうにつぶやいた。
「何よ、あれ・・・随分自分勝手ね・・。」
****
その日の夜―
京極は身元引受人の条件について調べていた。
「・・そうか。これなら何とかなりそうだな・・・。」
時計を見ると時刻はすでに深夜になろうとしていた。京極は部屋を移動すると、ドアをガチャリと開けた。
「・・・。」
そこは空き部屋だった。
「ここに・・家具を用意すればいいか・・。」
そしてキッチンへ行くと冷蔵庫を開けた。中には食料はほとんど入っておらず、あるのはビールばかりである。
「・・・こんな冷蔵庫じゃ・・・静香に怒られるかな。」
京極は苦笑すると、缶ビールを取り出してプルタブを開けた。
プシュッ
しんと静まり返った部屋に子気味良い音が響く。缶ビールを一気に飲み干すと、京極は、そのままダストボックスに空き缶を入れて、リビングへと移動した。
皮張りの豪華なソファに座り、ガラステーブルに置かれたノートパソコンの電源を入れると、京極は通販サイトの画面を立ち上げた。
勿論通販サイトは『ラージウェアハウス』。二階堂と九条社長を務める大手通販会社である。
「さて・・まず必要なのはベッドに・・寝具か・・・。」
次々と京極は買い物を続け・・・その作業は深夜2時にまで及ぶのだった―。
「また来たんですか・・・物好きな方ですね・・。」
相変わらず不機嫌そうな顔をした飯塚が視線も合わせずに言う。
「言ったじゃないですか。週に一度は必ず来ますって。」
アクリル板越しに京極は笑みを浮かべる。それを一瞥すると飯塚は言った。
「大体一般人は平日しか面会には来れないんですよ?京極さんはお仕事されていないんですか?」
「いいえ、してますよ。IT関係なので在宅で仕事をしています。なのでいつでも面会に来ようと思えば来れるわけです。」
「そうですか。」
たいして興味がなさそうに飯塚は返事をする。
「ところで聞きましたよ。飯塚さん。来月・・・仮出所できるそうですね。おめでとうございます。」
もうじき刑期が終わるのだ。さぞかし飯塚は喜んでいるだろうと京極は思っていたのだが、飯塚の返事は予想外の物だった。
「何がめでたいんですか?まだ誰も身元引受人が決まってもいないのに・・行く当てだってありません。だから正直な話・・私はここを出たくは無いんですよ。」
「え・・?そうだったのですか・・?」
京極はその話に驚いた。てっきり飯塚には既に身元引受人が決まっていると思っていたのだ。
「まぁ・・今探し回ってくれているみたいですけどね・・。」
その口ぶりはまるで全てを諦めたような・・どうでもよい口ぶりに思えた。
「・・・。」
京極はそんな様子の飯塚を少しの間、無言で見つめていたが・・やがて立ち上がると言った。
「すみません。飯塚さん。用事を思い出したので・・今日はもう帰りますね。ああ・・・そうだ、飯塚さんに差し入れを持ってきているんです。占いの本を持ってきたので良ければ読んでください。後他に雑誌のクロスワードも持ってきましたよ。」
「はぁ?占いの本・・・?何故そんな本を持ってきたのですか?」
飯塚の言葉に京極は首を傾げた。
「・・・駄目でしたか?女性は皆・・・占いに興味があると思っていたのですが・・・。占いと言っても手相の本ですよ。勉強になると思うので・・・それではまた来週伺いますね。」
京極はそれだけ言うと、飯塚の返事も聞かずにさっさと帰ってしまった。それを見た飯塚は不機嫌そうにつぶやいた。
「何よ、あれ・・・随分自分勝手ね・・。」
****
その日の夜―
京極は身元引受人の条件について調べていた。
「・・そうか。これなら何とかなりそうだな・・・。」
時計を見ると時刻はすでに深夜になろうとしていた。京極は部屋を移動すると、ドアをガチャリと開けた。
「・・・。」
そこは空き部屋だった。
「ここに・・家具を用意すればいいか・・。」
そしてキッチンへ行くと冷蔵庫を開けた。中には食料はほとんど入っておらず、あるのはビールばかりである。
「・・・こんな冷蔵庫じゃ・・・静香に怒られるかな。」
京極は苦笑すると、缶ビールを取り出してプルタブを開けた。
プシュッ
しんと静まり返った部屋に子気味良い音が響く。缶ビールを一気に飲み干すと、京極は、そのままダストボックスに空き缶を入れて、リビングへと移動した。
皮張りの豪華なソファに座り、ガラステーブルに置かれたノートパソコンの電源を入れると、京極は通販サイトの画面を立ち上げた。
勿論通販サイトは『ラージウェアハウス』。二階堂と九条社長を務める大手通販会社である。
「さて・・まず必要なのはベッドに・・寝具か・・・。」
次々と京極は買い物を続け・・・その作業は深夜2時にまで及ぶのだった―。
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