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第8話 アネッサへの報告
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「な、何ですって?その話…本当なのですか…?」
アネッサは横たわる私の側にやってきた。
「ええ、そうなのよ。その女性はね、私達が通う学園のマドンナ的存在の…それはそれは綺麗な女性なの。長く美しいアッシュブロンドヘアがとても良く似合っているわ。2人は湖のほとりで人目を忍ぶように会っていたわ。互いに抱きしめ合ってキスをして…って…アネッサ?」
何だかアネッサの様子がおかしい。私は体を起こすとアネッサを見た。
「ええ、ええ。それで?その後はどうなったのです?」
何故かアネッサは興奮気味に先を促す。
「それでって…そこまでよ?そこから先は見ていないから…」
「そうなんですか…?それは残念…いえ、酷い話ですね。エイミー様と言う婚約者がありながら、しかも婚約式の開かれる日に堂々と浮気なんて…」
アネッサは複雑な表情を浮かべながら力説する。
「浮気…でも、本気の恋なら…浮気と言わないのじゃないかしら…」
だって、あの2人は本当に愛し合っているように私には見えたから。
「え?お嬢様?」
アネッサが首を傾げる。
「あ、な、何でもないの。今の台詞は気にしないで。うん…本当に何でもないから…。それでね、2人がキスしているのを見ていたのは私だけじゃなかったのよ。他に男の人も見ていたの。そこでお互いに自己紹介しあったの。そうしたらその人はお相手の女性の幼馴染の人で、ずっと女性の事を好きだったそうなのよ」
「まぁ。それは面白い…いえ、厄介な話ですね。それでどうなったのですか?」
「ええ。それでその男性に言われたの。全力で婚約破棄を回避するようにって。その間に男性の方は女性の心を自分の物にすると言ってたわ」
「成程…利害の一致と言う訳すね?」
「そうね。それで婚約破棄発表を中断させる為に、バックレる様にと言われたの」
「…は?エイミー様。今…何と言われましたか?」
「え?婚約破棄発表を中断させる為にバックレると言ったけど?」
するとアネッサが目を見開いた。
「エイミー様っ!子爵家令嬢でありながら…そ、そのような言葉を使われるなんて…その男性は余程ガサツなのではないでしょうか?」
「そうね…。ガサツと言うよりは何だかすごく悪そうな人に見えたわ。目はつりあがってるし、話し方は乱暴だし…でも、あんなに乱暴だから幼馴染の女性に見向きもされなかったのじゃないかしら」
「成程、自業自得ですね。それは…」
アネッサが頷く。
「そうよ、もとはと言えば、あの男性があんなにガサツで乱暴だから彼女は恋愛対象に見る事が出来なかったのよ。そ、それで私という婚約者がいるのに…ア、アルトと…」
再び目頭が熱くなってきた。
「いいえ、エイミー様は何も悪くありません。こんなに可愛らしいエイミー様の魅力に気付かないアルト様がおかしいのです。だからどうか自信を持って下さい」
「ありがとう、エイミー。兎に角、婚約式を逃げ出す為に…仮病を使ってしまったのよ。だから今日は1日部屋にいるわ。それでもし…もしもだけど、アルト様が来られても…帰って貰うように伝えておいてくれる?」
「はい、お任せ下さいっ!絶対にお部屋にお通ししませんので」
アネッサは心強く返事をしてくれた―。
アネッサは横たわる私の側にやってきた。
「ええ、そうなのよ。その女性はね、私達が通う学園のマドンナ的存在の…それはそれは綺麗な女性なの。長く美しいアッシュブロンドヘアがとても良く似合っているわ。2人は湖のほとりで人目を忍ぶように会っていたわ。互いに抱きしめ合ってキスをして…って…アネッサ?」
何だかアネッサの様子がおかしい。私は体を起こすとアネッサを見た。
「ええ、ええ。それで?その後はどうなったのです?」
何故かアネッサは興奮気味に先を促す。
「それでって…そこまでよ?そこから先は見ていないから…」
「そうなんですか…?それは残念…いえ、酷い話ですね。エイミー様と言う婚約者がありながら、しかも婚約式の開かれる日に堂々と浮気なんて…」
アネッサは複雑な表情を浮かべながら力説する。
「浮気…でも、本気の恋なら…浮気と言わないのじゃないかしら…」
だって、あの2人は本当に愛し合っているように私には見えたから。
「え?お嬢様?」
アネッサが首を傾げる。
「あ、な、何でもないの。今の台詞は気にしないで。うん…本当に何でもないから…。それでね、2人がキスしているのを見ていたのは私だけじゃなかったのよ。他に男の人も見ていたの。そこでお互いに自己紹介しあったの。そうしたらその人はお相手の女性の幼馴染の人で、ずっと女性の事を好きだったそうなのよ」
「まぁ。それは面白い…いえ、厄介な話ですね。それでどうなったのですか?」
「ええ。それでその男性に言われたの。全力で婚約破棄を回避するようにって。その間に男性の方は女性の心を自分の物にすると言ってたわ」
「成程…利害の一致と言う訳すね?」
「そうね。それで婚約破棄発表を中断させる為に、バックレる様にと言われたの」
「…は?エイミー様。今…何と言われましたか?」
「え?婚約破棄発表を中断させる為にバックレると言ったけど?」
するとアネッサが目を見開いた。
「エイミー様っ!子爵家令嬢でありながら…そ、そのような言葉を使われるなんて…その男性は余程ガサツなのではないでしょうか?」
「そうね…。ガサツと言うよりは何だかすごく悪そうな人に見えたわ。目はつりあがってるし、話し方は乱暴だし…でも、あんなに乱暴だから幼馴染の女性に見向きもされなかったのじゃないかしら」
「成程、自業自得ですね。それは…」
アネッサが頷く。
「そうよ、もとはと言えば、あの男性があんなにガサツで乱暴だから彼女は恋愛対象に見る事が出来なかったのよ。そ、それで私という婚約者がいるのに…ア、アルトと…」
再び目頭が熱くなってきた。
「いいえ、エイミー様は何も悪くありません。こんなに可愛らしいエイミー様の魅力に気付かないアルト様がおかしいのです。だからどうか自信を持って下さい」
「ありがとう、エイミー。兎に角、婚約式を逃げ出す為に…仮病を使ってしまったのよ。だから今日は1日部屋にいるわ。それでもし…もしもだけど、アルト様が来られても…帰って貰うように伝えておいてくれる?」
「はい、お任せ下さいっ!絶対にお部屋にお通ししませんので」
アネッサは心強く返事をしてくれた―。
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