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第67話 行けっ!ウィンターッ!
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勝手口から外に出ると、ウィンターの姿が見当たらない。
「ちょっと、ウィンター。どこにいるのよ」
キョロキョロ辺りを見渡すと、木の陰からウィンターが顔を出した。
「ゲルダ様、ここですよ」
「何で木の陰にいるのよ」
ウィンターに近づきながら声を掛けた。
「はい、迂闊に姿を見せるといつ何処でまたこの屋敷の使用人に見つかるか分からないからですよ。何故か、この屋敷の人達は俺を見るとすぐに仕事を命じてくるんですから」
ウィンターは口を尖らせながら言う。
「ふ~ん。なるほどねぇ…」
腕組みしながらウィンターをジロジロ見渡した。
「うん、分かる気がするわ。だって貴方、何処からどう見てもこの屋敷の使用人感が漂っているもの。やっぱりいっそのことここで本当の使用人として働けば?」
「じょ、冗談じゃありませんよ!ここは本当に人使いが荒いんですよ?!早いところ、用件を済ませてこんなところずらかりましょうよ!」
「分かったわよ。ウィンター。黄色いスカーフは持っているわね?」
「ええ、ちゃーんと持っていますよ」
ウィンターは上着のポケットから黄色いスカーフを取り出した。
「よし、それじゃ今からベロニカの部屋に行くわよ!」
「了解っ!」
そして私はウィンターを連れてベロニカの部屋が見える中庭を目指した―。
****
時刻は既に午後5時を回っていた。辺りは大分薄暗くなっていた。
「あった、あれだわ。あの部屋がベロニカの部屋よ」
私はバルコニーを指差すと言った。
「本当にあの部屋で間違いないのでしょうねぇ?」
何故か疑わし気に私を見るウィンター。
「何よ?その目は…ほら、よく見てごらんなさいよ」
私の指さした先にはベロニカとウェルナー侯爵の姿がある。2人はワインを飲みながら何やら料理を食べている。
「あ、いました。確かに間違いないですね」
「そうよ、はい、分かったら行って来なさい」
「え?行くって…何処へ?」
ウィンターがぽかんとした顔で尋ねる。
「何言ってるのよ。このスカーフをバルコニーの手すりに結びつけてくるのよ」
「ええええっ!お、俺がやるんですかっ?!」
ウィンターが大声で喚く。
「バカッ!大声出さないで頂戴!気付かれたらどうするの?」
「そう、それですよっ。もしスカーフを巻いている最中にあの2人に見つかったらどうするんですか?見てくださいよ!ベロニカ様は…こっちを向いて食事をしているじゃないですか!」
そうなのだ。運悪くベロニカはこちら側…つまり、中庭を向いて座っているのである。これでは迂闊にバルコニーへは近づけない。
「仕方ないわね…ベロニカに気付かれ無いようにするには…もはや匍匐前進して進むしか無いわね」
考え込みながら言う私にウィンターが尋ねてきた。
「何ですか?それ?」
「あら、匍匐前進と言う言葉を知らないのね?ならいいわ、教えてあげる。腹這いになって、手と足で地面を這うように前進することを言うのよ」
「ああ、なるほど。そうすれば確かに相手から姿が見えませんね」
「ええ、その通り。さぁ、行きなさい。ウィンター!」
「え?お、俺がやるんですかっ?!」
ウィンターが目を白黒させる。
「何ですって…?ウィンター。まさか…メイド服姿の私にそんな真似させるつもりなのかしら…?」
「い、いえ!と・と・と・とんでもありません!行きますっ!行ってきますっ!」
そしてウィンターは地面に這いつくばると、ズルズルとバルコニーへ向かって這っていく。
いやはや、その姿はさながらゾンビを彷彿とさせるものだった―。
「ちょっと、ウィンター。どこにいるのよ」
キョロキョロ辺りを見渡すと、木の陰からウィンターが顔を出した。
「ゲルダ様、ここですよ」
「何で木の陰にいるのよ」
ウィンターに近づきながら声を掛けた。
「はい、迂闊に姿を見せるといつ何処でまたこの屋敷の使用人に見つかるか分からないからですよ。何故か、この屋敷の人達は俺を見るとすぐに仕事を命じてくるんですから」
ウィンターは口を尖らせながら言う。
「ふ~ん。なるほどねぇ…」
腕組みしながらウィンターをジロジロ見渡した。
「うん、分かる気がするわ。だって貴方、何処からどう見てもこの屋敷の使用人感が漂っているもの。やっぱりいっそのことここで本当の使用人として働けば?」
「じょ、冗談じゃありませんよ!ここは本当に人使いが荒いんですよ?!早いところ、用件を済ませてこんなところずらかりましょうよ!」
「分かったわよ。ウィンター。黄色いスカーフは持っているわね?」
「ええ、ちゃーんと持っていますよ」
ウィンターは上着のポケットから黄色いスカーフを取り出した。
「よし、それじゃ今からベロニカの部屋に行くわよ!」
「了解っ!」
そして私はウィンターを連れてベロニカの部屋が見える中庭を目指した―。
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時刻は既に午後5時を回っていた。辺りは大分薄暗くなっていた。
「あった、あれだわ。あの部屋がベロニカの部屋よ」
私はバルコニーを指差すと言った。
「本当にあの部屋で間違いないのでしょうねぇ?」
何故か疑わし気に私を見るウィンター。
「何よ?その目は…ほら、よく見てごらんなさいよ」
私の指さした先にはベロニカとウェルナー侯爵の姿がある。2人はワインを飲みながら何やら料理を食べている。
「あ、いました。確かに間違いないですね」
「そうよ、はい、分かったら行って来なさい」
「え?行くって…何処へ?」
ウィンターがぽかんとした顔で尋ねる。
「何言ってるのよ。このスカーフをバルコニーの手すりに結びつけてくるのよ」
「ええええっ!お、俺がやるんですかっ?!」
ウィンターが大声で喚く。
「バカッ!大声出さないで頂戴!気付かれたらどうするの?」
「そう、それですよっ。もしスカーフを巻いている最中にあの2人に見つかったらどうするんですか?見てくださいよ!ベロニカ様は…こっちを向いて食事をしているじゃないですか!」
そうなのだ。運悪くベロニカはこちら側…つまり、中庭を向いて座っているのである。これでは迂闊にバルコニーへは近づけない。
「仕方ないわね…ベロニカに気付かれ無いようにするには…もはや匍匐前進して進むしか無いわね」
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「何ですって…?ウィンター。まさか…メイド服姿の私にそんな真似させるつもりなのかしら…?」
「い、いえ!と・と・と・とんでもありません!行きますっ!行ってきますっ!」
そしてウィンターは地面に這いつくばると、ズルズルとバルコニーへ向かって這っていく。
いやはや、その姿はさながらゾンビを彷彿とさせるものだった―。
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