旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中

文字の大きさ
上 下
35 / 100

第35話 証拠を掴め!

しおりを挟む
「な、何で俺がノイマン家に戻らなければならないんです?」

ウィンターが震えながら私を見る。

「そんな事分かりきってるじゃない。あの屋敷の現状を知っておくには誰かが偵察していないと知ることが出来ないでしょう?」

「うん、うん。ゲルダさんの言う通りね。」

アネットが頷くとウィンターが喚いた。

「うるさいっ!アネット!だったらお前が行けよ!ラファエル様と一番近い場所にいたのはお前だろう?!」

「はぁっ?!ばっかじゃないの、あんた!どうして私がノイマン家に戻らないといけないのよ!ふざけんじゃないわよ!」

う~ん…段々アネットのガラが悪くなっている気がするけれど…気の所為ということにしておこう。

「…」

一方、ブランカは我関せずと言わんばかりに静かに紅茶を飲んでいる。

「ゲルダ様っ!俺よりも絶対アネットがいいですって!大体俺は最後にノイマン家の方々から『裏切り者』と呼ばれながら出ていったんですよ?」

「成程…つまり、ウィンター。貴方は追い出されたわけじゃなくて、自分の意思でノイマン家を出てきたわけでしょう?」

「うっ!」

「それにねぇ…アネットはラファエルから暴力を振るわれてきたのよ?」

「そうそう」

アネットは腕組みしながら頷く。

「ううっ!」

「ウィンター。貴方はラファエルから暴力を振るわれたりしたことあるかしら?」

「いいえ!一度も無いですよ!だってラファエルとウィンターは本当に仲良しでしたから!」

「黙れ!アネット!余計な事話すなぁっ!」

「ほら、やっぱり2人は馴れ合いの仲だったって事じゃない」

「うぐっ!」

私の言葉に一々、大袈裟に胸を押さえるウィンター。

「なら決まりね。話によると、ノイマン家は使用人たちが続々やめていってるって話よ。それはまぁ当然の話よね?給料を支払って上げていた私はラファエルと離婚したし、預金残高はゼロ。彼等は使用人たちに給料を支払えるどころか、自分たちの明日の生活も知れぬ状態なんだもの。だから貴方がノイマン家に再び使用人として戻れば、きっと彼等は泣いて喜ぶはずよ?」

「…とてもそうは思えませんけど…」

チッ。全く…疑り深い男だ。

「泣いて喜ぶに決まってるわよ。だって無給で働きますって言えばいいんだから」

「はぁ?!俺にタダ働きしてこいって言うんですかぁ?!冗談じゃありませんよ!」

ウィンターが髪の毛を掻きむしる。

「…全く馬鹿な男ね…」

ブランカがボソリと言うが、ウィンターの耳にはその言葉は入らいない。

「ちょっと落ち着きなさいよ、無給で働かせるはずないでしょう?これでも私は良い雇用主のつもりなんだから。ウィンターの給料は私が支払うに決まっているでしょう?」

「え?それは本当の話ですよね?」

「あったりまえじゃない。ウィンターは使用人としてノイマン家に潜入するのよ。それで定期的に彼等の動向を私に知らせるのよ。それに、もし仮にラファエルとベロニカの浮気現場の証拠をつかめば日当にプラスして2万シリルあげるわ!」

「な、何ですって?その言葉に二言はないでしょうね?」

「当然よ。私の最終目的はノイマン家を潰すことと、不倫をしていたベロニカを成敗することなんだから。いい?その代わりもしラファエルとベロニカが別れそうになったら何とか引き止めるのよ!ただし、決して私の名前は明かさないこと。いいわね?!」

不倫関係をやめさせない…そんな方法があるかどうかも分からないけれど、私は頭の悪いウィンターに丸投げした。

「分かりました!任せてくださいよっ!」

ウィンターはドンと胸を叩く。

「よし、なら決まりね。明日から早速ブランカとウィンターはそれぞれの屋敷に潜入して頂戴」

「はい」

「頑張ります!」


ブランカとウィンターは返事をした―。

しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?

ねーさん
恋愛
 公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。  なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。    王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~

黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※ すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。

二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。 そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。 ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。 そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……? ※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

処理中です...