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67話 イレーネVS(?)ブリジット
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「ちょ、ちょっとどういうことよ! ルシアン様の婚約者だなんて……! そんな話、初耳よ!」
ブリジットは興奮のあまり、立ち上がる。
「ええ、そうですよね? 何しろつい最近、私とルシアン様の婚約が決まったばかりなのですから」
そのとき――
「あ、あの……お茶とお茶菓子をお持ちいたしました」
メイドのアナがワゴンに2人分のとびきりのお茶と焼菓子を乗せて応接室に現れた。
「まぁ、アナ。どうもありがとう」
ニコニコしながら声をかけるイレーネ。
「い、いえ。では失礼いたします」
アナはいそいそと2人の側に行くと、紅茶と焼菓子をテーブルに乗せ……チラリとブリジットを見た。
「何よ?」
ジロリと睨むブリジット。
「い、いえ。何でもありません! し、失礼致しました!」
ペコリと頭を下げると、アナは逃げるように応接室を後にした。
「まぁ……美味しそうなお茶にケーキですね。ブリジット様、一緒に頂きましょう」
「……は?」
唖然とするブリジットにイレーネは声をかけると、早速カップに口をつけると笑みを浮かべた。
「……まぁ。香りも素敵だし、味も最高だわ」
「ちょっと待ちなさい!! あなたねぇ……よ、よくもこんな状態でお茶なんか飲めるわね!」
ブリジットは興奮のあまり、髪の毛同様頬を赤く染める。
「ブリジット様、このお茶本当に美味しいですよ? 温かいうちに飲まれたほうがよろしいかと思います」
しかし、イレーネはブリジットの興奮する様子に動じることもなくお茶を勧める。
「……なら頂くわ」
(そうね。お茶を飲んで少し冷静になりましょう)
ブリジットはおとなしく座ると、早速紅茶を口にした。それはとてもフルーティーな香りで、飲みやすい紅茶だった。
「……確かに美味しいわ」
「ですよね? それなら焼き菓子も頂きましょう……まぁ! とっても美味しいわ! この紅茶と本当によく合います。ささ、ブリジット様もどうぞお召し上がりになってみて下さい」
イレーネがあまりにも美味しそうに焼菓子を口にするので、ブリジットも食べてみようと思った。ただし、強気な態度は崩さずに。
「ふ、ふん。食べ物なんかで私がつられるとでも思っているの? こう見えても私は色々な美味しいスイーツを食べ歩いているのだから」
そしてフォークで焼き菓子を口に運び……。
「! 美味しいじゃない……」
「ですよね? お茶も焼き菓子も最高に美味しいですね。きっと、マイスター家の人々がブリジット様に最高のティータイムを準備したのでしょうね」
ニコニコ笑みを浮かべるイレーネ。
「そ、そうなのかしら……じゃなくて!」
ブリジットはお茶を口にすると、再び眉を吊り上げた。
「お茶やお菓子なんかでごまかされないわよ! ルシアン様の婚約者だなんて、私は
絶対に認めないわよ! 私はね、あなたよりもずっと前にルシアン様と知り合って、そのときからずっとあの方を慕っていたのだから!」
「まぁ!? そうだったのですか? それは大変申し訳ございませんでした。……確かに、私から見ましても美しいブリジット様のほうが余程ルシアン様とお似合いだと思います」
「え? え……ええ、そうよ。何よ、ちゃんと分かっているじゃない」
美しいと言われて悪い気がしないブリジット。
「だったら、さっさとルシアン様から身を引きなさい」
「……申し訳ございません。……それが、私の一存では出来ないのです」
ため息をつくイレーネ。
「はい?」
「ルシアン様の方が私よりも爵位が上です。私の方から身を引くなど、恐れ多くて出来ません。そしてルシアン様は現当主様に私と婚姻することを報告するために遠方に出向いておりまして現在不在です。そのためにどうしても今はブリジット様のお言葉を承諾することができないのです。何卒ご理解いただきますよう、お願い申し上げます」
「……」
ブリジットがその言葉に呆れたのは言うまでもなかった――
ブリジットは興奮のあまり、立ち上がる。
「ええ、そうですよね? 何しろつい最近、私とルシアン様の婚約が決まったばかりなのですから」
そのとき――
「あ、あの……お茶とお茶菓子をお持ちいたしました」
メイドのアナがワゴンに2人分のとびきりのお茶と焼菓子を乗せて応接室に現れた。
「まぁ、アナ。どうもありがとう」
ニコニコしながら声をかけるイレーネ。
「い、いえ。では失礼いたします」
アナはいそいそと2人の側に行くと、紅茶と焼菓子をテーブルに乗せ……チラリとブリジットを見た。
「何よ?」
ジロリと睨むブリジット。
「い、いえ。何でもありません! し、失礼致しました!」
ペコリと頭を下げると、アナは逃げるように応接室を後にした。
「まぁ……美味しそうなお茶にケーキですね。ブリジット様、一緒に頂きましょう」
「……は?」
唖然とするブリジットにイレーネは声をかけると、早速カップに口をつけると笑みを浮かべた。
「……まぁ。香りも素敵だし、味も最高だわ」
「ちょっと待ちなさい!! あなたねぇ……よ、よくもこんな状態でお茶なんか飲めるわね!」
ブリジットは興奮のあまり、髪の毛同様頬を赤く染める。
「ブリジット様、このお茶本当に美味しいですよ? 温かいうちに飲まれたほうがよろしいかと思います」
しかし、イレーネはブリジットの興奮する様子に動じることもなくお茶を勧める。
「……なら頂くわ」
(そうね。お茶を飲んで少し冷静になりましょう)
ブリジットはおとなしく座ると、早速紅茶を口にした。それはとてもフルーティーな香りで、飲みやすい紅茶だった。
「……確かに美味しいわ」
「ですよね? それなら焼き菓子も頂きましょう……まぁ! とっても美味しいわ! この紅茶と本当によく合います。ささ、ブリジット様もどうぞお召し上がりになってみて下さい」
イレーネがあまりにも美味しそうに焼菓子を口にするので、ブリジットも食べてみようと思った。ただし、強気な態度は崩さずに。
「ふ、ふん。食べ物なんかで私がつられるとでも思っているの? こう見えても私は色々な美味しいスイーツを食べ歩いているのだから」
そしてフォークで焼き菓子を口に運び……。
「! 美味しいじゃない……」
「ですよね? お茶も焼き菓子も最高に美味しいですね。きっと、マイスター家の人々がブリジット様に最高のティータイムを準備したのでしょうね」
ニコニコ笑みを浮かべるイレーネ。
「そ、そうなのかしら……じゃなくて!」
ブリジットはお茶を口にすると、再び眉を吊り上げた。
「お茶やお菓子なんかでごまかされないわよ! ルシアン様の婚約者だなんて、私は
絶対に認めないわよ! 私はね、あなたよりもずっと前にルシアン様と知り合って、そのときからずっとあの方を慕っていたのだから!」
「まぁ!? そうだったのですか? それは大変申し訳ございませんでした。……確かに、私から見ましても美しいブリジット様のほうが余程ルシアン様とお似合いだと思います」
「え? え……ええ、そうよ。何よ、ちゃんと分かっているじゃない」
美しいと言われて悪い気がしないブリジット。
「だったら、さっさとルシアン様から身を引きなさい」
「……申し訳ございません。……それが、私の一存では出来ないのです」
ため息をつくイレーネ。
「はい?」
「ルシアン様の方が私よりも爵位が上です。私の方から身を引くなど、恐れ多くて出来ません。そしてルシアン様は現当主様に私と婚姻することを報告するために遠方に出向いておりまして現在不在です。そのためにどうしても今はブリジット様のお言葉を承諾することができないのです。何卒ご理解いただきますよう、お願い申し上げます」
「……」
ブリジットがその言葉に呆れたのは言うまでもなかった――
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