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第9章 6 私の決意
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≪ アイリス・・アイリス・・・。 こっちだよ・・≫
暗闇の中・・・誰かの声が聞こえて来る。その声は・・ひょっとしてアスター?
すると遠くの方でポワッとほのかな白い光が見えた。間違いない・・・あの光の先にはきっとアスターがいるはず・・・!
「アスターッ!そこにいるのっ?!アスターッ!」
必死で白い光の下へ進みながらアスターの名前を呼び続ける。すると・・・・。
目の前に青年の姿になったアスターが現れた。
≪ やあ・・・アイリス。またここへ来たんだね? ≫
ぼんやり光り輝くアスターに縋りつくと私は必死になって訴えた。
「お願い・・アスター、私を助けて・・・。レイフが・・・レイフが私を逃がした罪で捕まって・・・今日の日没に・・処刑されてしまうのよ・・っ!貴方なら・・精霊の貴方なら何とか助けられるでしょう?!」
するとアスターは悲し気に微笑むと言った。
≪ だけどアイリス・・・彼は前世では君をオスカーに引き渡した・・悪い男だよ?そんな男を助けるつもり? ≫
「それは・・・前世の世界の話でしょう?今世は違うわ!だって・・・私は前世ではオスカーに酷い目に遭わされ、一族を滅ぼされてしまったけれども・・今世では・・私はオスカーを愛しているのよっ!アスター・・・貴方が私の人生をタイムリープさせてくれたのは・・オスカーとやり直しをさせてくれる為だったのでしょう?」
しかし、アスターはそれには答えてくれずに私の肩に手を置くと言った。
≪ アイリス・・・。そろそろ・・目覚めないと・・。≫
「え・・?目覚める・・・?」
その時・・遠くで大勢の人が私の名前を呼んでいるのが聞こえてきた。
「・・リス・・・ッ!アイリス・・ッ!!」
すぐそこで私の名前を大きな声で呼ぶ声に突然目が覚めた。見ると私はオスカーの腕に抱えられ、心配そうな顔で見つめられていた。
「あ・・・?オスカー様・・・?」
「よ・・・良かった・・・アイリス・・・ッ!」
そしてオスカーは力強く抱きしめてきた。
「オスカー様・・・?わ、私は一体・・・。」
抱きしめられながら辺りを見渡すと、そこにはレジスタンスの仲間たちが心配そうに私を見つめていた。
「あ・・皆も・・・。」
するとオスカーが抱きしめていた身体をそっと離すと言った。
「アイリス・・お前は・・レイフの処刑の話を聞いて・・気を失ってしまったんだ。」
オスカーの言葉に途端に私は残酷な現実に引き戻される。
「オ・・・オスカー様・・私気を失ってどの位経ちましたか?」
「大丈夫、心配するな・・・。まだほんの1時間程度しか・・経過していない。」
オスカーは私を安心させる為か・・笑みを浮かべて答えると誰に言うとも無しに尋ねた。
「誰か!今日の日没の時間を知っている者はいるかっ?!」
するとヘルマンが答えた。
「はい、本日の日没は18時20分です。」
「そうか・・・なら・・遅くとも18時までにはレイフを救い出さなければ・・。」
オスカーの言葉に私は尋ねた。
「オスカー様・・レイフを・・レイフを助けてくれるのですか?」
「ああ・・当然だ。何しろ・・レイフはお前の大切な幼馴染だろう?」
「オスカー様・・・。」
「それに、仮にもレイフは俺のクラスメイトでもある。何の罪もないクラスメイトを見殺しにするような真似をこの俺がするとでも思うか?」
そう言うと、オスカーはフッと笑った。
「オスカー様・・私も・・私も一緒に連れて行って下さいっ!」
「駄目だ!アイリス・・それだけは・・・お前は俺の父に狙われているんだぞ?」
オスカーは予想通り反対してきた。だけど・・・!
「だからです・・。陛下は私には手を出す事が出来ません。お願いです・・私を連れて行って下さいっ!」
私はオスカーの目をまっすぐ見つめると懇願した―。
暗闇の中・・・誰かの声が聞こえて来る。その声は・・ひょっとしてアスター?
すると遠くの方でポワッとほのかな白い光が見えた。間違いない・・・あの光の先にはきっとアスターがいるはず・・・!
「アスターッ!そこにいるのっ?!アスターッ!」
必死で白い光の下へ進みながらアスターの名前を呼び続ける。すると・・・・。
目の前に青年の姿になったアスターが現れた。
≪ やあ・・・アイリス。またここへ来たんだね? ≫
ぼんやり光り輝くアスターに縋りつくと私は必死になって訴えた。
「お願い・・アスター、私を助けて・・・。レイフが・・・レイフが私を逃がした罪で捕まって・・・今日の日没に・・処刑されてしまうのよ・・っ!貴方なら・・精霊の貴方なら何とか助けられるでしょう?!」
するとアスターは悲し気に微笑むと言った。
≪ だけどアイリス・・・彼は前世では君をオスカーに引き渡した・・悪い男だよ?そんな男を助けるつもり? ≫
「それは・・・前世の世界の話でしょう?今世は違うわ!だって・・・私は前世ではオスカーに酷い目に遭わされ、一族を滅ぼされてしまったけれども・・今世では・・私はオスカーを愛しているのよっ!アスター・・・貴方が私の人生をタイムリープさせてくれたのは・・オスカーとやり直しをさせてくれる為だったのでしょう?」
しかし、アスターはそれには答えてくれずに私の肩に手を置くと言った。
≪ アイリス・・・。そろそろ・・目覚めないと・・。≫
「え・・?目覚める・・・?」
その時・・遠くで大勢の人が私の名前を呼んでいるのが聞こえてきた。
「・・リス・・・ッ!アイリス・・ッ!!」
すぐそこで私の名前を大きな声で呼ぶ声に突然目が覚めた。見ると私はオスカーの腕に抱えられ、心配そうな顔で見つめられていた。
「あ・・・?オスカー様・・・?」
「よ・・・良かった・・・アイリス・・・ッ!」
そしてオスカーは力強く抱きしめてきた。
「オスカー様・・・?わ、私は一体・・・。」
抱きしめられながら辺りを見渡すと、そこにはレジスタンスの仲間たちが心配そうに私を見つめていた。
「あ・・皆も・・・。」
するとオスカーが抱きしめていた身体をそっと離すと言った。
「アイリス・・お前は・・レイフの処刑の話を聞いて・・気を失ってしまったんだ。」
オスカーの言葉に途端に私は残酷な現実に引き戻される。
「オ・・・オスカー様・・私気を失ってどの位経ちましたか?」
「大丈夫、心配するな・・・。まだほんの1時間程度しか・・経過していない。」
オスカーは私を安心させる為か・・笑みを浮かべて答えると誰に言うとも無しに尋ねた。
「誰か!今日の日没の時間を知っている者はいるかっ?!」
するとヘルマンが答えた。
「はい、本日の日没は18時20分です。」
「そうか・・・なら・・遅くとも18時までにはレイフを救い出さなければ・・。」
オスカーの言葉に私は尋ねた。
「オスカー様・・レイフを・・レイフを助けてくれるのですか?」
「ああ・・当然だ。何しろ・・レイフはお前の大切な幼馴染だろう?」
「オスカー様・・・。」
「それに、仮にもレイフは俺のクラスメイトでもある。何の罪もないクラスメイトを見殺しにするような真似をこの俺がするとでも思うか?」
そう言うと、オスカーはフッと笑った。
「オスカー様・・私も・・私も一緒に連れて行って下さいっ!」
「駄目だ!アイリス・・それだけは・・・お前は俺の父に狙われているんだぞ?」
オスカーは予想通り反対してきた。だけど・・・!
「だからです・・。陛下は私には手を出す事が出来ません。お願いです・・私を連れて行って下さいっ!」
私はオスカーの目をまっすぐ見つめると懇願した―。
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