タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中

文字の大きさ
上 下
134 / 152

第9章 6 私の決意

しおりを挟む
≪ アイリス・・アイリス・・・。 こっちだよ・・≫

暗闇の中・・・誰かの声が聞こえて来る。その声は・・ひょっとしてアスター?
すると遠くの方でポワッとほのかな白い光が見えた。間違いない・・・あの光の先にはきっとアスターがいるはず・・・!

「アスターッ!そこにいるのっ?!アスターッ!」

必死で白い光の下へ進みながらアスターの名前を呼び続ける。すると・・・・。
目の前に青年の姿になったアスターが現れた。

≪ やあ・・・アイリス。またここへ来たんだね? ≫

ぼんやり光り輝くアスターに縋りつくと私は必死になって訴えた。

「お願い・・アスター、私を助けて・・・。レイフが・・・レイフが私を逃がした罪で捕まって・・・今日の日没に・・処刑されてしまうのよ・・っ!貴方なら・・精霊の貴方なら何とか助けられるでしょう?!」

するとアスターは悲し気に微笑むと言った。

≪ だけどアイリス・・・彼は前世では君をオスカーに引き渡した・・悪い男だよ?そんな男を助けるつもり? ≫

「それは・・・前世の世界の話でしょう?今世は違うわ!だって・・・私は前世ではオスカーに酷い目に遭わされ、一族を滅ぼされてしまったけれども・・今世では・・私はオスカーを愛しているのよっ!アスター・・・貴方が私の人生をタイムリープさせてくれたのは・・オスカーとやり直しをさせてくれる為だったのでしょう?」

しかし、アスターはそれには答えてくれずに私の肩に手を置くと言った。

≪ アイリス・・・。そろそろ・・目覚めないと・・。≫

「え・・?目覚める・・・?」

その時・・遠くで大勢の人が私の名前を呼んでいるのが聞こえてきた。

「・・リス・・・ッ!アイリス・・ッ!!」

すぐそこで私の名前を大きな声で呼ぶ声に突然目が覚めた。見ると私はオスカーの腕に抱えられ、心配そうな顔で見つめられていた。

「あ・・・?オスカー様・・・?」

「よ・・・良かった・・・アイリス・・・ッ!」

そしてオスカーは力強く抱きしめてきた。

「オスカー様・・・?わ、私は一体・・・。」

抱きしめられながら辺りを見渡すと、そこにはレジスタンスの仲間たちが心配そうに私を見つめていた。

「あ・・皆も・・・。」

するとオスカーが抱きしめていた身体をそっと離すと言った。

「アイリス・・お前は・・レイフの処刑の話を聞いて・・気を失ってしまったんだ。」

オスカーの言葉に途端に私は残酷な現実に引き戻される。

「オ・・・オスカー様・・私気を失ってどの位経ちましたか?」

「大丈夫、心配するな・・・。まだほんの1時間程度しか・・経過していない。」


オスカーは私を安心させる為か・・笑みを浮かべて答えると誰に言うとも無しに尋ねた。

「誰か!今日の日没の時間を知っている者はいるかっ?!」

するとヘルマンが答えた。

「はい、本日の日没は18時20分です。」

「そうか・・・なら・・遅くとも18時までにはレイフを救い出さなければ・・。」

オスカーの言葉に私は尋ねた。

「オスカー様・・レイフを・・レイフを助けてくれるのですか?」

「ああ・・当然だ。何しろ・・レイフはお前の大切な幼馴染だろう?」

「オスカー様・・・。」

「それに、仮にもレイフは俺のクラスメイトでもある。何の罪もないクラスメイトを見殺しにするような真似をこの俺がするとでも思うか?」

そう言うと、オスカーはフッと笑った。

「オスカー様・・私も・・私も一緒に連れて行って下さいっ!」

「駄目だ!アイリス・・それだけは・・・お前は俺の父に狙われているんだぞ?」

オスカーは予想通り反対してきた。だけど・・・!

「だからです・・。陛下は私には手を出す事が出来ません。お願いです・・私を連れて行って下さいっ!」

私はオスカーの目をまっすぐ見つめると懇願した―。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」 ――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。 処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。 今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!? 己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?! 襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、 誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、  誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。 今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

元カレの今カノは聖女様

abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」 公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。 婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。 極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。 社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。 けれども当の本人は… 「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」 と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。 それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。 そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で… 更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。 「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ

こな
恋愛
 公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。  待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。  ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語 母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・? ※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています

悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな
恋愛
 公爵家令嬢のルーナ・フィオレンサは、輝く銀色の髪に、夜空に浮かぶ月のような金色を帯びた銀の瞳をした美しい少女だ。  当然のことながら王族との婚約が打診されるが、ルーナは首を縦に振らない。  どうやら彼女には、別に想い人がいるようで・・・

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...