120 / 152
第8章 8 オスカーの救出劇
しおりを挟む
たどりついた先は左右にズラリと並んだ石の牢屋だった。さび付いた鉄格子がはめられ。出入口には大きな錠前の鍵が掛けられている。壁に灯され松明で照らされた牢屋は・・・何とも言えず不気味なものだった。
「やはり・・ここは地下牢だったのですね・・・。」
ユリアナが辺りを見渡しながら私の後をついてきた。
「誰だ・・・?誰か・・そこにいる・・のか・・?」
突然奥の牢屋から声が聞こえてきた。間違いない、あの声は・・・!私は再び声の聞こえた方向へと走り・・・ついに牢屋に捕らえらえたオスカーを発見した。
オスカーは両足に鉄の足かせをはめられていた。足かせには長いチェーンがついており、壁に固定されている。オスカーは粗末な木のベッドうずくまるように下を向いて座っていた。
「オスカー様っ!」
鉄格子に縋りつき、私はオスカーの名を呼んだ。
「え・・?」
オスカーは顔を上げ・・私を見ると目を見開いた。
「ア・・・アイリス・・アイリスなのか?」
オスカーは信じられないと言わんばかりに目を見開いて私を見ている。
「はい、そうです。アイリスです・・・オスカー様を・・助けに参りました。」
だけど・・・どうやって助け出せばいいのだろう?扉には錠前がかかっているし、オスカー自身、壁に固定されてしまっている。
「オスカー様!私です、ユリアナですっ!」
そこへ後から追い着いてきたユリアナもオスカーに大きな声で呼びかけた。
「ユリアナ・・お前もここに来ていたのか?!は・・・・早く・・アイリスを連れて・・逃げろ・・っ!」
よく見るとオスカーは体中痣だらけで、身体の所々に血が滲んでいる。ひょっとすると・・暴力を振るわれていたのかもしれない。
「オスカー様、ここまで来て逃げる事は出来ませんっ!私達レジスタンスの目的を果たすためには・・オスカー様が必要なのです・・っ!」
「ユリアナ、でも・・鍵がかかっているのよ?どうやって開ければいいか・・!」
その瞬間、私は目を疑った。一体どこに隠し持っていたのかユリアナは金槌を取り出すと、錠前目掛けて振り下ろし始めた。
カーンッ!
カーンッ!
響き渡る金属同士がぶつかり合う音に飛び散る火花・・・でもこんなやり方では誰かに音を聞きつけられて・・!
オスカーもそのことに気付いたのか声を荒げてユリアナに訴えた。
「よせっ!やめろっ!そんなやり方で鍵は壊せない!それどころか騒ぎを聞きつけられて・・!」
その時・・大勢の足音が階段を駆け下りてくる。そ、そんなまさか・・ついに見つかってしまった・・?!
しかし・・・。
「オスカー様っ!」
駆けつけてきたのはシモン達だった。
「シモンッ!!」
オスカーがシモンの名を呼ぶ。
「お待ちください!今この者がカギを壊しますっ!」
現れたのは先ほど使用人として先に城に忍び込んでいた男性だった。彼は何事か口の中で唱え、右手を広げると青い炎の玉が出現した。そして彼はその炎を錠前に近付けると、見る見るうちに錠前が熱で溶けていく。
「よし!開いたぞっ!」
アルマンゾが真っ先に牢屋の中へ飛び込むと、持っていた剣でオスカーの足かせに取り付けられた鎖を断ち切る。
ジャラジャラジャラ・・・!
鎖はオスカーの足元でバラバラに砕け散って落ちていく。そんな彼らの様子を私は牢屋の外でじっと見つめていた。
「大丈夫ですか?オスカー様・・歩けますか?」
アルマンゾとシモンが声を掛けてオスカーの肩を支える。
「あ、ああ・・すまない・・。」
オスカーは2人に支えられながら牢屋から出てくると、私の前で足を止めた。
「アイリス・・・。」
するとアルマンゾとシモンがそっとオスカーから離れる。
「オスカー様・・。ご無事で何より・・・!」
次の瞬間・・・私はオスカーに強く抱きしめられていた―。
「やはり・・ここは地下牢だったのですね・・・。」
ユリアナが辺りを見渡しながら私の後をついてきた。
「誰だ・・・?誰か・・そこにいる・・のか・・?」
突然奥の牢屋から声が聞こえてきた。間違いない、あの声は・・・!私は再び声の聞こえた方向へと走り・・・ついに牢屋に捕らえらえたオスカーを発見した。
オスカーは両足に鉄の足かせをはめられていた。足かせには長いチェーンがついており、壁に固定されている。オスカーは粗末な木のベッドうずくまるように下を向いて座っていた。
「オスカー様っ!」
鉄格子に縋りつき、私はオスカーの名を呼んだ。
「え・・?」
オスカーは顔を上げ・・私を見ると目を見開いた。
「ア・・・アイリス・・アイリスなのか?」
オスカーは信じられないと言わんばかりに目を見開いて私を見ている。
「はい、そうです。アイリスです・・・オスカー様を・・助けに参りました。」
だけど・・・どうやって助け出せばいいのだろう?扉には錠前がかかっているし、オスカー自身、壁に固定されてしまっている。
「オスカー様!私です、ユリアナですっ!」
そこへ後から追い着いてきたユリアナもオスカーに大きな声で呼びかけた。
「ユリアナ・・お前もここに来ていたのか?!は・・・・早く・・アイリスを連れて・・逃げろ・・っ!」
よく見るとオスカーは体中痣だらけで、身体の所々に血が滲んでいる。ひょっとすると・・暴力を振るわれていたのかもしれない。
「オスカー様、ここまで来て逃げる事は出来ませんっ!私達レジスタンスの目的を果たすためには・・オスカー様が必要なのです・・っ!」
「ユリアナ、でも・・鍵がかかっているのよ?どうやって開ければいいか・・!」
その瞬間、私は目を疑った。一体どこに隠し持っていたのかユリアナは金槌を取り出すと、錠前目掛けて振り下ろし始めた。
カーンッ!
カーンッ!
響き渡る金属同士がぶつかり合う音に飛び散る火花・・・でもこんなやり方では誰かに音を聞きつけられて・・!
オスカーもそのことに気付いたのか声を荒げてユリアナに訴えた。
「よせっ!やめろっ!そんなやり方で鍵は壊せない!それどころか騒ぎを聞きつけられて・・!」
その時・・大勢の足音が階段を駆け下りてくる。そ、そんなまさか・・ついに見つかってしまった・・?!
しかし・・・。
「オスカー様っ!」
駆けつけてきたのはシモン達だった。
「シモンッ!!」
オスカーがシモンの名を呼ぶ。
「お待ちください!今この者がカギを壊しますっ!」
現れたのは先ほど使用人として先に城に忍び込んでいた男性だった。彼は何事か口の中で唱え、右手を広げると青い炎の玉が出現した。そして彼はその炎を錠前に近付けると、見る見るうちに錠前が熱で溶けていく。
「よし!開いたぞっ!」
アルマンゾが真っ先に牢屋の中へ飛び込むと、持っていた剣でオスカーの足かせに取り付けられた鎖を断ち切る。
ジャラジャラジャラ・・・!
鎖はオスカーの足元でバラバラに砕け散って落ちていく。そんな彼らの様子を私は牢屋の外でじっと見つめていた。
「大丈夫ですか?オスカー様・・歩けますか?」
アルマンゾとシモンが声を掛けてオスカーの肩を支える。
「あ、ああ・・すまない・・。」
オスカーは2人に支えられながら牢屋から出てくると、私の前で足を止めた。
「アイリス・・・。」
するとアルマンゾとシモンがそっとオスカーから離れる。
「オスカー様・・。ご無事で何より・・・!」
次の瞬間・・・私はオスカーに強く抱きしめられていた―。
20
お気に入りに追加
587
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜
みおな
恋愛
公爵家令嬢のルーナ・フィオレンサは、輝く銀色の髪に、夜空に浮かぶ月のような金色を帯びた銀の瞳をした美しい少女だ。
当然のことながら王族との婚約が打診されるが、ルーナは首を縦に振らない。
どうやら彼女には、別に想い人がいるようで・・・

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません
ゆうき
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。
そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。
婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。
どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。
実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。
それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。
これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。
☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

ある日突然、醜いと有名な次期公爵様と結婚させられることになりました
八代奏多
恋愛
クライシス伯爵令嬢のアレシアはアルバラン公爵令息のクラウスに嫁ぐことが決まった。
両家の友好のための婚姻と言えば聞こえはいいが、実際は義母や義妹そして実の父から追い出されただけだった。
おまけに、クラウスは性格までもが醜いと噂されている。
でもいいんです。義母や義妹たちからいじめられる地獄のような日々から解放されるのだから!
そう思っていたけれど、噂は事実ではなくて……
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり

【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる