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第8章 3 潜入
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ガランガラン・・・
樽の蓋が開けられて派手な音を立てて荷台に転がった。
「フン・・・本当にワインが入っていたとはな・・。」
まるで鼻であ酒笑うかのように男の声が聞こえる。
「ええ・・・ですからそう申し上げましたが・・。」
ユリアナの何所か安堵したような声が聞こえてきた。
けれど・・・こ、怖かった・・・・。見張りの男が蓋を開けた樽は私が隠れていた隣の樽だったのだ。運が悪ければこの樽の蓋を開けられてしまっていたかもしれなかった。
「よし、ならここを通っていいぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
シモンの声が聞こえて来る。やがてガタンと荷台が傾くと、再びガラガラと振動を立て荷台が動き始めた―。
「止まれ。」
先程とは違う男の声が聞こえて、荷馬車が再びガタンと音を立てて止まった。
「私どもは宮殿に依頼されたお届け物をお持ちした『リーベルタース』の農夫と
町民でございます。」
シモンの声がする。
「何?宮殿に届け物を持ってきただと?」
「はい、こちらが通行証になります。」
「よし、見せてみろ。本物かどうか確認する。」
「はい、どうぞご確認下さい。」
暫くの沈黙の後、男の声が聞こえてきた。
「・・どうやら本物のようだな・・・よし、通れ。」
「ありがとうございます。」
そして再びガタンと音を立てて、荷馬車はゆっくりと動き出した。私は樽の中でずっと気配を伺っていたが、彼等レジスタンスの度胸の凄さに感心してしまった。こんなにどうどうと王宮の兵士たちの前で振る舞えるなんて、私にはとても出来そうに無い。それに通行証・・・そんなものがあったなんて知らなかった。しかもその通行証まで事前に用意してあったなんて・・・。
彼らと一緒に行動していれば、オスカーを助け出せそうな気がしてきた。
私は指輪の付いた手をギュッと握りしめ、オスカーの無事を祈るのだった―。
「アイリス様・・・。」
ガラガラと響き渡る音に混ざり、突然シモンが私に語り掛けてきた。
「シモン?どうかしたのですか?」
「はい、アイリス様。まもなく宮殿の中へ入ることが出来ます。しかし我らが入り込めるのはあくまで城の勝手口までです。そこは兵士もおらず、使用人たちのみが働いております。」
「そうなの・・?それではこの先へはどうやって入り込めばいいの?」
樽の中から私は尋ねるとアドニスの声が聞こえてきた。
「ご安心下さい。そこで働く使用人たちは全員我らの仲間なのです。事前に潜入させておきました。その者達は城の内部を知り尽くしております。もうすぐ到着しますので、後少しご辛抱下さい。」
「ありがとう・・。」
私は礼を述べるとユリアナが言った。
「アイリス様、荷台から降りましたらお着換えをして頂く事になります。ご協力お願い致しますね。」
「ええ・・・分かりました。」
するとシモンが言う。
「アイリス様。勝手口の到着いたしました。今出して差し上げますね。」
やがて多い布を外す音と、樽の蓋を外す音が聞こえてきた。
ガコン
鈍い音と共に、樽の蓋が外されるとユリアナが上から覗き込んできた。
「お待たせいたしました、アイリス様。さあ、どうぞ樽の中から出てきて下さい。」
言われた私はユリアナの助けを借りて樽の外から出て来ると、辺りを見渡した。
そこは食料倉庫のような場所だった。壁一面は戸棚ばかりで様々な野菜や麻袋が置かれている。そして見たことも無い10名ほどの男女がそこに立っていた―。
樽の蓋が開けられて派手な音を立てて荷台に転がった。
「フン・・・本当にワインが入っていたとはな・・。」
まるで鼻であ酒笑うかのように男の声が聞こえる。
「ええ・・・ですからそう申し上げましたが・・。」
ユリアナの何所か安堵したような声が聞こえてきた。
けれど・・・こ、怖かった・・・・。見張りの男が蓋を開けた樽は私が隠れていた隣の樽だったのだ。運が悪ければこの樽の蓋を開けられてしまっていたかもしれなかった。
「よし、ならここを通っていいぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
シモンの声が聞こえて来る。やがてガタンと荷台が傾くと、再びガラガラと振動を立て荷台が動き始めた―。
「止まれ。」
先程とは違う男の声が聞こえて、荷馬車が再びガタンと音を立てて止まった。
「私どもは宮殿に依頼されたお届け物をお持ちした『リーベルタース』の農夫と
町民でございます。」
シモンの声がする。
「何?宮殿に届け物を持ってきただと?」
「はい、こちらが通行証になります。」
「よし、見せてみろ。本物かどうか確認する。」
「はい、どうぞご確認下さい。」
暫くの沈黙の後、男の声が聞こえてきた。
「・・どうやら本物のようだな・・・よし、通れ。」
「ありがとうございます。」
そして再びガタンと音を立てて、荷馬車はゆっくりと動き出した。私は樽の中でずっと気配を伺っていたが、彼等レジスタンスの度胸の凄さに感心してしまった。こんなにどうどうと王宮の兵士たちの前で振る舞えるなんて、私にはとても出来そうに無い。それに通行証・・・そんなものがあったなんて知らなかった。しかもその通行証まで事前に用意してあったなんて・・・。
彼らと一緒に行動していれば、オスカーを助け出せそうな気がしてきた。
私は指輪の付いた手をギュッと握りしめ、オスカーの無事を祈るのだった―。
「アイリス様・・・。」
ガラガラと響き渡る音に混ざり、突然シモンが私に語り掛けてきた。
「シモン?どうかしたのですか?」
「はい、アイリス様。まもなく宮殿の中へ入ることが出来ます。しかし我らが入り込めるのはあくまで城の勝手口までです。そこは兵士もおらず、使用人たちのみが働いております。」
「そうなの・・?それではこの先へはどうやって入り込めばいいの?」
樽の中から私は尋ねるとアドニスの声が聞こえてきた。
「ご安心下さい。そこで働く使用人たちは全員我らの仲間なのです。事前に潜入させておきました。その者達は城の内部を知り尽くしております。もうすぐ到着しますので、後少しご辛抱下さい。」
「ありがとう・・。」
私は礼を述べるとユリアナが言った。
「アイリス様、荷台から降りましたらお着換えをして頂く事になります。ご協力お願い致しますね。」
「ええ・・・分かりました。」
するとシモンが言う。
「アイリス様。勝手口の到着いたしました。今出して差し上げますね。」
やがて多い布を外す音と、樽の蓋を外す音が聞こえてきた。
ガコン
鈍い音と共に、樽の蓋が外されるとユリアナが上から覗き込んできた。
「お待たせいたしました、アイリス様。さあ、どうぞ樽の中から出てきて下さい。」
言われた私はユリアナの助けを借りて樽の外から出て来ると、辺りを見渡した。
そこは食料倉庫のような場所だった。壁一面は戸棚ばかりで様々な野菜や麻袋が置かれている。そして見たことも無い10名ほどの男女がそこに立っていた―。
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