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第7章 7 目覚め
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「アイリス様・・目を覚まして下さい・・アイリス様・・!」
誰かかが私の事を必死で呼んでいる・・・一体誰が・・?重たい瞼を開けると、そこには見知らぬ女性が私を覗き込んでいた。
「えっ?!」
驚いて飛び起きると、女性は丁寧に頭を下げてきた。
「ああ・・・良かった・・アイリス様・・。目を開けて下さったのですね・・・」
黒髪の長い髪の若い女性が私を見ると、ほっと溜息をついた。
「あの・・・どうかしたのですか?それに貴女は一体・・・?」
「はい、私は神官見習いのユリアナと申します。シモン様に呼ばれてこちらへ参ったのです。」
「シモンに・・ですか?」
「はい、アイリス様のお世話をするには女性が必要だろうと言う事でこの地下隠れ家にやって参りました。でも・・・目が覚められて本当に良かったです・・・。」
何故かユリアナは目に涙を浮かべて私を見ている。
「ユリアナさん・・・何故涙を・・・?」
「どうぞ、私の事はユリアナとお呼び下さい。アイリス様・・・ご自分ではお分かりにならないでしょうが、アイリス様は3日間も目を覚まさなかったのですよ?」
「え?!3日間・・もですかっ?!」
私はその話を聞いて驚いてしまった。
「はい。あの、今シモン様たちに声を掛けてまいりますのでアイリス様はそのままお待ちください。」
木の丸椅子に座っていたユリアナは立ち上がると、急ぎ足で部屋を出て行った。
彼女が出て行ったあと、私は再びベッドに横たわるとぼんやり天井を眺めた。
信じられない・・・まさか3日間も眠っていたなんて・・・。それにまさか自分の夢の中にフリードリッヒ3世が現れるとは思いもしなかった。そしてアスタ―・・。
「そうだわ・・・アスター。アスターは・・どうなったのかしら?!」
不意にアスターの身が心配になりベッドから起き上がった直後・・・。
コンコン
部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「アイリス様。中に入ってもよろしいでしょうか?」
それはシモンの声だった。
「ええ、どうぞ。」
応えるとシモンがドアをカチャリと開けて、頭を下げてきた。
「失礼致します、アイリス様。」
「シモン・・・。」
シモンは部屋に中に入ると、私のいるベッドにやって来た。
「シモン、私つい、さっきユリアナと言う女性に教えて貰ったの。私が3日間眠りに就いていたって・・・。一体私に何が有ったの?オスカー様は・・。」
するとシモンが言った。
「アイリス様。色々と質問したいというお気持ちは分かりますが・・まずはお身体の様子を・・拝見させて頂けませんか?何せ・・アイリス様は3日間まるで魂が抜けでてしまったかのような状態におかれていたので。」
「・・そうでしたね。」
「はい。まずは・・・脈をとらせてください。」
シモンに言われたので私は右手を差し出した。
「失礼致します。」
シモンは私の右手を取ると脈を測った。
「脈拍は大丈夫の様ですね・・・。」
その後、色々と細かい問診が行われ、シモンの診察は終わった。
「良かったです、アイリス様。特にお体に大きな変化はございませんでした。私も・・他の者達もずっと心配していました。もしアイリス様に何かあれば、オスカー様に顔向けが出来ませんから。」
「そうだわ・・・。オスカー様は?オスカー様は助け出せたのですか?!」
「それがまだ・・・。」
途端にシモンの顔が曇る。その様子から・・・話を聞くまでも無かった―。
誰かかが私の事を必死で呼んでいる・・・一体誰が・・?重たい瞼を開けると、そこには見知らぬ女性が私を覗き込んでいた。
「えっ?!」
驚いて飛び起きると、女性は丁寧に頭を下げてきた。
「ああ・・・良かった・・アイリス様・・。目を開けて下さったのですね・・・」
黒髪の長い髪の若い女性が私を見ると、ほっと溜息をついた。
「あの・・・どうかしたのですか?それに貴女は一体・・・?」
「はい、私は神官見習いのユリアナと申します。シモン様に呼ばれてこちらへ参ったのです。」
「シモンに・・ですか?」
「はい、アイリス様のお世話をするには女性が必要だろうと言う事でこの地下隠れ家にやって参りました。でも・・・目が覚められて本当に良かったです・・・。」
何故かユリアナは目に涙を浮かべて私を見ている。
「ユリアナさん・・・何故涙を・・・?」
「どうぞ、私の事はユリアナとお呼び下さい。アイリス様・・・ご自分ではお分かりにならないでしょうが、アイリス様は3日間も目を覚まさなかったのですよ?」
「え?!3日間・・もですかっ?!」
私はその話を聞いて驚いてしまった。
「はい。あの、今シモン様たちに声を掛けてまいりますのでアイリス様はそのままお待ちください。」
木の丸椅子に座っていたユリアナは立ち上がると、急ぎ足で部屋を出て行った。
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信じられない・・・まさか3日間も眠っていたなんて・・・。それにまさか自分の夢の中にフリードリッヒ3世が現れるとは思いもしなかった。そしてアスタ―・・。
「そうだわ・・・アスター。アスターは・・どうなったのかしら?!」
不意にアスターの身が心配になりベッドから起き上がった直後・・・。
コンコン
部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「アイリス様。中に入ってもよろしいでしょうか?」
それはシモンの声だった。
「ええ、どうぞ。」
応えるとシモンがドアをカチャリと開けて、頭を下げてきた。
「失礼致します、アイリス様。」
「シモン・・・。」
シモンは部屋に中に入ると、私のいるベッドにやって来た。
「シモン、私つい、さっきユリアナと言う女性に教えて貰ったの。私が3日間眠りに就いていたって・・・。一体私に何が有ったの?オスカー様は・・。」
するとシモンが言った。
「アイリス様。色々と質問したいというお気持ちは分かりますが・・まずはお身体の様子を・・拝見させて頂けませんか?何せ・・アイリス様は3日間まるで魂が抜けでてしまったかのような状態におかれていたので。」
「・・そうでしたね。」
「はい。まずは・・・脈をとらせてください。」
シモンに言われたので私は右手を差し出した。
「失礼致します。」
シモンは私の右手を取ると脈を測った。
「脈拍は大丈夫の様ですね・・・。」
その後、色々と細かい問診が行われ、シモンの診察は終わった。
「良かったです、アイリス様。特にお体に大きな変化はございませんでした。私も・・他の者達もずっと心配していました。もしアイリス様に何かあれば、オスカー様に顔向けが出来ませんから。」
「そうだわ・・・。オスカー様は?オスカー様は助け出せたのですか?!」
「それがまだ・・・。」
途端にシモンの顔が曇る。その様子から・・・話を聞くまでも無かった―。
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