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第6章 6 傷だらけのオスカー
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「フワアアア・・・。」
翌朝―
遅くまで昨夜図書館で借りてきた本を読んでいた私は寝不足の状態で目を覚ました。
結局昨夜の本は全く役には立たなかった。『邪神』についての記述はあったものの、それらは全て『邪神』を祭った他国の記述についての本だったのだ。
「まあ、そんなに簡単には見つからないわよね・・。」
ベッドサイドに置いた本を見つめながらため息をついた。
「今日・・・・アカデミーから帰ったらすぐに図書館へ行きましょう。」
独り言のように呟くと、私はベッドから降りて朝の支度を始めた―。
朝食の席で―
「アイリス、昨夜図書館へ行ったのだろう?」
父が突然話しかけてきた。
「え?あ、は・はい。」
テーブルパンにジャムを塗っていた私は手を止めると父を見た。
「まあ・・・アイリス。貴女・・・そんな夜遅くにあんな場所へ行ったの?あそこはかなり離れの場所にあるのよ?いくら屋敷内でも・・。」
「ええ、そうなんですけど・・・でも警備兵の方が見回りをしていて、その方がついて来て下さったんです。」
私の言葉に父は手を止めた。
「警備兵・・・?」
「まあ・・警備兵ですか?」
「はい、そうです。」
「妙だな・・・。まあ、別に構わないか・・。」
父は何か考え込むような仕草をしていたが、私に言った。
「とにかく、もう夜には図書館へ行かないようにな?」
「はい、分かりました。お父様。」
再び私は朝食を再開した―。
そして今朝も私はエントランスでオスカーの事を待っていた。だが・・今朝も姿を見せない。
「アイリス様。どうされますか・・・?」
リリーが心配そうに声を掛けてきた。
「仕方ないから・・今日もうちの馬車でアカデミーへ向かうわ。用意して貰える?」
「はい、かしこまりました。」
リリーは小走りで御者の元へ向かい、私はエントランスの扉を開けて外へと出た。
正門から真っすぐ伸びている広いアプローチを前に馬車が来るのを待っていると、前方から誰かがこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
「え・・?」
私は目を凝らしてその人物を眺めたが、遠すぎてその姿がはっきりしない。ただ、軍服のような服を着用しているのを見ると男性であると言う事が分かる。その人物はフラフラとおぼつかない足取りで真っすぐにイリヤ家を目指しているが・・距離が縮まり、徐々にその姿が明らかになった。
その時・・・
ガラガラと音を立てて、イリヤ家の馬車がこちらへ向かって走って来ると、私の前で停止した。
「お待たせいたしました。アイリス様。ではアカデミーへ参りましょう。」
青年の御者が私を見ると御者台から降りてきて挨拶をする。
「ええ・・・でも・・。」
その時、背後でリリーの声がした。
「まあ!オスカー様っ!」
え・・?
私の眼前には馬車が止まっているのでアプローチが見えない。なので馬車の前に回り込み・・息を飲んだ。何とこちらへ向かって歩いてくるのはオスカーだったのだ。
「オスカー様っ?!」
私は慌ててオスカーの元へ駆けていき・・・足を止めて驚いた。オスカーの着ている服はあちこち破け、また一部は焼け焦げており、体中酷い傷を負っている。肩には薄っすら血まで滲んでいるのだ。
「ア・・・アイリス・・。」
オスカーは顔を上げて私の名を呼んだ。私は急いでオスカーの元へ駆けより、彼を見上げた。よく見ると顔には酷い痣が出来ており、口元には血が滲んでいる。
「オスカー様、一体何があったのですか?!」
しかしオスカーは私を見つめ・・いきなり抱きしめてきた。
「良かった・・・アイリス・・お前が・・・無事で・・あ、会いたかった・・・。」
「オスカー様・・・・。」
そしてオスカーはさらに強く私の事を抱きしめた―。
翌朝―
遅くまで昨夜図書館で借りてきた本を読んでいた私は寝不足の状態で目を覚ました。
結局昨夜の本は全く役には立たなかった。『邪神』についての記述はあったものの、それらは全て『邪神』を祭った他国の記述についての本だったのだ。
「まあ、そんなに簡単には見つからないわよね・・。」
ベッドサイドに置いた本を見つめながらため息をついた。
「今日・・・・アカデミーから帰ったらすぐに図書館へ行きましょう。」
独り言のように呟くと、私はベッドから降りて朝の支度を始めた―。
朝食の席で―
「アイリス、昨夜図書館へ行ったのだろう?」
父が突然話しかけてきた。
「え?あ、は・はい。」
テーブルパンにジャムを塗っていた私は手を止めると父を見た。
「まあ・・・アイリス。貴女・・・そんな夜遅くにあんな場所へ行ったの?あそこはかなり離れの場所にあるのよ?いくら屋敷内でも・・。」
「ええ、そうなんですけど・・・でも警備兵の方が見回りをしていて、その方がついて来て下さったんです。」
私の言葉に父は手を止めた。
「警備兵・・・?」
「まあ・・警備兵ですか?」
「はい、そうです。」
「妙だな・・・。まあ、別に構わないか・・。」
父は何か考え込むような仕草をしていたが、私に言った。
「とにかく、もう夜には図書館へ行かないようにな?」
「はい、分かりました。お父様。」
再び私は朝食を再開した―。
そして今朝も私はエントランスでオスカーの事を待っていた。だが・・今朝も姿を見せない。
「アイリス様。どうされますか・・・?」
リリーが心配そうに声を掛けてきた。
「仕方ないから・・今日もうちの馬車でアカデミーへ向かうわ。用意して貰える?」
「はい、かしこまりました。」
リリーは小走りで御者の元へ向かい、私はエントランスの扉を開けて外へと出た。
正門から真っすぐ伸びている広いアプローチを前に馬車が来るのを待っていると、前方から誰かがこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
「え・・?」
私は目を凝らしてその人物を眺めたが、遠すぎてその姿がはっきりしない。ただ、軍服のような服を着用しているのを見ると男性であると言う事が分かる。その人物はフラフラとおぼつかない足取りで真っすぐにイリヤ家を目指しているが・・距離が縮まり、徐々にその姿が明らかになった。
その時・・・
ガラガラと音を立てて、イリヤ家の馬車がこちらへ向かって走って来ると、私の前で停止した。
「お待たせいたしました。アイリス様。ではアカデミーへ参りましょう。」
青年の御者が私を見ると御者台から降りてきて挨拶をする。
「ええ・・・でも・・。」
その時、背後でリリーの声がした。
「まあ!オスカー様っ!」
え・・?
私の眼前には馬車が止まっているのでアプローチが見えない。なので馬車の前に回り込み・・息を飲んだ。何とこちらへ向かって歩いてくるのはオスカーだったのだ。
「オスカー様っ?!」
私は慌ててオスカーの元へ駆けていき・・・足を止めて驚いた。オスカーの着ている服はあちこち破け、また一部は焼け焦げており、体中酷い傷を負っている。肩には薄っすら血まで滲んでいるのだ。
「ア・・・アイリス・・。」
オスカーは顔を上げて私の名を呼んだ。私は急いでオスカーの元へ駆けより、彼を見上げた。よく見ると顔には酷い痣が出来ており、口元には血が滲んでいる。
「オスカー様、一体何があったのですか?!」
しかしオスカーは私を見つめ・・いきなり抱きしめてきた。
「良かった・・・アイリス・・お前が・・・無事で・・あ、会いたかった・・・。」
「オスカー様・・・・。」
そしてオスカーはさらに強く私の事を抱きしめた―。
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