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第5章 11 レイフとタバサ
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昼休みが終わり、私とオスカーは教室へと戻ってきた。入口で別れ際オスカーに肩を叩かれた。
「アイリス、分かっているな?帰りは俺と同じ馬車で帰るのだからな?」
「はい、分かりました。」
私の返事を聞くとオスカーは満足気に自分の席へと戻って行く。その時になって私は肝心な事を尋ねるのを忘れていた。今のオスカーはどこに住んでいるのだろうかと・・。あのような騒ぎが王宮で起こったなら、おそらくオスカーは戻ることは出来ないだろう。
「後でオスカー王子に尋ねてましょう。」
私はポツリと呟いた。
席に座ると、すぐにミレディーが声を掛けてきた。
「アイリス様、レイフ様を見かけませんでしたか?」
その言葉に思わずドキリとする。
「え?ええ。レイフとは中庭で少し話をして・・・オスカー様が来たからそこで話を終えて、彼を残して私とオスカー様でランチへ行きました。だからそれきりレイフとは会っていませんわ。」
「そうなんですか・・。実はエルンスト様とエドガー様とお昼をご一緒したのですが・・結局レイフ様は待ち合わせのカフェに来られなかったので・・。」
「そ、そうなんですか?」
返事をしながら私は内心焦っていた。まさかレイフは中庭で倒れたままなのではないかと・・・。それに・・・私はチラリとオスカーを見る。隣に座るタバサも姿を見せていない。何となく嫌な予感がする。70年前の記憶が蘇ってくる。70年前の世界ではタバサは私からレイフを・・・そしてエルンストにエドガーまでを自分の元へ引き入れ、彼らは私を敵視するようになったのだ。
「どうしたのですか?アイリス様・・・何だかお顔の色が優れないようですけど・・?」
ミレディーが心配そうに尋ねてくる。
「え、ええ・・・。実は・・。」
言いかけて、時計を見ると午後の授業が始まるまではあと10分ほど余裕がある。中庭までは5分もかからず行けるはずだ。
「ミレディー様。レイフが心配なので年の為に中庭に行ってみます。」
「え?アイリス様・・・・?大丈夫ですか?」
ミレディーが心配そうに尋ねてきた。
「はい、中庭へ行って誰もいなければすぐに戻ってきますので。」
言いながら私はオスカーの様子を伺った。彼は窓の外を眺めている。今のうちに教室を抜けだせば、ばれることは無いだろう。そっと立ち上がり、小走りで教室を出た。
廊下を出て、中庭へと続く小道を走り抜けると先程レイフに連れられてきた中庭へとたどり着いた。レイフは・・居るのだろうか・・?
中庭には太い気が何本も生えていて、全体を見渡すのが困難だ。私は芝生を踏みしめて歩きながら辺りを見渡し・・・足を止めた。木立の間からレイフの頭が見えたからである。
「レ・・」
近づいて、声を掛けようとして私は足を止めた。レイフはベンチに座っていたのだが、隣にはタバサが座っていたのだ。2人はぴったりと身体を寄せ合って座っている。
「え・・・?」
一体これはどういうことだろう。するとタバサはレイフの耳元に口を寄せる。少しの間、2人はその姿勢を取っていた。それはまるでタバサがレイフの耳元で何かを囁いているようにも見て取れた。そして次にレイフはタバサの右手を救い上げ、口づけをした。
「!」
それを見た瞬間、私の脳裏に70年前の記憶が蘇る。ああ・・そうだ。レイフのあの・・タバサに忠誠を誓う姿を私は見ていたことを今、思い出した。
「レ・・・レイフ・・。」
彼はまた・・私の敵になるのだろうか・・・?よろめきながら私は中庭を出て、教室を目指して歩く途中、酷いめまいが襲ってきて立っていられなくなった。
「す、少し休めば・・・。」
廊下に座り壁に背をもたれさせたところで、私は意識を失った―。
「アイリス、分かっているな?帰りは俺と同じ馬車で帰るのだからな?」
「はい、分かりました。」
私の返事を聞くとオスカーは満足気に自分の席へと戻って行く。その時になって私は肝心な事を尋ねるのを忘れていた。今のオスカーはどこに住んでいるのだろうかと・・。あのような騒ぎが王宮で起こったなら、おそらくオスカーは戻ることは出来ないだろう。
「後でオスカー王子に尋ねてましょう。」
私はポツリと呟いた。
席に座ると、すぐにミレディーが声を掛けてきた。
「アイリス様、レイフ様を見かけませんでしたか?」
その言葉に思わずドキリとする。
「え?ええ。レイフとは中庭で少し話をして・・・オスカー様が来たからそこで話を終えて、彼を残して私とオスカー様でランチへ行きました。だからそれきりレイフとは会っていませんわ。」
「そうなんですか・・。実はエルンスト様とエドガー様とお昼をご一緒したのですが・・結局レイフ様は待ち合わせのカフェに来られなかったので・・。」
「そ、そうなんですか?」
返事をしながら私は内心焦っていた。まさかレイフは中庭で倒れたままなのではないかと・・・。それに・・・私はチラリとオスカーを見る。隣に座るタバサも姿を見せていない。何となく嫌な予感がする。70年前の記憶が蘇ってくる。70年前の世界ではタバサは私からレイフを・・・そしてエルンストにエドガーまでを自分の元へ引き入れ、彼らは私を敵視するようになったのだ。
「どうしたのですか?アイリス様・・・何だかお顔の色が優れないようですけど・・?」
ミレディーが心配そうに尋ねてくる。
「え、ええ・・・。実は・・。」
言いかけて、時計を見ると午後の授業が始まるまではあと10分ほど余裕がある。中庭までは5分もかからず行けるはずだ。
「ミレディー様。レイフが心配なので年の為に中庭に行ってみます。」
「え?アイリス様・・・・?大丈夫ですか?」
ミレディーが心配そうに尋ねてきた。
「はい、中庭へ行って誰もいなければすぐに戻ってきますので。」
言いながら私はオスカーの様子を伺った。彼は窓の外を眺めている。今のうちに教室を抜けだせば、ばれることは無いだろう。そっと立ち上がり、小走りで教室を出た。
廊下を出て、中庭へと続く小道を走り抜けると先程レイフに連れられてきた中庭へとたどり着いた。レイフは・・居るのだろうか・・?
中庭には太い気が何本も生えていて、全体を見渡すのが困難だ。私は芝生を踏みしめて歩きながら辺りを見渡し・・・足を止めた。木立の間からレイフの頭が見えたからである。
「レ・・」
近づいて、声を掛けようとして私は足を止めた。レイフはベンチに座っていたのだが、隣にはタバサが座っていたのだ。2人はぴったりと身体を寄せ合って座っている。
「え・・・?」
一体これはどういうことだろう。するとタバサはレイフの耳元に口を寄せる。少しの間、2人はその姿勢を取っていた。それはまるでタバサがレイフの耳元で何かを囁いているようにも見て取れた。そして次にレイフはタバサの右手を救い上げ、口づけをした。
「!」
それを見た瞬間、私の脳裏に70年前の記憶が蘇る。ああ・・そうだ。レイフのあの・・タバサに忠誠を誓う姿を私は見ていたことを今、思い出した。
「レ・・・レイフ・・。」
彼はまた・・私の敵になるのだろうか・・・?よろめきながら私は中庭を出て、教室を目指して歩く途中、酷いめまいが襲ってきて立っていられなくなった。
「す、少し休めば・・・。」
廊下に座り壁に背をもたれさせたところで、私は意識を失った―。
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