60 / 152
第4章 13 1日の終わりに
しおりを挟む
父と母、そして私の家族3人の食後の団欒後、母は言った。
「アイリス、今日は疲れたでしょう。今夜はゆっくりお部屋でおやすみなさい。」
「ああ、そうだな、アイリス。それに明日はアカデミーを休んだ方かいいだろう。」
「いいえ・・・行きます。」
しかし、私は父の言葉に頭を振った。
「アイリス?何故だ?昨日お前は大変な目に遭ったのだから、明日は1日アカデミーを休んだ方が良い。」
父は心配気な顔で私を見る。
「いいえ・・・行きます。オスカー様が心配なので・・・」
私はギュッと両手をテーブルの下で握りしめると言った。
「アイリス、なぜオスカー様を気にするのだ?もともとオスカー様はお前の仮の婚約者であるのだから、断ることだって可能なのだよ?いや・・・ウィンザード家の話を知った以上・・・私はむしろ破談にするべきだと思っているよ。」
「え・・?破談・・・?」
オスカーとの婚約を破談・・・。
「どうしたのです?アイリス・・・そんな浮かない顔をして・・もともと貴女だってオスカー様を怖がっていたではありませんか?それにあなたは陛下に狙われていると話を聞いた以上はウィンザード家から完全に縁を切るべきです。」
母の話はもっともだと思う。だけど・・・私は前世では見せてくれなかったオスカーの様々な顔を見てきた。そしてオスカーの私に対する気持ちを知ってしまった以上、無下にする事は出来なかった。
「わ、私は・・・もう少しこのままオスカー様の様子を・・伺いたいと思います。それに・・・お気の毒ではありませんか。エルトリアの呪いに侵されているだけでなく、王位を継いだ暁には・・悪魔に身体を憑依されてしまうなんて・・・何か助ける方法があるなら・・私は助けてあげたいのです・・。」
そうだ・・・。ひょっとすると私が70年前にタイムリープしたのは・・何か本当は意味があったのかもしれない。単に自分の人生をやり直すだけではなく・・もっと別の・・・。
俯いていると、父がため息をついて声を掛けてきた。
「・・・顔を上げなさい、アイリス。」
言われて顔を上げると父はじっと私を見つめながら言った。
「分かった・・・アイリス。お前の好きにするといい。オスカー様はお前を王宮から救い出してくれたお方だからな。」
「お父様・・・・。」
「アカデミーにも通えばいい。せっかく入学したばかりだと言うのに、あっさりやめるわけにもいかないだろう?幸い、アカデミーにはレイフがいるからな。彼に護衛をお願いすることにしよう。」
「ありがとうございます。お父様。」
父の提案が嬉しくなり、私は笑みを浮かべた。
「いや。いいんだよ。可愛い娘の願いは叶えてやりたいからね。それではレイフにはこちらから連絡を入れておこう。明日は2人で一緒にアカデミーへ行くとよい。」
「はい、そうさせて頂きます。」
恐らくオスカーは当分の間アカデミーへ来ることはないだろう。
「それではお父様、お母様。これで失礼致します。」
頭を下げると、早めに退席させてもらった。
ダイニングルームを出ると、大きな窓からは月明かりが差しこみ、通路を青白く照らし出している。
ホウとため息をつくと、私は自室を目指して歩き始めた。
・・それにしても何て長い1日だったのだろう。オスカーは・・今どうしているのだろう?おそらくあの状況では王宮には戻っていないだろう。それではあの集落にいるのだろうか・・?
そして私は願った。
どうか明日・・・アカデミーでオスカーに会えますように―と。
「アイリス、今日は疲れたでしょう。今夜はゆっくりお部屋でおやすみなさい。」
「ああ、そうだな、アイリス。それに明日はアカデミーを休んだ方かいいだろう。」
「いいえ・・・行きます。」
しかし、私は父の言葉に頭を振った。
「アイリス?何故だ?昨日お前は大変な目に遭ったのだから、明日は1日アカデミーを休んだ方が良い。」
父は心配気な顔で私を見る。
「いいえ・・・行きます。オスカー様が心配なので・・・」
私はギュッと両手をテーブルの下で握りしめると言った。
「アイリス、なぜオスカー様を気にするのだ?もともとオスカー様はお前の仮の婚約者であるのだから、断ることだって可能なのだよ?いや・・・ウィンザード家の話を知った以上・・・私はむしろ破談にするべきだと思っているよ。」
「え・・?破談・・・?」
オスカーとの婚約を破談・・・。
「どうしたのです?アイリス・・・そんな浮かない顔をして・・もともと貴女だってオスカー様を怖がっていたではありませんか?それにあなたは陛下に狙われていると話を聞いた以上はウィンザード家から完全に縁を切るべきです。」
母の話はもっともだと思う。だけど・・・私は前世では見せてくれなかったオスカーの様々な顔を見てきた。そしてオスカーの私に対する気持ちを知ってしまった以上、無下にする事は出来なかった。
「わ、私は・・・もう少しこのままオスカー様の様子を・・伺いたいと思います。それに・・・お気の毒ではありませんか。エルトリアの呪いに侵されているだけでなく、王位を継いだ暁には・・悪魔に身体を憑依されてしまうなんて・・・何か助ける方法があるなら・・私は助けてあげたいのです・・。」
そうだ・・・。ひょっとすると私が70年前にタイムリープしたのは・・何か本当は意味があったのかもしれない。単に自分の人生をやり直すだけではなく・・もっと別の・・・。
俯いていると、父がため息をついて声を掛けてきた。
「・・・顔を上げなさい、アイリス。」
言われて顔を上げると父はじっと私を見つめながら言った。
「分かった・・・アイリス。お前の好きにするといい。オスカー様はお前を王宮から救い出してくれたお方だからな。」
「お父様・・・・。」
「アカデミーにも通えばいい。せっかく入学したばかりだと言うのに、あっさりやめるわけにもいかないだろう?幸い、アカデミーにはレイフがいるからな。彼に護衛をお願いすることにしよう。」
「ありがとうございます。お父様。」
父の提案が嬉しくなり、私は笑みを浮かべた。
「いや。いいんだよ。可愛い娘の願いは叶えてやりたいからね。それではレイフにはこちらから連絡を入れておこう。明日は2人で一緒にアカデミーへ行くとよい。」
「はい、そうさせて頂きます。」
恐らくオスカーは当分の間アカデミーへ来ることはないだろう。
「それではお父様、お母様。これで失礼致します。」
頭を下げると、早めに退席させてもらった。
ダイニングルームを出ると、大きな窓からは月明かりが差しこみ、通路を青白く照らし出している。
ホウとため息をつくと、私は自室を目指して歩き始めた。
・・それにしても何て長い1日だったのだろう。オスカーは・・今どうしているのだろう?おそらくあの状況では王宮には戻っていないだろう。それではあの集落にいるのだろうか・・?
そして私は願った。
どうか明日・・・アカデミーでオスカーに会えますように―と。
39
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~
遠野エン
恋愛
王太子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ルティア。聖女であるライバルの策略で「悪女」の烙印を押され、すべてを奪われた彼女が追放された先は荒れ果てた「廃墟の街」。人生のどん底――かと思いきや、ルティアは不敵に微笑んだ。
「問題が山積み? つまり、改善の余地(チャンス)しかありませんわ!」
彼女には前世で凄腕【経営コンサルタント】だった知識が眠っていた。
瓦礫を資材に変えてインフラ整備、ゴロツキたちを警備隊として雇用、嫌われ者のキノコや雑草(?)を名物料理「キノコスープ」や「うどん」に変えて大ヒット!
彼女の手腕によって、死んだ街は瞬く間に大陸随一の活気あふれる自由交易都市へと変貌を遂げる!
その姿に、当初彼女を蔑んでいた冷酷伯爵シオンの心も次第に溶かされていき…。
一方、ルティアを追放した王国は経済が破綻し、崩壊寸前。焦った元婚約者の王太子がやってくるが、幸せな市民と最愛の伯爵に守られた彼女にもう死角なんてない――――。
知恵と才覚で運命を切り拓く、痛快逆転サクセス&シンデレラストーリー、ここに開幕!
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる