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第4章 2 負傷
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私たちは少しの間遠くに見える城を眺めていたが、やがてオスカーが振り向き、城とは反対向きの方向を指さすと言った。
「この先を進めば小さな集落が見えて来る。そこには俺の仲間たちがいるんだ。そこで馬車を借りよう。お前を両親の元へ送り届けなければならないからな。きっと心配しているに違いない。」
私は指さして語るオスカーの横顔を信じられない思いで見つめていた。
70年前のオスカーは少なくともこんなに穏やかな表情で・・・声で私に語り掛けて来る事は無かった。私の目の前にいるのは本物のオスカーなのだろうか・・?
するとオスカーが私の視線に気づいたのか、見下ろすと言った。
「どうした?アイリス。疲れたのか?」
「い、いえ。大丈夫です。」
「そうか・・・なら行こう。追手が来るかもしれないからな。」
そしてオスカーは城に背を向けると歩き始め、私は彼の背中を追った―。
私とオスカーは無言でしばらく歩き続け・・やがて眼前に広がる草原の先に小さな集落が見えてきた。
「集落が見えてきたな。アイリス、大丈夫か?」
「は、はい・・・。」
何とかオスカーの前で気丈に返事をするものの、私の足は限界だった。オスカーは知らないのだ。私が今まで裸足で歩いていると言う事に。しかし、私はその事を黙っていた。オスカーだって体力が万全ではない。もしかすると私たちは追われているかもしれない。その事を考えると休んでいる暇は無いだろう。なので言い出せずにいたのだ。
「どうした?アイリス。顔色が悪いぞ?」
前方を歩くオスカーが私の異変に気付いたのか、立ち止まると近くに寄って来た。そして顔色を青ざめさせた。
「アイリスッ!お前・・・足をどうしたんだっ?!」
「足・・・ですか?」
「ああ、そうだ!足を痛めたのか?!」
「え・・?何故その事を・・・。」
言いかけて私は息を飲んだ。私が歩いて来た草むらには血が点々と続いていたからだ。
「気が付かなかった・・・。」
思わずポツリと呟くと、オスカーは私に言った。
「アイリス。足を見せて見ろ。」
「はい・・・。」
私はドレスの裾を少しまくった。そこには素足で汚れにまみれてしまった自分の足が見える。
「アイリスッ!お前・・・裸足だったのか?!何故・・・何故裸足なんだ?!」
オスカーは驚いた顔で私を見た。
「あの・・・それは陛下から逃げて・・オスカー様の元へ行くときにヒールを脱ぎ捨てて・・。」
沈痛な面持ちで私を見ていたオスカーが言った。
「傷の状態を見る。アイリス、俺に捕まっていろ。」
オスカーが私の目の前でしゃがんだ。言われた私は指輪をしていな左手でオスカーの肩に手を置いた。・・・何故なら右手で触れたらオスカーの思考が流れ込んでくるような気がしたからだ。今、彼の思考を読むのは・・・酷く不謹慎に思えたのだ。
オスカーは私の足の裏をひっくり返し、途端に顔を歪めた。傷の様子は分からないが・・・足の裏は酷くズキズキと痛むし、熱を持っている。恐らく・・・傷の状態が良くないのだろう。
それを見た途端、オスカーの顔色が変わった。
「こんな・・・ひどい傷で・・・。」
振り絞るような声でオスカーが言う。
「あの・・・大丈夫です。見た目は酷いのかもしれませんが・・集落までは歩けますから。」
そう・・だって70年前、私は裸足で流刑島へ流されたのだから・・・。
「アイリス・・・。」
オスカーが私を見つめて名を呼ぶ。そして次の瞬間、私はオスカーに抱きすくめられていた。
「オ・・オスカー様・・・?」
突然の抱擁に驚く私に、オスカーは身体を震わせて言う。
「アイリス・・・お、お前・・・。裸足になってまで俺を助けに来たのか?そんな足で・・・今まで黙って俺の後をついて歩いて来たのか・・・?」
「は、はい・・・。」
すると、オスカーが私を抱きかかえた。
「あ、あの!な、何をっ?!」
戸惑う私にオスカーが言う。
「じっとしていろ。このまま集落へ向かう。」
「は、はい・・・。」
そしてオスカーは私を抱き上げたまま集落へと向かった―。
「この先を進めば小さな集落が見えて来る。そこには俺の仲間たちがいるんだ。そこで馬車を借りよう。お前を両親の元へ送り届けなければならないからな。きっと心配しているに違いない。」
私は指さして語るオスカーの横顔を信じられない思いで見つめていた。
70年前のオスカーは少なくともこんなに穏やかな表情で・・・声で私に語り掛けて来る事は無かった。私の目の前にいるのは本物のオスカーなのだろうか・・?
するとオスカーが私の視線に気づいたのか、見下ろすと言った。
「どうした?アイリス。疲れたのか?」
「い、いえ。大丈夫です。」
「そうか・・・なら行こう。追手が来るかもしれないからな。」
そしてオスカーは城に背を向けると歩き始め、私は彼の背中を追った―。
私とオスカーは無言でしばらく歩き続け・・やがて眼前に広がる草原の先に小さな集落が見えてきた。
「集落が見えてきたな。アイリス、大丈夫か?」
「は、はい・・・。」
何とかオスカーの前で気丈に返事をするものの、私の足は限界だった。オスカーは知らないのだ。私が今まで裸足で歩いていると言う事に。しかし、私はその事を黙っていた。オスカーだって体力が万全ではない。もしかすると私たちは追われているかもしれない。その事を考えると休んでいる暇は無いだろう。なので言い出せずにいたのだ。
「どうした?アイリス。顔色が悪いぞ?」
前方を歩くオスカーが私の異変に気付いたのか、立ち止まると近くに寄って来た。そして顔色を青ざめさせた。
「アイリスッ!お前・・・足をどうしたんだっ?!」
「足・・・ですか?」
「ああ、そうだ!足を痛めたのか?!」
「え・・?何故その事を・・・。」
言いかけて私は息を飲んだ。私が歩いて来た草むらには血が点々と続いていたからだ。
「気が付かなかった・・・。」
思わずポツリと呟くと、オスカーは私に言った。
「アイリス。足を見せて見ろ。」
「はい・・・。」
私はドレスの裾を少しまくった。そこには素足で汚れにまみれてしまった自分の足が見える。
「アイリスッ!お前・・・裸足だったのか?!何故・・・何故裸足なんだ?!」
オスカーは驚いた顔で私を見た。
「あの・・・それは陛下から逃げて・・オスカー様の元へ行くときにヒールを脱ぎ捨てて・・。」
沈痛な面持ちで私を見ていたオスカーが言った。
「傷の状態を見る。アイリス、俺に捕まっていろ。」
オスカーが私の目の前でしゃがんだ。言われた私は指輪をしていな左手でオスカーの肩に手を置いた。・・・何故なら右手で触れたらオスカーの思考が流れ込んでくるような気がしたからだ。今、彼の思考を読むのは・・・酷く不謹慎に思えたのだ。
オスカーは私の足の裏をひっくり返し、途端に顔を歪めた。傷の様子は分からないが・・・足の裏は酷くズキズキと痛むし、熱を持っている。恐らく・・・傷の状態が良くないのだろう。
それを見た途端、オスカーの顔色が変わった。
「こんな・・・ひどい傷で・・・。」
振り絞るような声でオスカーが言う。
「あの・・・大丈夫です。見た目は酷いのかもしれませんが・・集落までは歩けますから。」
そう・・だって70年前、私は裸足で流刑島へ流されたのだから・・・。
「アイリス・・・。」
オスカーが私を見つめて名を呼ぶ。そして次の瞬間、私はオスカーに抱きすくめられていた。
「オ・・オスカー様・・・?」
突然の抱擁に驚く私に、オスカーは身体を震わせて言う。
「アイリス・・・お、お前・・・。裸足になってまで俺を助けに来たのか?そんな足で・・・今まで黙って俺の後をついて歩いて来たのか・・・?」
「は、はい・・・。」
すると、オスカーが私を抱きかかえた。
「あ、あの!な、何をっ?!」
戸惑う私にオスカーが言う。
「じっとしていろ。このまま集落へ向かう。」
「は、はい・・・。」
そしてオスカーは私を抱き上げたまま集落へと向かった―。
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