タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売

文字の大きさ
38 / 152

第3章 8 別人の彼

しおりを挟む
 私とオスカーは向かい合わせに座って食事をしていたが、こんな風に2人きりで食事を取った事等は無かったので、何を話せばよいのか分からなかった。おまけに昨夜のオスカーと今のオスカーは外見はそっくりだが中身はまるで違う、別人だ。
更に昨夜毎日一緒にアカデミーへ通うために馬車を寄こすと言った会話すら記憶していなかった。という事は・・・
私はチラリと目の前に座るオスカーを見ながら思った。やはり今、私の目の前にいるオスカーは影武者・・・?
その時、私はオスカーと目が合ってしまった。

しまったっ!

咄嗟に私は視線を逸らせ、その後はステーキをカットする事に集中していたのだが、オスカーの刺すような視線を感じてしまい、居心地が悪くて堪らなかった。
いや・・・最初から居心地は悪かったのだが、今は2割増し位になっている。

「おい、アイリス・イリヤ。」

不意に名前を呼ばれて私は慌てて顔を上げた。

「は、はい。」

するとオスカーが言った。

「ただこうして先程から無言で食事をしているのも味気ない。何か話せ。」

オスカーは肉料理を口に運びながら言う。

「え・・・?」

そ、そんな・・・急に何か話せと言われても・・困る。私は前世も今世もオスカーとはほとんど接点がないので、趣味も何も分からない。あ、それなら・・今のオスカーに何か質問をぶつけてみよう。

「あの・・・それではお話というよりも質問になってしまうのですが・・。」

「質問?この俺にか?」

「はい、そうです・・・。私はオスカー様の婚約者ではありますが・・オスカー様の事を殆ど何も知りませんので・・・。」

「・・・ふん、まあいい。それじゃ何か質問してみろ。」

オスカーはつまらなそうに言う。

「オスカー様はお休みの日はどのようにして過ごされているのですか?」

するとニヤリとオスカーは口元を歪めるように笑った。

「そうだな・・・。実は俺は犬を2匹飼っているんだが・・・。」

え?犬・・?
私の身体に一気に緊張が走る。前世の世界ではアカデミー入学後の2か月が過ぎた頃に突如オスカーが獰猛な犬を2匹連れてきて、私を襲わせようとして・・私を庇ったリリーが噛まれてしまい、狂犬病にかかって1カ月後に死んでしまった―。
私の記憶が呼び戻され・・・一気に気が遠くなりそうになった。
いけない・・・!
このままではまた気を失ってしまうかもしれない。しかも今私の目の前にいるのは昨日とは違う・・・危険なオスカーなのだ。何とか持ちこたえなければ・・・。

「どうした?アイリス・イリヤ。顔色が随分悪いようだが・・?」

オスカーはニヤニヤしながら私の方を見ている。

「い、いえ・・・そんな事は・・。」

眩暈がする頭を必死で耐える私。

「ああ・・そうか。アイリス・イリヤ。お前は・・・犬が苦手なのだな?だとしたら犬に慣れておく必要がありそうだな?」

「え・・?犬に慣れておく必要・・?」

ああ・・・そうか・・。私が事前にオスカーの飼い犬に慣れておけば・・・私は・・・。でも・・駄目だ・・これ以上はもう私の意識が持たない・・・。

そして目の前が真っ暗になってしまった―。


< アイリス・・アイリス・・・聞こえる・・・?どうもまだ身体が今の現状に馴染んでいないみたいだね・・・。いや・・・きっと原因はそれだけじゃないみたいだね・・。アイリス・・もっと僕の力を分けてあげるよ。そうすれば君はまた別の能力に芽生える事が出来るし、今の身体に魂がもっと馴染むはずだから・・・。 >

誰・・・?私に話しかけるのは・・・?それに・・・前もこんな風に誰かに話しかけられた記憶が残っている・・・。

< うん。そうだよ・・・前もこうやって夢の中の君に話しかけた事があるよ・・。それよりアイリス、早く目を覚まして・・。そこは安全とは言い難い場所なんだ・・。だから早く目を・・・。 >

「!」

そこで、私は突然意識が覚醒して眼を開けた―。








しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】知らないですか、仏の顔も三度まででしてよ?

詩河とんぼ
恋愛
 侯爵令嬢のレイラ・ローニャは、筆頭公爵家子息のブラント・ガルシアと婚約を結んだ関係で仲も良好であった。しかし、二人が学園に入学して一年たったころ突如としてその関係は終わりを告げる。  ティアラ・ナルフィン男爵令嬢はブラントだけでなく沢山の生徒•教師を味方にし、まるで学園の女王様のようになっていた。  レイラはそれを第二王子のルシウス・ハインリッヒと一緒に解決しようと試みる。    沢山のお気に入り登録、ありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡  小説家になろう様でも投稿させていただいております。

処理中です...