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第2章 11 目覚め
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頭がズキズキする・・・。
何度か瞬きをしながら私はゆっくり目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。
「え・・?」
いつの間に私は自分の部屋にいたのだろう?それとも今までのは全て夢だったのだろうか?
慌てて飛び起きると、私は自分が制服を着たままベッドにいたことに気が付いた。
「制服・・・?それじゃ・・夢じゃなかったの・・?」
足元に置かれていた室内履きを履いて部屋を出た私はふらふらと廊下に出た。
すると応接室から話し声が聞こえてきた。
お客様が来ているのだろうか・・・?ドアは隙間が空いているのでそこから中を覗き込み、私は息を飲んだ。
何とそこには私の両親と向かい合わせにオスカーがソファに座っていたからだ。
「・・・。」
私は深呼吸するとドアをノックした。
コンコン
すると応接室から父の声が聞こえてきた。
「もしかすると・・・アイリスか?」
「はい、そうです。」
するといきなりドアが目の前で大きき開かれ、私の眼前にはオスカーが立って見下ろしていた。
「アイリス・・・・。」
「オスカー様・・・。」
「良かった・・・!目が覚めたんだな・・っ!」
そしていきなり強く抱きしめられた。
「「!!」」
背後で父と母の驚く気配を感じたが、それ以上に驚いたのは私だった。かつて生きてきた人生の中で一度も私はオスカーから抱擁された事等無かったからだ。
オスカーは私を胸に埋め込まんばかりに強く抱きしめたまま言った。
「お前・・・話をしていたら、突然顔が真っ青になって・・意識を失ってしまって・・いくら呼びかけても反応が無くなって・・俺がどれだけ驚いたかお前に分かるか?!」
私を抱きしめたオスカーの身体は・・・酷く震えていた。でも・・・どうして?私とオスカーは婚約が決まってから13年間、一度も接点が無かったのに・・・何故こんなに私の意識が戻らなかったと言うだけで・・・何故これほどまでにオスカーは震えているのだろうか・・?
「あ、あの・・オスカー様。そろそろ娘を話して頂けないでしょうか・・?」
それまでずっと口を閉ざしていた父がようやくオスカーに声を掛けると、母も続いた。
「ええ、娘が苦しがっておりますので・・・どうかお願い致します。」
「・・・。」
するとようやくオスカーは私から身体を離すと、父と母の方を振り向いた。
「騒ぎを起こして・・・悪かった。アイリスも目を覚ました事だし・・・2人きりで話がしたい。悪いが席を外して貰えないか?」
オスカーは父と母に言った。
「しかし・・・。」
父は心配げに私を見た。
「・・・。」
母は無言だったが、その顔色は青かった。恐らく父も母も私をオスカーと2人きりに等したくは無いのだろうが・・・。
「お父様、お母様。私もオスカー様とお話ししたいことがありますので・・・申し訳ございませんが・・・席を外して頂けないでしょうか?」
するとオスカーが意外そうな顔で私を見た。
「アイリス・・・。」
父は心配そうに私を見つめていたが、頷くと言った。
「分りました・・・。ではオスカー様。我々は席を外しますが・・・。」
父はそれでも強い視線でオスカーを見た。
「まだ娘とオスカー様は仮の婚約者であると言う事をお忘れないようにお願い致します。」
「!」
間違いない、確かに父は・・・私とオスカーの婚約を「仮」と言った。それではやはりレイフの言っていた事は本当の事だったんだ・・。
一方、父から釘を刺されたオスカーは苦笑しながらも返事をした。
「ああ・・・勿論分かっている。」
「それを聞いて安心致しました。」
父は一礼すると母を伴って応接室を出て行った。
そして部屋に残されたのは私とオスカーの2人きりとなった―。
何度か瞬きをしながら私はゆっくり目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。
「え・・?」
いつの間に私は自分の部屋にいたのだろう?それとも今までのは全て夢だったのだろうか?
慌てて飛び起きると、私は自分が制服を着たままベッドにいたことに気が付いた。
「制服・・・?それじゃ・・夢じゃなかったの・・?」
足元に置かれていた室内履きを履いて部屋を出た私はふらふらと廊下に出た。
すると応接室から話し声が聞こえてきた。
お客様が来ているのだろうか・・・?ドアは隙間が空いているのでそこから中を覗き込み、私は息を飲んだ。
何とそこには私の両親と向かい合わせにオスカーがソファに座っていたからだ。
「・・・。」
私は深呼吸するとドアをノックした。
コンコン
すると応接室から父の声が聞こえてきた。
「もしかすると・・・アイリスか?」
「はい、そうです。」
するといきなりドアが目の前で大きき開かれ、私の眼前にはオスカーが立って見下ろしていた。
「アイリス・・・・。」
「オスカー様・・・。」
「良かった・・・!目が覚めたんだな・・っ!」
そしていきなり強く抱きしめられた。
「「!!」」
背後で父と母の驚く気配を感じたが、それ以上に驚いたのは私だった。かつて生きてきた人生の中で一度も私はオスカーから抱擁された事等無かったからだ。
オスカーは私を胸に埋め込まんばかりに強く抱きしめたまま言った。
「お前・・・話をしていたら、突然顔が真っ青になって・・意識を失ってしまって・・いくら呼びかけても反応が無くなって・・俺がどれだけ驚いたかお前に分かるか?!」
私を抱きしめたオスカーの身体は・・・酷く震えていた。でも・・・どうして?私とオスカーは婚約が決まってから13年間、一度も接点が無かったのに・・・何故こんなに私の意識が戻らなかったと言うだけで・・・何故これほどまでにオスカーは震えているのだろうか・・?
「あ、あの・・オスカー様。そろそろ娘を話して頂けないでしょうか・・?」
それまでずっと口を閉ざしていた父がようやくオスカーに声を掛けると、母も続いた。
「ええ、娘が苦しがっておりますので・・・どうかお願い致します。」
「・・・。」
するとようやくオスカーは私から身体を離すと、父と母の方を振り向いた。
「騒ぎを起こして・・・悪かった。アイリスも目を覚ました事だし・・・2人きりで話がしたい。悪いが席を外して貰えないか?」
オスカーは父と母に言った。
「しかし・・・。」
父は心配げに私を見た。
「・・・。」
母は無言だったが、その顔色は青かった。恐らく父も母も私をオスカーと2人きりに等したくは無いのだろうが・・・。
「お父様、お母様。私もオスカー様とお話ししたいことがありますので・・・申し訳ございませんが・・・席を外して頂けないでしょうか?」
するとオスカーが意外そうな顔で私を見た。
「アイリス・・・。」
父は心配そうに私を見つめていたが、頷くと言った。
「分りました・・・。ではオスカー様。我々は席を外しますが・・・。」
父はそれでも強い視線でオスカーを見た。
「まだ娘とオスカー様は仮の婚約者であると言う事をお忘れないようにお願い致します。」
「!」
間違いない、確かに父は・・・私とオスカーの婚約を「仮」と言った。それではやはりレイフの言っていた事は本当の事だったんだ・・。
一方、父から釘を刺されたオスカーは苦笑しながらも返事をした。
「ああ・・・勿論分かっている。」
「それを聞いて安心致しました。」
父は一礼すると母を伴って応接室を出て行った。
そして部屋に残されたのは私とオスカーの2人きりとなった―。
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