挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

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第201話 10年ぶりの再会

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 翌日は素晴らしい天気だった。


私とルークは教会へ向かう馬車に揺られていた。

「お母さん、いいお天気だね、まさにお出かけ日和だね」

ルークが笑顔で話しかけてきた。

「え、ええ。そうね」

一方の私は10年ぶりのセシルとの再会で緊張している。

「お母さん、もしかして緊張してるの?」

向かい側に座っていたルークが隣の席にやってきた。

「あ……分かっちゃった?」

少し肩をすくめるとルークがクスリと笑う。

「大丈夫、お母さんはとっても綺麗だよ。僕のお友達やお友達のお母さんたちもね、お母さんのこと、綺麗だって褒めてるよ」

「え?え?そ、そんな話が出ているの?」

ルークの言葉に思わず赤面してしまう。

「きっと、セシル叔父さんもお母さんを見たら綺麗だって思うに決まってるよ!」

子供なのに随分大人びた台詞を口にするルーク。

「セシル……」

私は、セシルとどうなりたいのだろう……?
未だに自分の気持ちに整理がつかないまま、馬車は教会に到着した――。



****


 教会の前には木々が生い茂り、建物付近にはベンチが置かれている。

セシルの姿はまだそこには無かった。

「誰もいないね」

ルークが辺りをキョロキョロ見渡した。

「ええ、そうね。座って待っていましょうか?」
「うん」

そして私とルークはベンチに座り、セシルが来るのを待っていた。



 数分が経過した頃……。

「ごめん、エルザ。待たせたな」

背後から突然声を掛けられ、反射的に立ち上がって振り向いた。

「セシル……!」

「久しぶり、エルザ。10年ぶり……だな?」

スーツを着たセシルは少し照れた様子で私を見て笑顔になった。

そして、彼の腕には……まだ幼い女の子が抱かれていた――。



****


「ごめん、エルザ。いきなりで驚かせただろう?」


ルークと一緒に教会の庭で遊んでいる様子を見つめながらセシルが話しかけてきた。

「ええ……。本当に驚いたわ。でもセシル、結婚していたのね。奥様はどうしたの?」

最初にセシルが女の子を抱いて現れたときには驚いたけれども、私とセシルが別れて10年。
結婚していてもおかしくないはずだ。

するとセシルは慌てたように首を振った。

「え?違う!俺は一度も誰かと結婚したことなんか無いぞ?!」

「え……?あの女の子は貴方の子供ではないの?」

「ああ、そうだ。あの子……アリスンは俺の子供じゃないんだ」

「セシルの子供じゃない……?それではあの子は一体誰の子供なの?母親はどうしたの?」

「実は、その件もあって……この国に戻って来たんだ。どうしてもエルザに伝えたいことがあったから。その前に…エルザ。聞かせてくれ。君はあれから再婚したのか?」

セシルは熱の込められた瞳で私を見つめてきた――。
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