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第150話 セシル不在の席で
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結局、母は最後まで私が病床のセシルに付き添うのを反対していたが最終的には折れてくれた。
やはりそれはアンバー家が男爵家の爵位を持っていたからだろう。
義母の手前、強く反対することが出来なかったのだと思う。
「分かりました。ではアンバー婦人、エルザのことを宜しくお願い致します」
母が義母に頭を下げた。
「いいえ、むしろお礼を言わせて頂きたいのはこちらの方だわ。それでは早速病院の近くにあるホテルを手配するわね」
ホッとした表情を浮かべる義母。
「あの、それでは一度家に帰って準備をさせて頂いても宜しいでしょうか?着替えやルークのオムツなども色々用意しなければなりませんので」
義母に尋ねると、私を見て笑みを浮かべた。
「ええ、勿論そうでしょうとも。どうぞ準備に帰っていいわよ?その間に私たちの方でホテルの手配をしておくから」
「はい、どうぞよろしくお願い致します」
「……」
そんな私と義母の会話を母はじっと聞いていた。
恐らく母の心境としてはあまり好ましくない状況なのだろう。
「それでは一度準備の為に帰らせて頂きますね。お母様、行きましょうか?」
眠ってしまったルークを胸に抱き寄せながら母に声を掛けたその時——。
カチャリと扉が開かれ、病室の中に義父とお父様が入って来た。
「あぁ、来たのか?エルザ」
父は私の姿を見るとすぐに声を掛けてきた。
「はい、お父様」
そして次に私は義父に挨拶をした。
「お久しぶりでございます。お義父様」
「ああ、久しぶりだなエルザ。ルークは…うん。やはり大きくなっているようだな?」
嬉しそうにルークを見て目を細める義父。
「はい、ルークは以前よりもミルクを飲む量も増えましたし、まとめて眠るようになってきました」
「そうか‥‥。それはよかった。…やはりフィリップに似ているな」
義父の言葉にはどこか寂しさを感じた。
「あなた、エルザがセシルの付き添いをしてくれるそうよ」
「本当か?エルザ。ありがとう、本当に助かるよ」
義父は喜びを露わにした。
「決めたのか?エルザ」
父が私に尋ねてくる。
「はい、セシルは私にとって大切な幼馴染だから」
「そうか…」
重々しく頷く父。
「あの、ところで…ベルクール男爵家との話し合いは…どうなったのでしょうか?」
コレット令嬢のことが私には気がかりでならなかった。
「ああ‥‥そのことだが、やはり婚約の話は流れることになった。元々本決まりでは無かったからな」
「え…?宜しい宜しいのですか?セシルの同意を得てもいないのに…?」
口ではそう言う物の、私が一番気がかりだったのはコレット令嬢のことだった。
あれほどセシルのことを思っていたのに、あっさり婚約解消をしても良いのだろうか?
「仕方あるまい。コレット令嬢の強い希望だったのだから…仕方あるまい」
「そうなのですか‥…」
そこまで話をした時、不意に病室の扉がノックされた。
コンコン
「あら?看護師さんかしら?」
義母は扉に向かうと、開け放した。
すると、そこに立っていたのはコレット令嬢だった――。
やはりそれはアンバー家が男爵家の爵位を持っていたからだろう。
義母の手前、強く反対することが出来なかったのだと思う。
「分かりました。ではアンバー婦人、エルザのことを宜しくお願い致します」
母が義母に頭を下げた。
「いいえ、むしろお礼を言わせて頂きたいのはこちらの方だわ。それでは早速病院の近くにあるホテルを手配するわね」
ホッとした表情を浮かべる義母。
「あの、それでは一度家に帰って準備をさせて頂いても宜しいでしょうか?着替えやルークのオムツなども色々用意しなければなりませんので」
義母に尋ねると、私を見て笑みを浮かべた。
「ええ、勿論そうでしょうとも。どうぞ準備に帰っていいわよ?その間に私たちの方でホテルの手配をしておくから」
「はい、どうぞよろしくお願い致します」
「……」
そんな私と義母の会話を母はじっと聞いていた。
恐らく母の心境としてはあまり好ましくない状況なのだろう。
「それでは一度準備の為に帰らせて頂きますね。お母様、行きましょうか?」
眠ってしまったルークを胸に抱き寄せながら母に声を掛けたその時——。
カチャリと扉が開かれ、病室の中に義父とお父様が入って来た。
「あぁ、来たのか?エルザ」
父は私の姿を見るとすぐに声を掛けてきた。
「はい、お父様」
そして次に私は義父に挨拶をした。
「お久しぶりでございます。お義父様」
「ああ、久しぶりだなエルザ。ルークは…うん。やはり大きくなっているようだな?」
嬉しそうにルークを見て目を細める義父。
「はい、ルークは以前よりもミルクを飲む量も増えましたし、まとめて眠るようになってきました」
「そうか‥‥。それはよかった。…やはりフィリップに似ているな」
義父の言葉にはどこか寂しさを感じた。
「あなた、エルザがセシルの付き添いをしてくれるそうよ」
「本当か?エルザ。ありがとう、本当に助かるよ」
義父は喜びを露わにした。
「決めたのか?エルザ」
父が私に尋ねてくる。
「はい、セシルは私にとって大切な幼馴染だから」
「そうか…」
重々しく頷く父。
「あの、ところで…ベルクール男爵家との話し合いは…どうなったのでしょうか?」
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「え…?宜しい宜しいのですか?セシルの同意を得てもいないのに…?」
口ではそう言う物の、私が一番気がかりだったのはコレット令嬢のことだった。
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「そうなのですか‥…」
そこまで話をした時、不意に病室の扉がノックされた。
コンコン
「あら?看護師さんかしら?」
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すると、そこに立っていたのはコレット令嬢だった――。
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