挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中

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第147話 突然舞い込んだ話

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 早いものでコレット令嬢が訪ねてから2週間ほど経過した頃――。

それは突然舞い込んできた話だった。
この日は休日で、私は授乳を終えたルークにおもちゃを与えて遊ばせていた。



「ほーら、ルーク。これはね、振ると中で鈴がなるのよ?綺麗な音でしょう?」

揺り椅子に座りながらルークを腕に抱き、中に鈴が入っているぬいぐるみを持って振るとリンリンと綺麗な音が鳴る。

「アゥ~」

最近、喃語なんごをよく話すようになったルークは興味深げにぬいぐるみを見つめている。

「フフ‥…我が子ながら何て可愛いのかしら…」

ミルクの香りがする小さくて温かいルークを抱いていると、フィリップのいない寂しさを少しだけ穴埋めしてくれる。

「フィリップ‥‥成長していくルークの姿を貴方にも見せてあげたかったわ…」

ポツリと呟いた時、突然慌ただしくこちらに駆け寄ってくる音が聞こえた。

「あら?何だか騒がしいわね…?」

すると次の瞬間、ノックも無しに乱暴に扉が開かれた。

「エ、エルザ…た、大変よ…!」

扉を開けて部屋に飛び込んできたのは母だった。酷く慌てた様子の母は肩で息をしている。

「お母様、一体どうしたの?そんなに慌てた様子で…」

「そ、それが…昨夜、セシルが馬車事故に遭ったのですって!大怪我をして病院に運ばれて緊急手術をしたそうだけど…今も目が覚めないそうよ…。つい先ほどアンバー家から連絡が入ったのよっ!」

「え?!セシルがっ?!」

思わず立ち上がった。

「い、一体何故馬車事故に…?」

目が覚めないなんて…まさか、セシルもフィリップみたいに……?
恐ろしい考えが頭に浮かび、目眩を起こしそうになった。

「先方の話では昨夜はコレット様と一緒にいたそうなのよ。それでコレット様が馬車に轢かれそうになったところを、セシルが助けたみたいで代わりに事故に…。お父様は一足先に病院へ向かったわ」

「そ、そんな‥‥!」

「セシルは赤十字総合病院で入院中なのよ。それで…アンバー家の方から、どうしてもエルザに病院に来てもらいたいと言ってきたのよ。」

「勿論行くわ」

私は即答した。
セシルが馬車の事故に遭い、今も目が覚めないのなら行かないはずはない。

「エルザ…。で、でもルークはどうするの?授乳だってあるでしょう?」

確かにルークには今も3時間置きの授乳が欠かせない。

「お願い、お母様も一緒に病院についてきて?私がセシルのお見舞いをしている間はルークを預かって貰いたいの」

「分かったわ。一緒に行きましょう。すぐに支度をしてくるから貴女も急ぎなさい」

「はい!」

そこから先は慌ただしかった。
すぐに外出用のデイ・ドレスに着替えると、ルークのオムツや予備の着替えを急いで準備した。


40分後……。

ルークを連れた私は母と一緒に病院へ向かう馬車に揺られていた。

セシル…どうか貴方まで先に逝かないで…!

馬車の窓から外の景色を眺めながらセシルの無事を祈った――。
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