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第45話 貴方の心の内が知りたい
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「セシル…それってどういう事なの…?」
私は身体を起こすとセシルに尋ねた。
「大丈夫なのか?起き上がっても…まだ頭痛がするんだろう?いいから横になれよ」
「…分かったわ…」
再びカウチソファに身体を沈め、セシルを見た。するとセシルは一瞬私から視線をそらせると口を開いた。
「兄さんに言われていたんだ。もし、自分が不在の間…エルザが困っている様子を目にしたら使用人たちに相談してくれって。大抵の事なら解決出来るだろうからって…言っていたんだよ」
「フィリップが…?」
一体どういう事なのだろう?ますます訳が分からない。私にあんな冷たい態度を取っておきながら…どうして私が気づかない所で親切にしてくれているのだろう?
今までのフィリップに対する私への振る舞いは、わざと自分自身に嫌気がさす様にしむけてここから去って行かせようとしているとしか思えなくなってきた。
それだけではない。
姉からの意味深の手紙…。
『フィリップを支えてあげて欲しいの』
『フィリップにとって、本当に必要な人は私ではなく貴女なのだから』
あれは…一体どういう意味なの?
本当は…フィリップは私を必要としてくれているの?
けれど、何か深い訳があって…わざと私が貴方の元を去るように意地悪な態度を取っているの…?
「どうした?やっぱりまだ頭痛が酷いんだろう?」
セシルは私が考え込んでいる姿を、頭痛が酷くて口を閉ざしていると勘違いしたようだった。
「いえ。大丈夫よ…大分頭痛は治まったから」
「そうか…なら良かった」
セシルは安心したかのようにため息をついた。
「…ねぇ、セシル。フィリップは今…何処にいるの?」
「その事だが…アンバー家ではここから汽車で片道4時間程先の南部地域でコーヒー農園を所有しているんだ。最近出荷されているコーヒー豆の品質があまり良くないらしくて、豆の状態を確かめに行く為に出掛ると言って、家を開けているんだよ。2~3日は滞在すると言っていたから留守を頼むと俺に頼んで来たんだよ。ほら、父も母も今領地巡りで今は不在だろう?だからエルザには実家に戻っているように言ったんじゃないかな」
セシルの言葉には嘘を感じられなかった。
「そう…なのね…」
大分頭痛が和らいで来たので身体を起こすと、セシルを見た。
「けどな…」
セシルが考え込むように言う。
「どうかしたの?」
「ああ、コーヒー豆の状況を見るなら…父に頼めばいいのにって思ったんだよ。どうせ父と母は今、領地巡りをしているのだから」
「…言われてみれば確かにそうね」
「大丈夫かな…。無理してないといいけど…。実は出掛ける時随分顔色が悪かったんだよ。あまり体調が良くないように見えたし…だから俺は引き止めたんだけどね。無理して行く事は無いだろうって。けれどチャールズに言われたんだよ。どうか行かせてくださいとね。…随分切羽詰まった様子だったな…」
「え?フィリップの具合が悪そうだったの?」
まさか…体調を崩してしまったのだろうか?私が知るフィリップはいつも元気だったのに?
すると、突然セシルが我に返ったかのように声をあげた。
「あ!し、しまった…!」
「ど、どうしたの?突然大きな声を出して」
「エルザ、この通りだっ!今俺がした話…絶対に誰にも口外しないでくれないか?兄さんに口止めされていんだよ。絶対にここで見たことや聞いたことはエルザの耳には入れないでくれって」
「え?フィリップが口止めを…?何故?」
「理由はいくら聞いても答えてくれなかったよ…。夫婦の事に口出ししないでくれと言われて…そう言われたら俺はもう何も言い返せなくてさ。でも、どうか頼む!誰にも言わないでくれ、この通りだ!」
必死の様子で懇願してくるセシル。
「…分かったわ。今の話…聞かなかったことにするわ。その代わり…この先、何かフィリップの件で気になることがあったら、必ず私に教えてくれる?」
「…ああ、仕方ないな…分かったよ」
セシルは不承不承約束してくれた。
ごめんなさい、フィリップ。
私は…何も知らない状態でこの屋敷にいたくないの。
貴方が教えてくれないのなら…私から調べることにするわ。
貴方の本当の心の内が知りたいから…。
私は心の中でフィリップに謝罪した―。
私は身体を起こすとセシルに尋ねた。
「大丈夫なのか?起き上がっても…まだ頭痛がするんだろう?いいから横になれよ」
「…分かったわ…」
再びカウチソファに身体を沈め、セシルを見た。するとセシルは一瞬私から視線をそらせると口を開いた。
「兄さんに言われていたんだ。もし、自分が不在の間…エルザが困っている様子を目にしたら使用人たちに相談してくれって。大抵の事なら解決出来るだろうからって…言っていたんだよ」
「フィリップが…?」
一体どういう事なのだろう?ますます訳が分からない。私にあんな冷たい態度を取っておきながら…どうして私が気づかない所で親切にしてくれているのだろう?
今までのフィリップに対する私への振る舞いは、わざと自分自身に嫌気がさす様にしむけてここから去って行かせようとしているとしか思えなくなってきた。
それだけではない。
姉からの意味深の手紙…。
『フィリップを支えてあげて欲しいの』
『フィリップにとって、本当に必要な人は私ではなく貴女なのだから』
あれは…一体どういう意味なの?
本当は…フィリップは私を必要としてくれているの?
けれど、何か深い訳があって…わざと私が貴方の元を去るように意地悪な態度を取っているの…?
「どうした?やっぱりまだ頭痛が酷いんだろう?」
セシルは私が考え込んでいる姿を、頭痛が酷くて口を閉ざしていると勘違いしたようだった。
「いえ。大丈夫よ…大分頭痛は治まったから」
「そうか…なら良かった」
セシルは安心したかのようにため息をついた。
「…ねぇ、セシル。フィリップは今…何処にいるの?」
「その事だが…アンバー家ではここから汽車で片道4時間程先の南部地域でコーヒー農園を所有しているんだ。最近出荷されているコーヒー豆の品質があまり良くないらしくて、豆の状態を確かめに行く為に出掛ると言って、家を開けているんだよ。2~3日は滞在すると言っていたから留守を頼むと俺に頼んで来たんだよ。ほら、父も母も今領地巡りで今は不在だろう?だからエルザには実家に戻っているように言ったんじゃないかな」
セシルの言葉には嘘を感じられなかった。
「そう…なのね…」
大分頭痛が和らいで来たので身体を起こすと、セシルを見た。
「けどな…」
セシルが考え込むように言う。
「どうかしたの?」
「ああ、コーヒー豆の状況を見るなら…父に頼めばいいのにって思ったんだよ。どうせ父と母は今、領地巡りをしているのだから」
「…言われてみれば確かにそうね」
「大丈夫かな…。無理してないといいけど…。実は出掛ける時随分顔色が悪かったんだよ。あまり体調が良くないように見えたし…だから俺は引き止めたんだけどね。無理して行く事は無いだろうって。けれどチャールズに言われたんだよ。どうか行かせてくださいとね。…随分切羽詰まった様子だったな…」
「え?フィリップの具合が悪そうだったの?」
まさか…体調を崩してしまったのだろうか?私が知るフィリップはいつも元気だったのに?
すると、突然セシルが我に返ったかのように声をあげた。
「あ!し、しまった…!」
「ど、どうしたの?突然大きな声を出して」
「エルザ、この通りだっ!今俺がした話…絶対に誰にも口外しないでくれないか?兄さんに口止めされていんだよ。絶対にここで見たことや聞いたことはエルザの耳には入れないでくれって」
「え?フィリップが口止めを…?何故?」
「理由はいくら聞いても答えてくれなかったよ…。夫婦の事に口出ししないでくれと言われて…そう言われたら俺はもう何も言い返せなくてさ。でも、どうか頼む!誰にも言わないでくれ、この通りだ!」
必死の様子で懇願してくるセシル。
「…分かったわ。今の話…聞かなかったことにするわ。その代わり…この先、何かフィリップの件で気になることがあったら、必ず私に教えてくれる?」
「…ああ、仕方ないな…分かったよ」
セシルは不承不承約束してくれた。
ごめんなさい、フィリップ。
私は…何も知らない状態でこの屋敷にいたくないの。
貴方が教えてくれないのなら…私から調べることにするわ。
貴方の本当の心の内が知りたいから…。
私は心の中でフィリップに謝罪した―。
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