43 / 204
第41話 穏やかな時間
しおりを挟む
22時―
家族水入らずの食事が終わり、私は部屋に戻っていた。
「美味しい…」
入浴後の一時。本を片手にお気に入りのハーブティーをゆっくり飲みながら、食事で交わした会話の内容を思い出していた。
『請負先の家具職人にラベンダー模様の家具をフィリップ様自身がオーダーされたのだよ』
『エルザに知られると照れくさくて恥ずかしいからだと話しておられたよ。本当にあの方は愛情深い方だね』
「分からない…。私にはフィリップが何を考えているのか分からないわ…」
思わずポツリと言葉が口をついて出てくる。
結婚直後からのフィリップの冷たい態度。サイン済みの離婚届を預けられ、本館には行かないように釘を刺された。与えられた部屋は姉の為に用意されていた薔薇の部屋。
『僕は…君の愛なんていらないないのだから』
フィリップの拒絶の言葉が蘇ってくる。
それなのに何故?
わざわざ家具職人にラベンダー柄の家具をオーダーして用意してくれたのだろう?
「私は…まだフィリップに…期待してもいいのかしら…」
フィリップは今頃何をしているのだろう…?
「考えても仕方ないわね…。でもアンバー家に戻ったら、もう少しフィリップに歩み寄ってみようかしら?嫌がられるかもしれないけれど…それでもやっぱり私は彼の事が好きだから…」
読みかけのページに栞を挟むと私は本を閉じた。そして部屋の明かりを消すとベッドに潜り込んだ。
約1週間ぶりの私のベッド…。
今夜は久しぶりに安眠出来そうな気がする…。
「おやすみなさい、フィリップ…」
私はフィリップの事を思い…眠りに就いた―。
****
翌朝―
久しぶりにスッキリした寝覚めの良い朝を迎えた。胃の痛みも今は完全に落ち着いている。
「やっぱり、実家に戻ってこれたから心身共にリラックス出来たのかしら…」
ここでは何にも気を使う必要は無い。…だからだろうか?
「…着替えましょう」
私はベッド下に置いた室内履きに足を通した―。
午前7時―
「おはようございます、お父様、お母様」
白いブラウスにラベンダーカラーのカーディガンとロングスカートという出で立ちで私はダイニングルームテーブルに着いていた両親に朝の挨拶をした。
テーブルの上には既に朝食が用意されていた。
デニッシュにミルク、サラダにポーチドエッグにヨーグルト。
我が家のいつもの定番メニューだった。
「おはよう、エルザ」
「よく眠れたかしら?」
父と母が交互に声を掛けてきた。
「ええ、昨夜は22時過ぎには眠ってしまったわ。お陰で今朝は体調が良いみたいなの」
そして着席すると母が言った。
「そうね、今朝は昨日に比べると随分顔色がいいみたいだわ」
「うん、確かにな。体調がだいぶ良くなったみたいで安心したよ。さて、では頂こうか?」
「はい」
「エルザ、どう?食べられそう?」
母が気遣う様に声を掛けてきた。
「ええ、今朝は胃の調子も良いみたいだし食べられそうだわ」
こうして、家族団欒の穏やかな朝は過ぎていく―。
家族水入らずの食事が終わり、私は部屋に戻っていた。
「美味しい…」
入浴後の一時。本を片手にお気に入りのハーブティーをゆっくり飲みながら、食事で交わした会話の内容を思い出していた。
『請負先の家具職人にラベンダー模様の家具をフィリップ様自身がオーダーされたのだよ』
『エルザに知られると照れくさくて恥ずかしいからだと話しておられたよ。本当にあの方は愛情深い方だね』
「分からない…。私にはフィリップが何を考えているのか分からないわ…」
思わずポツリと言葉が口をついて出てくる。
結婚直後からのフィリップの冷たい態度。サイン済みの離婚届を預けられ、本館には行かないように釘を刺された。与えられた部屋は姉の為に用意されていた薔薇の部屋。
『僕は…君の愛なんていらないないのだから』
フィリップの拒絶の言葉が蘇ってくる。
それなのに何故?
わざわざ家具職人にラベンダー柄の家具をオーダーして用意してくれたのだろう?
「私は…まだフィリップに…期待してもいいのかしら…」
フィリップは今頃何をしているのだろう…?
「考えても仕方ないわね…。でもアンバー家に戻ったら、もう少しフィリップに歩み寄ってみようかしら?嫌がられるかもしれないけれど…それでもやっぱり私は彼の事が好きだから…」
読みかけのページに栞を挟むと私は本を閉じた。そして部屋の明かりを消すとベッドに潜り込んだ。
約1週間ぶりの私のベッド…。
今夜は久しぶりに安眠出来そうな気がする…。
「おやすみなさい、フィリップ…」
私はフィリップの事を思い…眠りに就いた―。
****
翌朝―
久しぶりにスッキリした寝覚めの良い朝を迎えた。胃の痛みも今は完全に落ち着いている。
「やっぱり、実家に戻ってこれたから心身共にリラックス出来たのかしら…」
ここでは何にも気を使う必要は無い。…だからだろうか?
「…着替えましょう」
私はベッド下に置いた室内履きに足を通した―。
午前7時―
「おはようございます、お父様、お母様」
白いブラウスにラベンダーカラーのカーディガンとロングスカートという出で立ちで私はダイニングルームテーブルに着いていた両親に朝の挨拶をした。
テーブルの上には既に朝食が用意されていた。
デニッシュにミルク、サラダにポーチドエッグにヨーグルト。
我が家のいつもの定番メニューだった。
「おはよう、エルザ」
「よく眠れたかしら?」
父と母が交互に声を掛けてきた。
「ええ、昨夜は22時過ぎには眠ってしまったわ。お陰で今朝は体調が良いみたいなの」
そして着席すると母が言った。
「そうね、今朝は昨日に比べると随分顔色がいいみたいだわ」
「うん、確かにな。体調がだいぶ良くなったみたいで安心したよ。さて、では頂こうか?」
「はい」
「エルザ、どう?食べられそう?」
母が気遣う様に声を掛けてきた。
「ええ、今朝は胃の調子も良いみたいだし食べられそうだわ」
こうして、家族団欒の穏やかな朝は過ぎていく―。
198
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
孤独な公女~私は死んだことにしてください
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【私のことは、もう忘れて下さい】
メイドから生まれた公女、サフィニア・エストマン。
冷遇され続けた彼女に、突然婚約の命が下る。
相手は伯爵家の三男――それは、家から追い出すための婚約だった。
それでも彼に恋をした。
侍女であり幼馴染のヘスティアを連れて交流を重ねるうち、サフィニアは気づいてしまう。
婚約者の瞳が向いていたのは、自分では無かった。
自分さえ、いなくなれば2人は結ばれる。
だから彼女は、消えることを選んだ。
偽装死を遂げ、名も身分も捨てて旅に出た。
そしてサフィニアの新しい人生が幕を開ける――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる