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第39話 姉からの秘密の手紙
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「そんな…お姉様からの手紙…」
そこで私はハッとなり、急いで部屋の扉に駆け寄ると内鍵をかけた。万一この手紙がお姉さまからのだと誰かに知られては大変だ。
そして再びライティングデスクに向かうと深呼吸をし、封筒を改めた。
「差出人に何も書かれていない…と言う事は、誰にも知られたくないはずよね…。消印はどこかしら…?え…?」
消印は海を越えた国…『サンタリス』だった。
「サンタリス…」
この国は芸術の国として名高い国であり…姉は絵を描くのが大好きだった。姉の夢は画家になることだった―。
「と、とにかく…まずは手紙を読まないと…」
だけど…。
怖い。
手紙には一体何が書かれているのだろう?手紙を見つめているだけで胃が痛くなってくる。
でも、読まなければ。この手紙にはきっと重要な事が書かれているに決まっているから…。
私は震える手で、手紙に目を落とした―。
****
『大切な妹、エルザへ』
エルザ、元気にしていますか?フィリップとの結婚を前に突然いなくなってごめんなさい。
私は今『サンタリス』の国に住んでいます。詳しい住所は教えられなくてごめんなさい。
この国で画家の彼と今一緒に暮らしながら、私も絵の勉強をしています。
お父様とお母様はとても心配しているでしょうね?フィリップのご両親はさぞかし私に失望しているでしょうね?それとも怒っているかしら?
ごめんなさい。本当はもっと色々な事を書きたいのだけれども詳しく説明することが出来ないの。
でもお願い、エルザ。
フィリップを支えてあげて欲しいの。
私には出来なかったけど、エルザにならきっと出来るはずよ。口には出さないけれどフィリップにとって、本当に必要な人は私ではなく貴女なのだから。
どうか、この手紙が届いたことは誰にも言わないで。
フィリップにも内緒にして。このことは2人だけの秘密にしてもらいたいの。
フィリップからエルザには一切何も伝えないように口止めされています。
いずれ時期が来たら自分から貴女に説明すると言っていたから、それまで待っていてくれる?
もう一つ、お願いがあります。
私からの手紙を読み終えたら人目につかないようにして欲しいの。
貴女に手紙を送った事は誰にも知られるわけにはいかないの。どうか読み終えたら燃やして下さい。
また、何らかの形で貴女に連絡を入れるわ。
ローズより
追伸:フィリップは…元気そうかしら?
****
「お姉さま…」
私は姉からの手紙を3回読み返した。それでも理解できなかった。一体、何が起こっているのか?
でも、姉からの手紙で何となく察した。
ひょっとすると…フィリップは姉が別の男性と駆け落ちすることを認めていたのではないだろうか…と?
「分からない…分からないことだらけだわ。私はフィリップから離婚届を預かっているのに、お姉さまはフィリップを支えてと言うなんて…。私は…どちらの話を信じればいいの…?」
私は姉に言われた通りに手紙を燃やすことにした。手紙とマッチをもって暖炉に行くと灰の上に手紙を置いた。
シュッ
マッチを擦って火をつけると、手紙の上にそっと乗せる。するとたちまちオレンジ色の炎を揺らめかせながら手紙は燃えていく。
「お姉様…」
燃える手紙をじっと見つめながらポツリと呟き、少しだけ泣いた。
そして手紙の内容を思い出し…私は思った。
フィリップ…貴方に会いたい―と。
そこで私はハッとなり、急いで部屋の扉に駆け寄ると内鍵をかけた。万一この手紙がお姉さまからのだと誰かに知られては大変だ。
そして再びライティングデスクに向かうと深呼吸をし、封筒を改めた。
「差出人に何も書かれていない…と言う事は、誰にも知られたくないはずよね…。消印はどこかしら…?え…?」
消印は海を越えた国…『サンタリス』だった。
「サンタリス…」
この国は芸術の国として名高い国であり…姉は絵を描くのが大好きだった。姉の夢は画家になることだった―。
「と、とにかく…まずは手紙を読まないと…」
だけど…。
怖い。
手紙には一体何が書かれているのだろう?手紙を見つめているだけで胃が痛くなってくる。
でも、読まなければ。この手紙にはきっと重要な事が書かれているに決まっているから…。
私は震える手で、手紙に目を落とした―。
****
『大切な妹、エルザへ』
エルザ、元気にしていますか?フィリップとの結婚を前に突然いなくなってごめんなさい。
私は今『サンタリス』の国に住んでいます。詳しい住所は教えられなくてごめんなさい。
この国で画家の彼と今一緒に暮らしながら、私も絵の勉強をしています。
お父様とお母様はとても心配しているでしょうね?フィリップのご両親はさぞかし私に失望しているでしょうね?それとも怒っているかしら?
ごめんなさい。本当はもっと色々な事を書きたいのだけれども詳しく説明することが出来ないの。
でもお願い、エルザ。
フィリップを支えてあげて欲しいの。
私には出来なかったけど、エルザにならきっと出来るはずよ。口には出さないけれどフィリップにとって、本当に必要な人は私ではなく貴女なのだから。
どうか、この手紙が届いたことは誰にも言わないで。
フィリップにも内緒にして。このことは2人だけの秘密にしてもらいたいの。
フィリップからエルザには一切何も伝えないように口止めされています。
いずれ時期が来たら自分から貴女に説明すると言っていたから、それまで待っていてくれる?
もう一つ、お願いがあります。
私からの手紙を読み終えたら人目につかないようにして欲しいの。
貴女に手紙を送った事は誰にも知られるわけにはいかないの。どうか読み終えたら燃やして下さい。
また、何らかの形で貴女に連絡を入れるわ。
ローズより
追伸:フィリップは…元気そうかしら?
****
「お姉さま…」
私は姉からの手紙を3回読み返した。それでも理解できなかった。一体、何が起こっているのか?
でも、姉からの手紙で何となく察した。
ひょっとすると…フィリップは姉が別の男性と駆け落ちすることを認めていたのではないだろうか…と?
「分からない…分からないことだらけだわ。私はフィリップから離婚届を預かっているのに、お姉さまはフィリップを支えてと言うなんて…。私は…どちらの話を信じればいいの…?」
私は姉に言われた通りに手紙を燃やすことにした。手紙とマッチをもって暖炉に行くと灰の上に手紙を置いた。
シュッ
マッチを擦って火をつけると、手紙の上にそっと乗せる。するとたちまちオレンジ色の炎を揺らめかせながら手紙は燃えていく。
「お姉様…」
燃える手紙をじっと見つめながらポツリと呟き、少しだけ泣いた。
そして手紙の内容を思い出し…私は思った。
フィリップ…貴方に会いたい―と。
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