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第32話 セシルとの会話
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「ふぅ…」
フィリップが部屋から立ち去り、緊張が解けて…気が付いた。
「あ、いけないわ…フィリップにお部屋を新しくして貰った事、伝え忘れていたわ。夕食の席でお礼を伝えなくちゃ…」
そしてこの夕食の席で、私は意外な事実を知ることになる―。
****
18時50分―
ダイニングルームに足を運ぶと、既にそこには椅子に腰かけたセシルの姿があった。彼は今夜の給仕を務めるロビンと談笑している最中だった。
「…こんばんは、セシル」
声を掛けると、すぐにセシルが振り向いた。
「こんばんは。今夜は夫婦2人のディナーの席にお邪魔させてもらうことになって悪かったね」
「いいのよ、そんな事気にしないで」
何しろ私とフィリップはどのみち、数えるほどしか一緒に食事をしていないのだから。
「それでは私は準備をしてまいりますので」
ロビンがダイニングルームを出ていくと、室内は私とセシルの2人きりになった。
「フィリップは…まだ来ていないのね?」
「ああ、兄さんは今手が離せなくて5分ほど遅れてくるって言ってたけど…」
不意にセシルは立ち上がり、私の方へ向かってくると至近距離で足を止めた。
「エルザ…」
そして真剣な目で私を見つめる。
「な、何?」
「一体何があったんだ?たった数日なのに…随分瘦せてしまったじゃないか?」
「え?そ、そうなの?自分ではあまり気づかなかったけど」
「何言ってるんだ?顔色だってあまりすぐれないみたいだし…一体何があったんだよ?」
「何がって…」
言えない、言えるはずがない。私とフィリップの関係で悩んで食欲が沸かないなんて事、セシルには…。
「最近、少しおなかの調子が良くなくて…それで食欲が落ちてしまったからよ」
「…本当に?本当にそれだけなのか?」
突然セシルが私の右頬に手を触れてきた。
その時―。
「何をしているんだい?2人とも」
突然背後でフィリップの声が聞こえ、私とセシルは同時に振り向いた。
見るとそこには扉のすぐそばに立って、こちらをじっと見つめるフィリップと…その背後にはロビンがいた。
「いいえ、何でもないわ。ちょっと2人で話をしていただけなの。そうよね?セシル」
何故かフィリップの視線が非難めいた視線に見えたので、慌ててて取り繕うように言った。
「そうだよ。さて、兄さんも来たことだし…席に着こうかな」
「ええ、そうね」
私とセシルはすぐに距離を置き、席に着席した。
「…」
少しの間、無言だったフィリップは上座席に座ると、すぐに給仕のロビンが食事を並べ始め…すぐにセシルが私に声を掛けてきた。
「あれ?エルザ。君の食事はそれだけなのかい?」
フィリップは私の前に置かれたお野菜の入ったクリームシチューとマッシュポテトを見ながら尋ねてきた。
「ええ。そうなの。少しお腹の調子が良くないからお医者様から消化の良い食べ物をとるように言われているのよ」
「そうなのか…何だか悪いな。俺たちだけでご馳走食べて…」
見るとフィリップとセシルの前には魚料理やお肉料理、カクテルサラダ等10種類程の料理が並べられている。
「エルザも体調が良くなれば元通り食べることが出来るようになるだろう」
フィリップの言葉にすぐ返事をした。
「ええ、本当にそうね。早く治さなくちゃね」
「…それではごゆっくりお召し上がり下さい」
給仕を終えたロビンは頭を下げると、急ぎ足で部屋を出ていった。…きっと気詰まりだったのだろう。
何だか私のせいで彼には悪いことをしてしまった。…私があまり食事を取ることが出来ないせいで…。
「よし、それじゃ頂こうか」
「ええ」
「そうだね」
フィリップが声を掛け、私達3人の晩餐会が始まった―。
フィリップが部屋から立ち去り、緊張が解けて…気が付いた。
「あ、いけないわ…フィリップにお部屋を新しくして貰った事、伝え忘れていたわ。夕食の席でお礼を伝えなくちゃ…」
そしてこの夕食の席で、私は意外な事実を知ることになる―。
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18時50分―
ダイニングルームに足を運ぶと、既にそこには椅子に腰かけたセシルの姿があった。彼は今夜の給仕を務めるロビンと談笑している最中だった。
「…こんばんは、セシル」
声を掛けると、すぐにセシルが振り向いた。
「こんばんは。今夜は夫婦2人のディナーの席にお邪魔させてもらうことになって悪かったね」
「いいのよ、そんな事気にしないで」
何しろ私とフィリップはどのみち、数えるほどしか一緒に食事をしていないのだから。
「それでは私は準備をしてまいりますので」
ロビンがダイニングルームを出ていくと、室内は私とセシルの2人きりになった。
「フィリップは…まだ来ていないのね?」
「ああ、兄さんは今手が離せなくて5分ほど遅れてくるって言ってたけど…」
不意にセシルは立ち上がり、私の方へ向かってくると至近距離で足を止めた。
「エルザ…」
そして真剣な目で私を見つめる。
「な、何?」
「一体何があったんだ?たった数日なのに…随分瘦せてしまったじゃないか?」
「え?そ、そうなの?自分ではあまり気づかなかったけど」
「何言ってるんだ?顔色だってあまりすぐれないみたいだし…一体何があったんだよ?」
「何がって…」
言えない、言えるはずがない。私とフィリップの関係で悩んで食欲が沸かないなんて事、セシルには…。
「最近、少しおなかの調子が良くなくて…それで食欲が落ちてしまったからよ」
「…本当に?本当にそれだけなのか?」
突然セシルが私の右頬に手を触れてきた。
その時―。
「何をしているんだい?2人とも」
突然背後でフィリップの声が聞こえ、私とセシルは同時に振り向いた。
見るとそこには扉のすぐそばに立って、こちらをじっと見つめるフィリップと…その背後にはロビンがいた。
「いいえ、何でもないわ。ちょっと2人で話をしていただけなの。そうよね?セシル」
何故かフィリップの視線が非難めいた視線に見えたので、慌ててて取り繕うように言った。
「そうだよ。さて、兄さんも来たことだし…席に着こうかな」
「ええ、そうね」
私とセシルはすぐに距離を置き、席に着席した。
「…」
少しの間、無言だったフィリップは上座席に座ると、すぐに給仕のロビンが食事を並べ始め…すぐにセシルが私に声を掛けてきた。
「あれ?エルザ。君の食事はそれだけなのかい?」
フィリップは私の前に置かれたお野菜の入ったクリームシチューとマッシュポテトを見ながら尋ねてきた。
「ええ。そうなの。少しお腹の調子が良くないからお医者様から消化の良い食べ物をとるように言われているのよ」
「そうなのか…何だか悪いな。俺たちだけでご馳走食べて…」
見るとフィリップとセシルの前には魚料理やお肉料理、カクテルサラダ等10種類程の料理が並べられている。
「エルザも体調が良くなれば元通り食べることが出来るようになるだろう」
フィリップの言葉にすぐ返事をした。
「ええ、本当にそうね。早く治さなくちゃね」
「…それではごゆっくりお召し上がり下さい」
給仕を終えたロビンは頭を下げると、急ぎ足で部屋を出ていった。…きっと気詰まりだったのだろう。
何だか私のせいで彼には悪いことをしてしまった。…私があまり食事を取ることが出来ないせいで…。
「よし、それじゃ頂こうか」
「ええ」
「そうだね」
フィリップが声を掛け、私達3人の晩餐会が始まった―。
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