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第29話 私へのプレゼント?
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女医のシャロン先生が去った後、今日出掛ける前にチャールズさんから手渡されたカスミソウの刺繍入りの長財布をショルダーバッグから取り出した。
「けれど驚いたわ…まさかお財布の中に10万ペソも入れてくれたなんて…。私には贅沢すぎるわ」
本日、使ったお金は馬車代で2500ペソ。フィリップに買った本代が4200ペソ。そして私が買ったハーブティーの2000ペソ…ただそれだけだった。
「余ったお金…フィリップに返した方がいいわよね…」
その時―。
コンコン
扉をノックする音と共に、クララの声が聞こえた。
『エルザ様、お食事をお持ちしました』
「はい、どうぞ」
声をかけるとすぐに扉が開かれ、クララが姿を現した。
「失礼致します。エルザ様」
クララはワゴンテーブルを押しながら部屋に入ってきた。
「エルザ様、申し訳ございません…先程シャロン先生のお話で本日の夕食のメニューが変更になってしまいました。折角エルザ様のお好きなメニューだったのに…ご用意することが出来ませんでした。その代わりに本日はオートミールのミルク粥に致しました」
申し訳なさ気にクララが頭を下げきた。
「あら?そんなことで謝らないで?私、ミルク粥…私は好きよ?それにシャロン先生だって胃の痛みが引くまでは消化の良い食べものを口にするようにと仰っていたのだから」
「そう言って頂けると嬉しいです。それではテーブルの上に置かせて頂きますね?」
「ええ、ありがとう」
クララはさらに、ハーブティーを淹れてくれた。
「それでは失礼致します」
食事をテーブルの上に置いたクララが頭を下げて退室しようとした時、私は彼女を呼び止めた。
「あ、ちょっと待ってくれる?」
「はい、何でしょうか?」
「あの…ね、これをフィリップに返して置いてもらえるかしら」
私はクララに長財布を差し出した。
「あ、このお財布はフィリップ様からのプレゼントですね?」
クララが嬉しそうに言う。
え?プレゼント?
「カスミソウはエルザ様の誕生花だからと言って、フィリップ様が選ばれて…あ!」
私の顔に怪訝そうな表情が浮かんでいる事に気付いたのか、クララが慌てたように言った。
「す、すみません!い、今の話…わ、私の思い違いだったみたいですっ!どうか忘れて下さいっ!」
必死になって私に頭を下げてくるクララ。
やっぱり…。
この離れの人達は…フィリップを初めとして、彼自信が私に何かしてくれたことを何故か必死になって隠そうとしている。
一体何故…?
だけど、私はそれを問い詰めることはしない。そんな事をしてフィリップにますます嫌われたくないし、何より…こんなに私に良くしてくれる使用人の人達を困らせたくはないから。
だから私は何も気づかないフリをする。
「ええ、分かったわ。それで、今日頂いたお小遣いが余ったのでフィリップに返して置いて貰えるかしら?」
「い、いえ。それはどうぞご自由にお使い下さい。フィリップ様からエルザ様にそう伝えるように言いつかっておりますので」
「え…でも、いいのかしら…。こんなに沢山お小遣い頂いて…」
どのみち、私には殆どお金の使い道は無いのに…。
「いいえ、どうぞ遠慮なさらないで下さい。エルザ様はフィリップ様の奥様なのですから」
奥様…その言葉はやはり私には似合わない。
「そう?それではありがたく受け取っておくわ」
複雑な気持ちを押し殺し、返事をする。
「ええ、是非そうなさって下さい。それでは失礼致します」
クララは頭を下げると、今度こそ部屋を出て行った。
「…さて、頂きましょう」
そして、私は1人…自室で食事を開始した。
****
「…ふぅ…何とか食べ終える事が出来たわ…」
食事を始めて30分後―。
何とか全ての食事を食べ終えると、テーブルの上に乗った財布を見つめた。
「ライティングデスクの上に置いておきましょう…」
財布を持つと、窓際に置かれたライティングデスクに移動し…あることに気がついた。
「あら…?ハンカチが無いわ…?」
確か、ここにフィリップに受け取って貰えなかったハンカチを乗せておいたのに何故か消えている。
「どこにいったのかしら…?」
その後、少しの間部屋のあちこちを探してみたけれども、結局ハンカチは見つからなかった。
「…無くしてしまったのかしら…?」
でも、どのみちフィリップから拒絶されたハンカチだ。あのハンカチを今後目にする度、つらい気持が蘇って来ることだろう。
「そのうち、何処かから出てくるかもしれないわよね…」
そのままライティングデスクに向かうと、毎日の日課である日記を書く事にした―。
「けれど驚いたわ…まさかお財布の中に10万ペソも入れてくれたなんて…。私には贅沢すぎるわ」
本日、使ったお金は馬車代で2500ペソ。フィリップに買った本代が4200ペソ。そして私が買ったハーブティーの2000ペソ…ただそれだけだった。
「余ったお金…フィリップに返した方がいいわよね…」
その時―。
コンコン
扉をノックする音と共に、クララの声が聞こえた。
『エルザ様、お食事をお持ちしました』
「はい、どうぞ」
声をかけるとすぐに扉が開かれ、クララが姿を現した。
「失礼致します。エルザ様」
クララはワゴンテーブルを押しながら部屋に入ってきた。
「エルザ様、申し訳ございません…先程シャロン先生のお話で本日の夕食のメニューが変更になってしまいました。折角エルザ様のお好きなメニューだったのに…ご用意することが出来ませんでした。その代わりに本日はオートミールのミルク粥に致しました」
申し訳なさ気にクララが頭を下げきた。
「あら?そんなことで謝らないで?私、ミルク粥…私は好きよ?それにシャロン先生だって胃の痛みが引くまでは消化の良い食べものを口にするようにと仰っていたのだから」
「そう言って頂けると嬉しいです。それではテーブルの上に置かせて頂きますね?」
「ええ、ありがとう」
クララはさらに、ハーブティーを淹れてくれた。
「それでは失礼致します」
食事をテーブルの上に置いたクララが頭を下げて退室しようとした時、私は彼女を呼び止めた。
「あ、ちょっと待ってくれる?」
「はい、何でしょうか?」
「あの…ね、これをフィリップに返して置いてもらえるかしら」
私はクララに長財布を差し出した。
「あ、このお財布はフィリップ様からのプレゼントですね?」
クララが嬉しそうに言う。
え?プレゼント?
「カスミソウはエルザ様の誕生花だからと言って、フィリップ様が選ばれて…あ!」
私の顔に怪訝そうな表情が浮かんでいる事に気付いたのか、クララが慌てたように言った。
「す、すみません!い、今の話…わ、私の思い違いだったみたいですっ!どうか忘れて下さいっ!」
必死になって私に頭を下げてくるクララ。
やっぱり…。
この離れの人達は…フィリップを初めとして、彼自信が私に何かしてくれたことを何故か必死になって隠そうとしている。
一体何故…?
だけど、私はそれを問い詰めることはしない。そんな事をしてフィリップにますます嫌われたくないし、何より…こんなに私に良くしてくれる使用人の人達を困らせたくはないから。
だから私は何も気づかないフリをする。
「ええ、分かったわ。それで、今日頂いたお小遣いが余ったのでフィリップに返して置いて貰えるかしら?」
「い、いえ。それはどうぞご自由にお使い下さい。フィリップ様からエルザ様にそう伝えるように言いつかっておりますので」
「え…でも、いいのかしら…。こんなに沢山お小遣い頂いて…」
どのみち、私には殆どお金の使い道は無いのに…。
「いいえ、どうぞ遠慮なさらないで下さい。エルザ様はフィリップ様の奥様なのですから」
奥様…その言葉はやはり私には似合わない。
「そう?それではありがたく受け取っておくわ」
複雑な気持ちを押し殺し、返事をする。
「ええ、是非そうなさって下さい。それでは失礼致します」
クララは頭を下げると、今度こそ部屋を出て行った。
「…さて、頂きましょう」
そして、私は1人…自室で食事を開始した。
****
「…ふぅ…何とか食べ終える事が出来たわ…」
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「…無くしてしまったのかしら…?」
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