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第22話 結婚後、初の外出
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午後2時―
「あの…フィリップに会う事は出来るかしら…?」
お腹に優しいお茶だからという事でハーブティーとはちみつクッキーを部屋に持ってきてくれたクララに恐る恐る尋ねてみた。
私は午後1時近くまで眠っていたようで、昼食をフィリップと一緒に食べることが出来なかったからだ。
「え…?フィリップ様とですか…?」
クララが困った顔で私を見る。
「ええ…」
本当なら私はフィリップの妻であるから、誰かの許可を得ること無く彼に会える立場なのに、こうやって誰かに尋ねなければならないのは正直…悲しかった。
「そうですか…フィリップ様と…」
クララが悩んでいる。親切にしてくれているのに、私は我儘を言って彼女を困らせてしまっている。
「あ、ご・ごめんなさい。やっぱりいいわ…。その代わり、伝えておいてくれないかしら。今日はこれから出掛けますって。18時までには帰って来ますって…駄目かしら?」
「いえ、分かりました。伝えておきますね」
「ええ、お願いね」
そして私は紅茶とクッキーを口に運んだ―。
****
外出着用の淡い茶色のロングワンピースに着替えるとハンドバックに日差しが強いので日傘を持つと呟いた。
「さて、出掛けましょう」
そして私は自室を出た。
長い廊下を歩いていると、フットマンのデイブに会った。
「エルザ様、お出かけですか?」
「ええ、でも18時までには戻ってくるから」
「そうですか。あの、お付きの者はいますか?」
「いいえ、いないわ」
するとその言葉にデイブは目を見開いた。
「なんですってっ?!エルザ様お1人で出掛けられるつもりですか?!」
「え、ええ…駄目かしら?」
「男爵家の奥様が供も付けずに外出なんて…ありえませんよ?」
「でも…この離れでは人の手が足りないわよね?」
私は思っていることを口にした。
「そ、それは確かにそうではありますが…」
「私1人の外出の為に人手を割くわけにはいかないでしょう?」
「ですが…」
「大丈夫よ。私は元平民、この歳で外出時にお供の人なんて連れないで歩いていたのよ?それに今のこの私の格好…貴族の奥様には見えないでしょう?」
「え、ええ…確かにそうは見えますが…あ、もしかすると馬車も使われないつもりですか?」
デイブが慌てたように尋ねてきた。
「ええ、勿論よ。通りに出たら辻馬車を拾うわ」
「エルザ様、馬車位お屋敷のをお使い下さい。なんでしたら私の方からジェイコブに馬車を出すように伝えましょうか?」
「え?いいのよ。そんな事しないで。だって馬車だってフィリップが使うかもしれないでしょう?」
「ですが、エルザ様が出掛けることをフィリップ様は承諾して下さっているのですよね?」
「…」
デイブの言葉に思わず俯いてしまった。
「もしかして…ご存知ないのですか?」
「あ、あのね…伝言はお願いしてあるのよ。きっと伝わっているでしょう」
「直接…会われていないのですね?」
デイブの私を見る目に同情が宿る。結婚してたった数日なのに、フィリップと私の不仲の話は使用人たち全員が知っている。
「ええ、フィリップも不必要に私とは会いたくないだろうし、それなのに無理に彼の貴重な時間を割いて貰うわけにもいかないでしょう?」
「…分かりました。それでは…お気をつけて行ってらっしゃいませ」
デイブが頭を下げてきた。
「ええ。それじゃ行ってくるわね」
そして私はデイブと分かれ、再びエントランスを目指した―。
「あの…フィリップに会う事は出来るかしら…?」
お腹に優しいお茶だからという事でハーブティーとはちみつクッキーを部屋に持ってきてくれたクララに恐る恐る尋ねてみた。
私は午後1時近くまで眠っていたようで、昼食をフィリップと一緒に食べることが出来なかったからだ。
「え…?フィリップ様とですか…?」
クララが困った顔で私を見る。
「ええ…」
本当なら私はフィリップの妻であるから、誰かの許可を得ること無く彼に会える立場なのに、こうやって誰かに尋ねなければならないのは正直…悲しかった。
「そうですか…フィリップ様と…」
クララが悩んでいる。親切にしてくれているのに、私は我儘を言って彼女を困らせてしまっている。
「あ、ご・ごめんなさい。やっぱりいいわ…。その代わり、伝えておいてくれないかしら。今日はこれから出掛けますって。18時までには帰って来ますって…駄目かしら?」
「いえ、分かりました。伝えておきますね」
「ええ、お願いね」
そして私は紅茶とクッキーを口に運んだ―。
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外出着用の淡い茶色のロングワンピースに着替えるとハンドバックに日差しが強いので日傘を持つと呟いた。
「さて、出掛けましょう」
そして私は自室を出た。
長い廊下を歩いていると、フットマンのデイブに会った。
「エルザ様、お出かけですか?」
「ええ、でも18時までには戻ってくるから」
「そうですか。あの、お付きの者はいますか?」
「いいえ、いないわ」
するとその言葉にデイブは目を見開いた。
「なんですってっ?!エルザ様お1人で出掛けられるつもりですか?!」
「え、ええ…駄目かしら?」
「男爵家の奥様が供も付けずに外出なんて…ありえませんよ?」
「でも…この離れでは人の手が足りないわよね?」
私は思っていることを口にした。
「そ、それは確かにそうではありますが…」
「私1人の外出の為に人手を割くわけにはいかないでしょう?」
「ですが…」
「大丈夫よ。私は元平民、この歳で外出時にお供の人なんて連れないで歩いていたのよ?それに今のこの私の格好…貴族の奥様には見えないでしょう?」
「え、ええ…確かにそうは見えますが…あ、もしかすると馬車も使われないつもりですか?」
デイブが慌てたように尋ねてきた。
「ええ、勿論よ。通りに出たら辻馬車を拾うわ」
「エルザ様、馬車位お屋敷のをお使い下さい。なんでしたら私の方からジェイコブに馬車を出すように伝えましょうか?」
「え?いいのよ。そんな事しないで。だって馬車だってフィリップが使うかもしれないでしょう?」
「ですが、エルザ様が出掛けることをフィリップ様は承諾して下さっているのですよね?」
「…」
デイブの言葉に思わず俯いてしまった。
「もしかして…ご存知ないのですか?」
「あ、あのね…伝言はお願いしてあるのよ。きっと伝わっているでしょう」
「直接…会われていないのですね?」
デイブの私を見る目に同情が宿る。結婚してたった数日なのに、フィリップと私の不仲の話は使用人たち全員が知っている。
「ええ、フィリップも不必要に私とは会いたくないだろうし、それなのに無理に彼の貴重な時間を割いて貰うわけにもいかないでしょう?」
「…分かりました。それでは…お気をつけて行ってらっしゃいませ」
デイブが頭を下げてきた。
「ええ。それじゃ行ってくるわね」
そして私はデイブと分かれ、再びエントランスを目指した―。
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