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第14話 時間を持て余す私
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結局、その後頑張って朝食を食べようとしたものの…ほんの数口しか口にする事が出来なかった。
「仕方ないわね…料理を要してくれた厨房の人達には申し訳ないけれども、食べられないのだから。これからはもっと量を減らしてもらうようにしましょう」
1人きりのダイニングルームでポツリと呟くと席を立ち、私は自分の部屋へ戻ることにした―。
****
「嫁いできたのはいいけれど…私はこれから何をすればいいのかしら…」
椅子を窓際に寄せて窓から見える広々とした美しい庭園を見ながらポツリと呟いた。
部屋に戻った私はこれから何をするべきか全く分からなかった。
男爵家に嫁いだのだから、領地の事について学ぶべきこともあるはずだ。またそれ以外には貴族間の社交活動もあるのだろう。
本来であれば結婚式の時に、招待状を送っていれば、どのような貴族の方々と交流があるのか把握することが出来たはずだった。けれど私達の結婚式には親族だけしか参列していない。
だからどのような貴族の方々と交流があるのか全く私には分からなかった。
「それにしても…虚しい結婚式だったわ…」
思わずため息が漏れてしまう。
式は結婚証明書のサインと指輪の交換のみで、夫婦としての誓いの言葉すら交わさなかった。誓いの言葉を交わさなかったのはフィリップからの提案だったからだ。
結婚式の内容を決める時、フィリップは私にこう言ったのだ。
『誓いの言葉なんか交わす必要は無いだろう?』
その言葉を聞いた時、私は愚かにも前向きな考えとして捉えてしまった。
<私達の絆は永遠に続くものだから、誓いの言葉は必要無い>
そういう意味合いだと思っていたのだ。けれども実際は言葉通りの意味だった。
フィリップは単に私と夫婦の誓いを交わしたく無かっただけだったのだ。
そこまで回想していた時…私にある1つの考えが浮かんだ。
「そうだわ…白いハンカチにフィリップの名前のイニシャルと家紋を刺繍してプレゼントしたら受け取ってくれるかしら?」
刺繍なら時間を潰すのにもってこいだ。それに私は刺繍をするのが好きで、良く家族や友人達からもその腕前を褒められていた。
「早速刺繍を初めましょう」
椅子から立ち上がり、チェストの中にしまっておいた刺繍セットの入った籐製のカゴを取り出した。そして部屋の中央に置かれた丸テーブルに移動すると早速刺繍を始めた―。
カチコチカチコチ…
静かな部屋に時計が時を刻む音だけが響き渡る。私は1人、一心不乱になって刺繍をしていると、不意に扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
「誰かしら?」
縫いかけの刺繍をテーブルの上に載せ、扉に向かって声を掛けた。
「はい、どなたですか?」
すると扉の奥から声が聞こえた。
『俺だよ、セシルだ』
「え?セシル?」
そうだった。セシルが来ることになっていたのを忘れていた。
「ああ、セシルね?どうぞ中へ入って」
するとカチャリと扉が開かれて、セシルが部屋の中に入ってきた。
「いらっしゃい、セシル」
私はセシルに声を掛けた。
「エルザ。君に大事な話があって来たんだ。…時間貰えるだろう?」
セシルは私を見下ろしながら尋ねてきた。
「ええ、大丈夫よ。特にする事もなかったから…刺繍をしていた所だったの」
すると、何が気に入らなかったのか、私の言葉にセシルの眉が上がった―。
「仕方ないわね…料理を要してくれた厨房の人達には申し訳ないけれども、食べられないのだから。これからはもっと量を減らしてもらうようにしましょう」
1人きりのダイニングルームでポツリと呟くと席を立ち、私は自分の部屋へ戻ることにした―。
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「嫁いできたのはいいけれど…私はこれから何をすればいいのかしら…」
椅子を窓際に寄せて窓から見える広々とした美しい庭園を見ながらポツリと呟いた。
部屋に戻った私はこれから何をするべきか全く分からなかった。
男爵家に嫁いだのだから、領地の事について学ぶべきこともあるはずだ。またそれ以外には貴族間の社交活動もあるのだろう。
本来であれば結婚式の時に、招待状を送っていれば、どのような貴族の方々と交流があるのか把握することが出来たはずだった。けれど私達の結婚式には親族だけしか参列していない。
だからどのような貴族の方々と交流があるのか全く私には分からなかった。
「それにしても…虚しい結婚式だったわ…」
思わずため息が漏れてしまう。
式は結婚証明書のサインと指輪の交換のみで、夫婦としての誓いの言葉すら交わさなかった。誓いの言葉を交わさなかったのはフィリップからの提案だったからだ。
結婚式の内容を決める時、フィリップは私にこう言ったのだ。
『誓いの言葉なんか交わす必要は無いだろう?』
その言葉を聞いた時、私は愚かにも前向きな考えとして捉えてしまった。
<私達の絆は永遠に続くものだから、誓いの言葉は必要無い>
そういう意味合いだと思っていたのだ。けれども実際は言葉通りの意味だった。
フィリップは単に私と夫婦の誓いを交わしたく無かっただけだったのだ。
そこまで回想していた時…私にある1つの考えが浮かんだ。
「そうだわ…白いハンカチにフィリップの名前のイニシャルと家紋を刺繍してプレゼントしたら受け取ってくれるかしら?」
刺繍なら時間を潰すのにもってこいだ。それに私は刺繍をするのが好きで、良く家族や友人達からもその腕前を褒められていた。
「早速刺繍を初めましょう」
椅子から立ち上がり、チェストの中にしまっておいた刺繍セットの入った籐製のカゴを取り出した。そして部屋の中央に置かれた丸テーブルに移動すると早速刺繍を始めた―。
カチコチカチコチ…
静かな部屋に時計が時を刻む音だけが響き渡る。私は1人、一心不乱になって刺繍をしていると、不意に扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
「誰かしら?」
縫いかけの刺繍をテーブルの上に載せ、扉に向かって声を掛けた。
「はい、どなたですか?」
すると扉の奥から声が聞こえた。
『俺だよ、セシルだ』
「え?セシル?」
そうだった。セシルが来ることになっていたのを忘れていた。
「ああ、セシルね?どうぞ中へ入って」
するとカチャリと扉が開かれて、セシルが部屋の中に入ってきた。
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すると、何が気に入らなかったのか、私の言葉にセシルの眉が上がった―。
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