7 / 204
第6話 私の初恋とフィリップの恋
しおりを挟む
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ」
フィリップは私の顔を見ることも無く言い切った。
「え…?」
あまりの言葉に頭が追いつかなかった。するとフィリップは部屋の中央に置かれた丸テーブルへと向かった。そこには大きめの茶封筒が乗っている。
「…?」
様子をうかがっているとフィリップは茶封筒を手に私の元へと戻って来ると差し出してきた。
「これを預けておくから、離婚する気になったら僕の代わりに提出してくれ」
「な、何…?」
震える手で封筒を受け取り、中から書類を取り出すと出てきたのは…。
「え…?り、離婚届け…?」
あまりのショックで言葉が出てこない。するとフィリップは言った。
「エルザ…君だって良く知っているじゃないか。僕が好きな女性はローズだって事位…」
「ローズ…お姉様…?だって、お姉さまはもう…」
私はその名を口にした―。
****
私には3歳年上の姉がいる。
姉の名前はローズ。その名の通り、とても美しい人だった。
プラチナブロンドの巻毛に紫色の瞳…薔薇色の肌にピンク色の唇。
まさに絶世の美女と言っても過言では無かった。
私達家族は平民だったけれども、姉の美貌は王侯貴族にまで届く程で、数多くの求婚者が現れたが、どれ程身分が高い相手にも姉は首を縦にふることは無かった。何故なら…姉には恋人がいたからだ。
子供時代からの幼馴染であり…その人物が今、私の目の前に立っているフィリップだった。
姉とフィリプは結婚の約束をしていたが…その約束は1年前に突然破られることになる。
姉に好きな人が現れたからだ。
その男性は他の国から来た旅人で、偶然出会った2人はその場で恋に落ち…あっという間に結婚の話にまで飛躍した。
けれど、フィリップと姉は既に半年後に結婚することが決まっており、両家は猛反対した。何しろフィリップは男爵家の長男であり、片や我が家は名門商家とは言えども所詮はただの平民なのだ。
そこで両家は強引に姉と男性を別れさせようとしたのだが…ついに姉は恋人と一緒に駆け落ちしてしまい、行方をくらましてしまった。
子供の頃からずっと姉を一途に好きだったフィリップの嘆きは凄まじく…一時は命を断ってしまうのではないかと思われた。
彼の両親は姉の事は諦め、結婚適齢期のフィリップを何とか結婚させる為に様々な縁談を持ち込んだ。
けれど、姉のことをどうしても忘れることが出来なかったフィリップは頑なに縁談を断り続け…ついにアンバー家はフィリップの結婚相手に私を指名してきたのだ。
子供の頃から、妹のように可愛がっていたローズの妹ならフィリップも結婚を考えるのではないか…というのがアンバー家の考えだった。
私は子供の頃からずっとフィリップのことが好きだった。だから当然断るという選択肢は存在しなかった。
又、両親も姉がフィリップとの結婚を目前に見知らぬ若者と駆け落ちをしてしまったことに対し、負い目があった。
その為、アンバー家からの申し出を受け入れたのだった。
こうして両者の利害関係は一致した。
…ただ1人、最後までこの結婚に反対している人物を除いて。
だから私は説得した。
どうしてもフィリップと結婚したいという胸の内を明かしたところ…その人は最終的に納得してくれた。
そして私とフィリップの結婚話はトントン拍子に進み…本日結婚するに至ったのだが…。
まさか、結婚した当日に離婚届を渡されるなんて…。
****
「そ、そんな…嘘よね…?フィリップ…」
声を震わせながら私はフィリップに尋ねた。
「嘘じゃないよ。本気だ」
フィリップはこの時、始めて私と目を合わせた―。
フィリップは私の顔を見ることも無く言い切った。
「え…?」
あまりの言葉に頭が追いつかなかった。するとフィリップは部屋の中央に置かれた丸テーブルへと向かった。そこには大きめの茶封筒が乗っている。
「…?」
様子をうかがっているとフィリップは茶封筒を手に私の元へと戻って来ると差し出してきた。
「これを預けておくから、離婚する気になったら僕の代わりに提出してくれ」
「な、何…?」
震える手で封筒を受け取り、中から書類を取り出すと出てきたのは…。
「え…?り、離婚届け…?」
あまりのショックで言葉が出てこない。するとフィリップは言った。
「エルザ…君だって良く知っているじゃないか。僕が好きな女性はローズだって事位…」
「ローズ…お姉様…?だって、お姉さまはもう…」
私はその名を口にした―。
****
私には3歳年上の姉がいる。
姉の名前はローズ。その名の通り、とても美しい人だった。
プラチナブロンドの巻毛に紫色の瞳…薔薇色の肌にピンク色の唇。
まさに絶世の美女と言っても過言では無かった。
私達家族は平民だったけれども、姉の美貌は王侯貴族にまで届く程で、数多くの求婚者が現れたが、どれ程身分が高い相手にも姉は首を縦にふることは無かった。何故なら…姉には恋人がいたからだ。
子供時代からの幼馴染であり…その人物が今、私の目の前に立っているフィリップだった。
姉とフィリプは結婚の約束をしていたが…その約束は1年前に突然破られることになる。
姉に好きな人が現れたからだ。
その男性は他の国から来た旅人で、偶然出会った2人はその場で恋に落ち…あっという間に結婚の話にまで飛躍した。
けれど、フィリップと姉は既に半年後に結婚することが決まっており、両家は猛反対した。何しろフィリップは男爵家の長男であり、片や我が家は名門商家とは言えども所詮はただの平民なのだ。
そこで両家は強引に姉と男性を別れさせようとしたのだが…ついに姉は恋人と一緒に駆け落ちしてしまい、行方をくらましてしまった。
子供の頃からずっと姉を一途に好きだったフィリップの嘆きは凄まじく…一時は命を断ってしまうのではないかと思われた。
彼の両親は姉の事は諦め、結婚適齢期のフィリップを何とか結婚させる為に様々な縁談を持ち込んだ。
けれど、姉のことをどうしても忘れることが出来なかったフィリップは頑なに縁談を断り続け…ついにアンバー家はフィリップの結婚相手に私を指名してきたのだ。
子供の頃から、妹のように可愛がっていたローズの妹ならフィリップも結婚を考えるのではないか…というのがアンバー家の考えだった。
私は子供の頃からずっとフィリップのことが好きだった。だから当然断るという選択肢は存在しなかった。
又、両親も姉がフィリップとの結婚を目前に見知らぬ若者と駆け落ちをしてしまったことに対し、負い目があった。
その為、アンバー家からの申し出を受け入れたのだった。
こうして両者の利害関係は一致した。
…ただ1人、最後までこの結婚に反対している人物を除いて。
だから私は説得した。
どうしてもフィリップと結婚したいという胸の内を明かしたところ…その人は最終的に納得してくれた。
そして私とフィリップの結婚話はトントン拍子に進み…本日結婚するに至ったのだが…。
まさか、結婚した当日に離婚届を渡されるなんて…。
****
「そ、そんな…嘘よね…?フィリップ…」
声を震わせながら私はフィリップに尋ねた。
「嘘じゃないよ。本気だ」
フィリップはこの時、始めて私と目を合わせた―。
345
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる