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第4話 不吉な予感
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チャールズさんに連れられて、エントランスを通り抜けた時に思わずため息がもれてしまった。
「どうされましたか?エルザ様」
前を歩くチャールズさんが心配そうな表情を浮かべて振り返った。
「いいえ、何でもありません。どうか気にしないで下さい」
「はい…分りました。それではこちらのお部屋ですが…」
チャールズさんは屋敷の説明を始めたけれども、私の頭には少しも入っては来なかった。
何故なら全く別の事を考えていたから―。
****
私にはフィリップとの結婚式で、ささやかな夢があった。
それは結婚式を挙げた後の夢。
2人揃って新郎新婦の衣装姿のまま、大勢の参列者達から祝福されて馬車に乗る。そして新居へ到着すると、フィリップは花嫁の私を抱きかかえて屋敷の中へ2人で入る。
そんなささやかな夢を―。
花嫁は花婿に抱きかかえられて家に入ると一生幸せに暮らす事が出来ると言う、昔から伝わる言い伝えを信じ、夢にまで描いていたと言うのに…現実はどうだろう?
参列者は身内だけ、結婚パーティーも開かない指輪の交換と結婚証明のサイン。
直ぐにウェディングドレスを着替えるように言われ、エスコートすらしてくれない。馬車の中では私とは余計な会話をしたくないと拒絶された。
降りる時ですら手を貸してはくれずに…せめてほんの少しでも私の事を思ってくれるなら、使用人の人達の前で位は私を尊重して欲しかった。けれど彼はそれすらしてはくれなかった。
そして今、私は執事のチャールズさんと屋敷へ入り…部屋の説明を受けている。
結婚したばかりなのに、早くも私の心は折れそうになっていた。
だけど、それでも私はフィリップの事が―。
****
「…あの、奥様?大丈夫ですか?」
不意に話しかけられて我に返った。
「あ!す、すみません!」
慌ててチャールズさんを見ると、心配そうな眼差しで私をみつめている。
「大丈夫ですか?奥様…何やら先程から思いつめた表情をされておりましたが…」
「いえ、大丈夫です。すみません…ご心配おかけしてしまって…」
心配かけさせないように無理に笑みを作った。
「ですが、先程から顔色が悪いようにお見受けします。他のお部屋の案内はまた後日にしましょう。まずは先に奥様のお部屋にご案内致しますね」
チャールズさんの言葉はありがたかった。
「お気遣い、ありがとうございます」
「いいえ、では参りましょう」
「はい」
そしてチャールズさんは残りの部屋は後回しに、私の部屋へと案内してくれた。
「こちらが奥様のお部屋になります」
案内してくれた部屋の扉は白を基調とし、薔薇のレリーフが埋め込まれていた。
その薔薇を目にした途端、私は胸がズキリと痛んだ。
(まさか…)
「奥様?如何されましたか?」
チャールズさんが首をかしげて来た。
「い、いえ。とても美しい扉だと思いまして」
するとチャールズさんは得意げに言った。
「ええ、そうでしょうとも。何しろこの扉はフィリップ様が奥様の為にと、わざわざ腕の良い職人に作らせた特注の扉なのですから」
「そう…だったのですね」
その話に眩暈が起こりそうになった。立っている足が自分でも小刻みに震えているのが分る。
(駄目よ…平静を保たなくちゃ…チャールズさんを心配させてしまうわ…)
私は自分に必死に言い聞かせた。
「エルザ様がきっと気に入られるお部屋だと思いますよ?」
笑みを浮かべながらチャールズさんは部屋の扉を開けた―。
「どうされましたか?エルザ様」
前を歩くチャールズさんが心配そうな表情を浮かべて振り返った。
「いいえ、何でもありません。どうか気にしないで下さい」
「はい…分りました。それではこちらのお部屋ですが…」
チャールズさんは屋敷の説明を始めたけれども、私の頭には少しも入っては来なかった。
何故なら全く別の事を考えていたから―。
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私にはフィリップとの結婚式で、ささやかな夢があった。
それは結婚式を挙げた後の夢。
2人揃って新郎新婦の衣装姿のまま、大勢の参列者達から祝福されて馬車に乗る。そして新居へ到着すると、フィリップは花嫁の私を抱きかかえて屋敷の中へ2人で入る。
そんなささやかな夢を―。
花嫁は花婿に抱きかかえられて家に入ると一生幸せに暮らす事が出来ると言う、昔から伝わる言い伝えを信じ、夢にまで描いていたと言うのに…現実はどうだろう?
参列者は身内だけ、結婚パーティーも開かない指輪の交換と結婚証明のサイン。
直ぐにウェディングドレスを着替えるように言われ、エスコートすらしてくれない。馬車の中では私とは余計な会話をしたくないと拒絶された。
降りる時ですら手を貸してはくれずに…せめてほんの少しでも私の事を思ってくれるなら、使用人の人達の前で位は私を尊重して欲しかった。けれど彼はそれすらしてはくれなかった。
そして今、私は執事のチャールズさんと屋敷へ入り…部屋の説明を受けている。
結婚したばかりなのに、早くも私の心は折れそうになっていた。
だけど、それでも私はフィリップの事が―。
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「…あの、奥様?大丈夫ですか?」
不意に話しかけられて我に返った。
「あ!す、すみません!」
慌ててチャールズさんを見ると、心配そうな眼差しで私をみつめている。
「大丈夫ですか?奥様…何やら先程から思いつめた表情をされておりましたが…」
「いえ、大丈夫です。すみません…ご心配おかけしてしまって…」
心配かけさせないように無理に笑みを作った。
「ですが、先程から顔色が悪いようにお見受けします。他のお部屋の案内はまた後日にしましょう。まずは先に奥様のお部屋にご案内致しますね」
チャールズさんの言葉はありがたかった。
「お気遣い、ありがとうございます」
「いいえ、では参りましょう」
「はい」
そしてチャールズさんは残りの部屋は後回しに、私の部屋へと案内してくれた。
「こちらが奥様のお部屋になります」
案内してくれた部屋の扉は白を基調とし、薔薇のレリーフが埋め込まれていた。
その薔薇を目にした途端、私は胸がズキリと痛んだ。
(まさか…)
「奥様?如何されましたか?」
チャールズさんが首をかしげて来た。
「い、いえ。とても美しい扉だと思いまして」
するとチャールズさんは得意げに言った。
「ええ、そうでしょうとも。何しろこの扉はフィリップ様が奥様の為にと、わざわざ腕の良い職人に作らせた特注の扉なのですから」
「そう…だったのですね」
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(駄目よ…平静を保たなくちゃ…チャールズさんを心配させてしまうわ…)
私は自分に必死に言い聞かせた。
「エルザ様がきっと気に入られるお部屋だと思いますよ?」
笑みを浮かべながらチャールズさんは部屋の扉を開けた―。
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