166 / 221
第166話 結果発表
しおりを挟む
今日はエディットと2人、正門で馬車を降りると一緒に門をくぐり抜けた。
エディットが一緒に試験結果を見に行きたいとお願いしてきたからだ。
「う~ん……でも、大丈夫かな?」
2人で手を繋ぎ、試験結果が張り出されている掲示板目指して歩きながらつい不安が口をついて出てしまった。
「大丈夫ですよ。自信を持って下さい」
エディットが笑顔で話しかけてくる。
「だけどいいの?学院の敷地内で僕と手を繋いで歩いたりして……。Aクラスの人に見られたら、また何か言われたりするんじゃないのかい?」
この間みたいな辛そうな表情をエディットにさせたくはなかった。
「平気です。もう二度と言われることはないと思いますから」
どうやらエディットは絶対的な自信があるようだ。だとしたら僕も自分を信じよう。
「そうだね。それじゃ掲示板を見に行こうか?」
「はい」
そして僕達は試験結果が貼り出されている講堂へと向かった。
**
『エステル学院』の敷地には広々とした芝生広場があり、まるでモナコ大聖堂のような立派な講堂がある。
講堂の正面入り口に掲示板が張り出され、試験結果を見る為に多くの学生達で溢れかえっていた。
「うわ~凄い人混みだな……」
大勢の学生たちが集まって、試験結果を見て一喜一憂している姿がそこにはあった。
「そうですね。今回の試験は全校生徒一斉に学年ごとに全員の試験結果が貼り出されていますからね」
「そうなんだ……。それじゃエディット。見に行こう?」
「はい」
僕とエディットは改めてしっかり手をつなぎ直すと、人混みをかき分けて掲示板へと向かった。
そして……。
「アドルフ様!見て下さい!」
エディットが興奮気味に僕に呼びかけている。
「う、うん……見ているよ……」
僕は信じられない気持ちで試験結果を見つめていた。驚いたことに、僕の試験結果は何と3位だったのだ。
1位は当然エディットだった。2位はセドリック、そして僕が3位でサチは6位だった。
「まさか、こんなに好成績が取れるなんて……」
呆然としている僕にエディットは嬉しそうに話しかけている。
「だから言ったじゃないですか。絶対に大丈夫だって?でも……これで一緒のクラスに……なれますね?」
エディットは顔を赤らめながら僕を見上げてくる。
「エディット……」
その時――。
「「アドルフ!」」
背後から声を掛けられ、振り向くとそこに立っていたのはエミリオとラモンだった。
「エミリオ、ラモン……」
「おめでとう、アドルフ。これで来学期から別々のクラスだな」
少し寂しげにエミリオが話しかけてきた。
「お前ならやれると思ったよ。元々は頭が良かったんだろう?ブラッドリーが言っていたからな。自分に気を聞かせて、わざとお前は勉強するのをやめたってさ」
ラモンの言葉がずしりと胸に響く。
「ブラッドリーが、そんなことを……?」
ブラッドリーは全て……気付いていたんだ。
「アドルフ様……」
エディットが心配そうに僕に声を掛けてきた。
「悪い、折角婚約者と一緒だったのを邪魔したな」
「俺たちは追試決定だよ。それじゃあまた後でな。これから追試組の呼び出しがあるんだよ」
エミリオとラモンはそれだけ言うと、背を向けて去って行った。
「エディット、試験結果も見たし……僕達も教室に戻ろうか?」
「はい」
エディットは笑顔で返事をした――。
エディットが一緒に試験結果を見に行きたいとお願いしてきたからだ。
「う~ん……でも、大丈夫かな?」
2人で手を繋ぎ、試験結果が張り出されている掲示板目指して歩きながらつい不安が口をついて出てしまった。
「大丈夫ですよ。自信を持って下さい」
エディットが笑顔で話しかけてくる。
「だけどいいの?学院の敷地内で僕と手を繋いで歩いたりして……。Aクラスの人に見られたら、また何か言われたりするんじゃないのかい?」
この間みたいな辛そうな表情をエディットにさせたくはなかった。
「平気です。もう二度と言われることはないと思いますから」
どうやらエディットは絶対的な自信があるようだ。だとしたら僕も自分を信じよう。
「そうだね。それじゃ掲示板を見に行こうか?」
「はい」
そして僕達は試験結果が貼り出されている講堂へと向かった。
**
『エステル学院』の敷地には広々とした芝生広場があり、まるでモナコ大聖堂のような立派な講堂がある。
講堂の正面入り口に掲示板が張り出され、試験結果を見る為に多くの学生達で溢れかえっていた。
「うわ~凄い人混みだな……」
大勢の学生たちが集まって、試験結果を見て一喜一憂している姿がそこにはあった。
「そうですね。今回の試験は全校生徒一斉に学年ごとに全員の試験結果が貼り出されていますからね」
「そうなんだ……。それじゃエディット。見に行こう?」
「はい」
僕とエディットは改めてしっかり手をつなぎ直すと、人混みをかき分けて掲示板へと向かった。
そして……。
「アドルフ様!見て下さい!」
エディットが興奮気味に僕に呼びかけている。
「う、うん……見ているよ……」
僕は信じられない気持ちで試験結果を見つめていた。驚いたことに、僕の試験結果は何と3位だったのだ。
1位は当然エディットだった。2位はセドリック、そして僕が3位でサチは6位だった。
「まさか、こんなに好成績が取れるなんて……」
呆然としている僕にエディットは嬉しそうに話しかけている。
「だから言ったじゃないですか。絶対に大丈夫だって?でも……これで一緒のクラスに……なれますね?」
エディットは顔を赤らめながら僕を見上げてくる。
「エディット……」
その時――。
「「アドルフ!」」
背後から声を掛けられ、振り向くとそこに立っていたのはエミリオとラモンだった。
「エミリオ、ラモン……」
「おめでとう、アドルフ。これで来学期から別々のクラスだな」
少し寂しげにエミリオが話しかけてきた。
「お前ならやれると思ったよ。元々は頭が良かったんだろう?ブラッドリーが言っていたからな。自分に気を聞かせて、わざとお前は勉強するのをやめたってさ」
ラモンの言葉がずしりと胸に響く。
「ブラッドリーが、そんなことを……?」
ブラッドリーは全て……気付いていたんだ。
「アドルフ様……」
エディットが心配そうに僕に声を掛けてきた。
「悪い、折角婚約者と一緒だったのを邪魔したな」
「俺たちは追試決定だよ。それじゃあまた後でな。これから追試組の呼び出しがあるんだよ」
エミリオとラモンはそれだけ言うと、背を向けて去って行った。
「エディット、試験結果も見たし……僕達も教室に戻ろうか?」
「はい」
エディットは笑顔で返事をした――。
13
お気に入りに追加
500
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
成り上がり令嬢暴走日記!
笹乃笹世
恋愛
異世界転生キタコレー!
と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎
えっあの『ギフト』⁉︎
えっ物語のスタートは来年⁉︎
……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎
これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!
ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……
これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー
果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?
周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
元バリキャリ、マッチ売りの少女に転生する〜マッチは売るものではなく、買わせるものです
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
【マッチが欲しい? すみません、完売しました】
バリキャリの私は得意先周りの最中に交通事故に遭ってしまった。次に目覚めた場所は隙間風が吹き込むような貧しい家の中だった。しかも目の前にはヤサグレた飲んだくれの中年男。そして男は私に言った。
「マッチを売るまで帰ってくるな!」
え? もしかしてここって……『マッチ売りの少女』の世界? マッチ売りの少女と言えば、最後に死んでしまう救いようがない話。死ぬなんて冗談じゃない! この世界で生き残るため、私は前世の知識を使ってマッチを売りさばく決意をした――
※他サイトでも投稿中
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる