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3話
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その声に、一斉に野次馬が振り向く。そしてキャサリン、ブライアンにネリーも振り向く。
すると野次馬を掻き分けて登場したのは2人の若い女性だった。
1人は赤毛の女性に、もう1人はダークブロンドの女性だ。
「一体、あなた方は誰ですか? 今、取込み中なのですけど」
キャサリンは現れた女性に尋ねる。
「ええ、そんな事は分かっています!」
「ですからここに現れたのですから!」
そして赤毛の女性がブライアンを振り向いた。
「ブライアン様、酷いじゃありませんか! 私と婚約してくださるという話は嘘だったのですか!?」
「いいえ! 言われたのは私です! それなのに一体どういうことですか!? そちらの女性は何なのです!?」
ダークブロンドの女性がビシッとネリーを指差す。
「ええっ!! 何だって!!」
これに驚くのは勿論ブライアンだ。
「どういうことですか!! ブライアン様!!」
「し、知らない!! 俺は何にも知らないぞ! 誰だ! お前たちは!」
真っ赤な顔でブライアンは2人の女性を交互に見る。
「誰だとはあんまりです!」
「あんなに愛しているよと言ってくれたじゃありませんか!」
「そうなのですか!? ブライアン様!」
2人の女性の言葉に、ネリーはブライアンの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「だから、知らないって言ってるだろう! お前たちを見るのは初めてだぞ!」
「あらあら。ブライアン様はネリー様だけに飽き足らず、他の女性にも手を出していたのですね?」
「うるさい! キャサリン、お前は黙ってろ!」
肩を竦めるキャサリンにブライアンは真っ赤な顔で怒鳴りつけると、野次馬たちが次々と文句を言い始めた。
「浮気しておいてその言い草は何だ!」
「同時に3人と浮気なんて最低ね」
「クズだな、クズ」
「お、おい!! 誰だ!? 今、俺のことをクズだと言ったのは! 名乗り出ろ!」
ブライアンは野次馬たちを見渡すが、当然手名乗り出る者はいない。
「そんなことより、私を捨てるつもりですか!」
「君だけだよって言ったのは嘘だったのですか!?」
2人の女性はさらにブライアンに迫る。
「だから、お前たちなんか知らないってさっきから言ってるだろうが!!」
さらに野次馬たちが口々に批判を始めた。
「どうだか、何しろ嘘つきだからな」
「そうよ、毒殺未遂なんて酷い嘘ね」
「誰が信じられるものか」
「黙れ黙れ! 見世物じゃ無いんだぞ! どっか行けよ!」
突如、ブライアンは上着を脱ぐと振り回して野次馬たちを追い払おうとした。
「うわっ! ついにおかしくなったぞ!」
「なんて奴だ!」
「失礼にも程があるわ!」
すると……。
「もう知らない!! ブライアン様なんか大嫌い!! さよなら!」
ついに我慢できなくなったのか、ネリーが泣きながら走り去って行く。
「あ! お、おい! ネリーッ!!」
「ブライアン様、どうやらネリー様に捨てられてしまったようですね?」
置いていかれたブライアンに、キャサリンは口元に笑みを浮かべた。
「う、うるさい! 笑うな! 馬鹿にするな! くそっ! お前らのせいだからな!」
すると野次馬たちが反論する。
「人のせいにするな!」
「そうよ! 全て自分のせいでしょう!」
「本当に最低な男だな!」
「う……ち、畜生~ぉっ!!」
思わず反論にあったブライアンは脱兎のごとくその場を逃げ出してしまった。
「全く、何だったんだ? あれは」
「良かったわ、あなたがあんな男じゃなくて」
「……あれ? あの3人は何処に行ったんだ……?」
野次馬たちが気付いてみると、キャサリンも2人の女性も、その場から姿を消して去っていた――
すると野次馬を掻き分けて登場したのは2人の若い女性だった。
1人は赤毛の女性に、もう1人はダークブロンドの女性だ。
「一体、あなた方は誰ですか? 今、取込み中なのですけど」
キャサリンは現れた女性に尋ねる。
「ええ、そんな事は分かっています!」
「ですからここに現れたのですから!」
そして赤毛の女性がブライアンを振り向いた。
「ブライアン様、酷いじゃありませんか! 私と婚約してくださるという話は嘘だったのですか!?」
「いいえ! 言われたのは私です! それなのに一体どういうことですか!? そちらの女性は何なのです!?」
ダークブロンドの女性がビシッとネリーを指差す。
「ええっ!! 何だって!!」
これに驚くのは勿論ブライアンだ。
「どういうことですか!! ブライアン様!!」
「し、知らない!! 俺は何にも知らないぞ! 誰だ! お前たちは!」
真っ赤な顔でブライアンは2人の女性を交互に見る。
「誰だとはあんまりです!」
「あんなに愛しているよと言ってくれたじゃありませんか!」
「そうなのですか!? ブライアン様!」
2人の女性の言葉に、ネリーはブライアンの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「だから、知らないって言ってるだろう! お前たちを見るのは初めてだぞ!」
「あらあら。ブライアン様はネリー様だけに飽き足らず、他の女性にも手を出していたのですね?」
「うるさい! キャサリン、お前は黙ってろ!」
肩を竦めるキャサリンにブライアンは真っ赤な顔で怒鳴りつけると、野次馬たちが次々と文句を言い始めた。
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「同時に3人と浮気なんて最低ね」
「クズだな、クズ」
「お、おい!! 誰だ!? 今、俺のことをクズだと言ったのは! 名乗り出ろ!」
ブライアンは野次馬たちを見渡すが、当然手名乗り出る者はいない。
「そんなことより、私を捨てるつもりですか!」
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2人の女性はさらにブライアンに迫る。
「だから、お前たちなんか知らないってさっきから言ってるだろうが!!」
さらに野次馬たちが口々に批判を始めた。
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「そうよ、毒殺未遂なんて酷い嘘ね」
「誰が信じられるものか」
「黙れ黙れ! 見世物じゃ無いんだぞ! どっか行けよ!」
突如、ブライアンは上着を脱ぐと振り回して野次馬たちを追い払おうとした。
「うわっ! ついにおかしくなったぞ!」
「なんて奴だ!」
「失礼にも程があるわ!」
すると……。
「もう知らない!! ブライアン様なんか大嫌い!! さよなら!」
ついに我慢できなくなったのか、ネリーが泣きながら走り去って行く。
「あ! お、おい! ネリーッ!!」
「ブライアン様、どうやらネリー様に捨てられてしまったようですね?」
置いていかれたブライアンに、キャサリンは口元に笑みを浮かべた。
「う、うるさい! 笑うな! 馬鹿にするな! くそっ! お前らのせいだからな!」
すると野次馬たちが反論する。
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「そうよ! 全て自分のせいでしょう!」
「本当に最低な男だな!」
「う……ち、畜生~ぉっ!!」
思わず反論にあったブライアンは脱兎のごとくその場を逃げ出してしまった。
「全く、何だったんだ? あれは」
「良かったわ、あなたがあんな男じゃなくて」
「……あれ? あの3人は何処に行ったんだ……?」
野次馬たちが気付いてみると、キャサリンも2人の女性も、その場から姿を消して去っていた――
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