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7-10 その頃の彼ら 2
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「伯爵の話だと、ジェニファーはジェニーにそっくりだそうじゃないか。結婚式でしか会ったことが無いけれど、ものすごい美女だったからな。亡くなってしまったと聞いた時は、実に勿体ないと思ったよ。でも兄上もやるな~今度はジェニーの従姉妹を後妻にするのだから。伯爵はジェニファーのことを金に眼が眩んだ悪女だと言っていたけれども……ん? どうしたシド。随分恐ろしい目で睨みつけてくるじゃないか」
シドの鋭い眼差しに怯むことなく、のんびりと膝を組むパトリック。
「ジェニファー様は伯爵が言うような、悪女なんかではありません。亡くなった相手をどうこう言うのは気が引けますが、俺から言わせるとむしろ悪女はジェニー様の方だと思います」
怒りを抑えつつ、シドは反論する。
「何ですって? よりにもよってジェニーを私たちの前で悪女呼ばわりするとは、いい度胸をしているじゃない? ニコラスが愛妻家だったことを私たちが知らないとでも思っているの? 今の話をニコラスが知ったらどう思うかしら?」
勝ち誇ったかのような表情を浮かべるイボンヌに対し、パトリックは面白そうに笑みを浮かべる。
「ふ~ん……随分ジェニファーの肩を持つんだな? 使用人達の話によると、随分兄上から冷遇されていると聞かされていたけれど」
「その使用人達とは、ニコラス様がクビにした者達のことですよね? でもここでは違います。今では誰もがジェニファー様を大切に思っていますから」
「君もか?」
「……どういうことです?」
「君は他人に全く関心を寄せない男だと思っていたが……どうやら、ジェニファーという女性は、君にとって特別な存在なんじゃないか?」
「一体何を……」
シドが眉を顰めたその時。
『ウワアアアアンッ! マァマッ! マァマ~ッ!』
ジョナサンの激しい鳴き声がこちらに向かって近づいて来た。
「あら? 赤子の声だわ。まさか……」
イボンヌが首を傾げる。
「ジョナサン様っ!?」
扉を開けると泣きじゃくるジョナサンを抱きかかえたポリーが小走りで近付いて来る姿がシドの目に入った。
「ポリー! 一体どうしたんだ!? 何故ジョナサン様を連れている!?」
「あ、シドさん! 実はジェニファー様が部屋を出てすぐにジョナサン様が激しく泣き出して……もう、私では手に負えなくて……」
「ウアアアアアンッ! マァマ~ッ! アアァアアアンッ!!」
今もジョナサンは激しく泣いている。
「へ~この子がジョナサンか」
「中々可愛い子ね」
するといつの間にか、パトリックとイボンヌが部屋から出て来て泣いているジョナサンを見つめていた。
「お2人とも! 部屋から出ないで下さいと言いましたよね!」
シドが強く言うも、2人は気にする素振りも見せない。
「そんなことより、早くママの所へ連れて行ってあげたらどうだい?」
「ええ、あまり泣かせては可哀そうよ」
パトリックとイボンヌは明らかに今の状況を楽しんでいるようにも見える。
「シドさん……」
困った様子のポリーに、一旦シドは唇を噛みしめ……。
「ジェニファー様の元へ急ごう!」
「はい!」
シドの言葉にポリーは返事をすると、2人は急ぎ足でジョナサンの元へ向かった――
シドの鋭い眼差しに怯むことなく、のんびりと膝を組むパトリック。
「ジェニファー様は伯爵が言うような、悪女なんかではありません。亡くなった相手をどうこう言うのは気が引けますが、俺から言わせるとむしろ悪女はジェニー様の方だと思います」
怒りを抑えつつ、シドは反論する。
「何ですって? よりにもよってジェニーを私たちの前で悪女呼ばわりするとは、いい度胸をしているじゃない? ニコラスが愛妻家だったことを私たちが知らないとでも思っているの? 今の話をニコラスが知ったらどう思うかしら?」
勝ち誇ったかのような表情を浮かべるイボンヌに対し、パトリックは面白そうに笑みを浮かべる。
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「……どういうことです?」
「君は他人に全く関心を寄せない男だと思っていたが……どうやら、ジェニファーという女性は、君にとって特別な存在なんじゃないか?」
「一体何を……」
シドが眉を顰めたその時。
『ウワアアアアンッ! マァマッ! マァマ~ッ!』
ジョナサンの激しい鳴き声がこちらに向かって近づいて来た。
「あら? 赤子の声だわ。まさか……」
イボンヌが首を傾げる。
「ジョナサン様っ!?」
扉を開けると泣きじゃくるジョナサンを抱きかかえたポリーが小走りで近付いて来る姿がシドの目に入った。
「ポリー! 一体どうしたんだ!? 何故ジョナサン様を連れている!?」
「あ、シドさん! 実はジェニファー様が部屋を出てすぐにジョナサン様が激しく泣き出して……もう、私では手に負えなくて……」
「ウアアアアアンッ! マァマ~ッ! アアァアアアンッ!!」
今もジョナサンは激しく泣いている。
「へ~この子がジョナサンか」
「中々可愛い子ね」
するといつの間にか、パトリックとイボンヌが部屋から出て来て泣いているジョナサンを見つめていた。
「お2人とも! 部屋から出ないで下さいと言いましたよね!」
シドが強く言うも、2人は気にする素振りも見せない。
「そんなことより、早くママの所へ連れて行ってあげたらどうだい?」
「ええ、あまり泣かせては可哀そうよ」
パトリックとイボンヌは明らかに今の状況を楽しんでいるようにも見える。
「シドさん……」
困った様子のポリーに、一旦シドは唇を噛みしめ……。
「ジェニファー様の元へ急ごう!」
「はい!」
シドの言葉にポリーは返事をすると、2人は急ぎ足でジョナサンの元へ向かった――
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